悲の器
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最も権威があると言われる官学系大学の法学部長で、刑法学会の権威と言われる正木典膳は次期学長候補にまで上り詰めた日本のエリート思想の権化である。その彼は故・宮地博士門下の俊英といわれ、博士の姪と結婚したが7年前に死別した。その後、同じく大学教授の令嬢栗谷清子との婚約を発表するのだが、典膳によって妊娠させられた家政婦の米山みきに婚約不履行による慰謝料請求の訴えを起こされ、スキャンダルの人となる。
「法にあたるようなやましいことをしていない以上人に後ろ指を差されるいわれは無い」と考える典膳はみきを名誉毀損で訴え返すが、次第に彼は理性と愛の相剋に悩みだし、社会的にも、精神的にも破滅していくのだった……。戦後の神無き知識人の心理を硬質な文体で暴き出す。
刊行本
- 『悲の器』河出書房新社、1962年。
- 大江健三郎、江藤淳 編 編『われらの文学 第21 (高橋和巳,倉橋由美子,柴田翔)』講談社、1966年、5-326頁。
- 『高橋和巳作品集 第2 (悲の器)』河出書房新社、1971年。
- 『高橋和巳作品集 第2 (悲の器)』(解題・補記 川西政明)河出書房新社、1977年。
- 『高橋和巳全集 第2巻 (悲の器)』河出書房新社、1977年。