文机談
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文机談(ぶんきだん)は、鎌倉時代中期に成立した日本の音楽伝承譚・歴史物語、または楽書である。琵琶の相承次第を、鏡物の形式にならって記した作品で、作者は文机房とも称した僧隆円である[1]。文永年間(1264年 - 1275年)の5月3日にいったん成立し、弘安6年(1283年)ごろに補筆された可能性があるとされる[1]。内容は、廉承武・藤原貞敏から藤原孝時の弟子に至るまでの、琵琶伝承者の列伝を中心とする[1]。
| 文机談 | ||
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| 著者 | 隆円 | |
| 発行日 | 文永年間(1264年 - 1275年)成立、弘安6年(1283年)ごろ補筆か | |
| ジャンル | 歴史物語、楽書 | |
| 国 |
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| 言語 | 日本語 | |
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作者と書名
成立事情
内容
『文机談』は、琵琶の伝来、名手の逸話、秘曲、相承の系譜などを説話的に語る作品である。廉承武・藤原貞敏から藤原孝時の弟子に至るまでの琵琶伝承者を列伝的に扱い、中世における琵琶の伝承、楽人社会、宮廷音楽文化を知る資料となっている[1]。
とくに、藤原孝道・藤原孝時の系譜に関する記述は、本書の中心的な関心の一つである。孝時が父孝道から勘当されたことを契機として、孝時流の正統性を強調する意図があったとされるため、単なる音楽説話集ではなく、琵琶相承をめぐる歴史的・系譜的叙述としての性格を有する[1]。
『文机談』には、『古今著聞集』などの説話集と重複する説話も含まれる。一方で、鴨長明の秘曲尽しの話や、『古今著聞集』の著者である橘成季の事歴など、他書にはみられない記述も含まれる[1]。
伝本
原本は六巻であったと考えられるが、伝存本はいずれも首巻を欠き、五巻五冊以内で伝わる[1]。伝本には、京都大学蔵菊亭本、宮内庁書陵部蔵柳原本、宮内庁書陵部蔵伏見宮本などがある[1]。
京都大学蔵菊亭本は、隆円自筆本と伝えられる伝本で、昭和10年(1935年)に貴重図書影本刊行会から複製刊行され、和田英松が解説を付した[1]。宮内庁書陵部蔵柳原本は、大正6年(1917年)に珍書同好会から翻刻刊行され、鈴鹿三七が解説を付した[1]。また、宮内庁書陵部蔵伏見宮本は、昭和46年(1971年)に吉川弘文館から複製刊行された[1]。
宮内庁書陵部には、伏見宮旧蔵の『文机談』巻二が所蔵されている。これは南北朝時代の写本とみられ、紙背に観応2年(1351年)・文和4年(1355年)の仮名暦がある[4]。伏見宮本は巻二のみの伝存であるが、現存する他の諸本にはみられない部分を含む貴重な一書とされる[4]。
近年の刊行としては、昭和63年(1988年)に古典文庫から平林盛得・相馬万里子編『文机談 菊亭本・伏見宮本』が刊行され、両系統の翻刻が合収された[1][5]。さらに平成元年(1989年)には、岩佐美代子による『校注文机談』が笠間書院から刊行され、詳細な頭注と解題が付された[1][6]。