新約外典
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新約外典(しんやくがいてん、英: New Testament Apocrypha;単数系は Apocryphon[1])または新約聖書外典は、初期キリスト教徒による一連の著作のうち、正典(カノン)として認められていないものである。これらは、イエスとその教え、神の性質、または使徒たちの教えとその生涯についての記述である。これらの著作の一部は初期のキリスト教徒によって聖典として用いられていたが、5世紀以降、新約聖書を現代の正典(カノン)である27巻に限定するという広範な合意が生まれた[2][3]。ローマ・カトリック教会、東方正教会、プロテスタント諸教会は一般的に、新約聖書外典を聖書の一部とはみなしていない[3]。
定義
外典(英: apocrypha)という言葉は、「秘されたもの」「隠されたもの」を意味し、ギリシャ語の形容詞 ἀπόκρυφος (apokryphos)(暗昧な)、動詞 ἀποκρύπτειν (apokryptein)(隠す)に由来する[4]。
この術語は、教会が有用であるとみなしたものの、神の啓示を受けていない書物に一般的に適用される[要出典]。したがって、グノーシス主義の文書を「外典」と呼ぶのは誤解を招く。なぜなら、正統派の信者は、異端文書を、信仰的に有用ではあるが神の啓示とまでは確認できない文書と同じカテゴリーに分類しないからである。
ギリシャの教父たちはしばしば「反論された」という意味の「アンティレゴメナ」という術語を用いた。ただしこの術語は、東方においてヨハネの黙示録など一部の正典にも適用された。学者たちはしばしば「偽書・偽典(pseudepigrapha)」という術語を用いる。これは「偽って書かれた」「偽って帰属された」という意味で、ペトロの福音書やエチオピア語エクノの黙示録のように、匿名の著者が自分の著作に使徒の名を付した書という意味である。旧約と新約の両方において、プロテスタントの伝統において「外典」と呼ばれる書物のほぼ全てが偽典である。カトリックと正教会の伝統では、プロテスタントが外典と呼ぶものの中に第二正典に含まれるものがある。カトリックの伝統では、外典という術語は、プロテスタントが偽典と呼ぶものと同義である。「偽典」という術語はほぼ学者のみによって用いられる[5]。
歴史
新約聖書正典の発展
新約聖書外典に分類される作品の存在は、イエス解釈の多様性を物語っている。イエスのユダヤでの活動直後の数世紀間、イエスの教説の真正性を守ることについて多くの議論が交わされた。この問題に対処するために、主に3つの方法が今日まで継承されている。すなわち、
- 叙階(Ordination):聖職任命。福音の観点から信頼できる個人を教師として認可する。
- 信条(Creed):基本信条の制定。正統の教説と異端の教説の最低限の境界を定める。
- 正典(Canon):正典と非正典の区別。初期にイエスが教えたメッセージが含まれていると信ずることのできる文書を列挙する。
キリスト教初期の数世紀の間に、どの書物を正典に含めるべきかについて、かなりの議論が交わされた。一般的に、大多数がイエスに関する最古の書物とみなした書物が正典に含められた。正典に含められなかった書物は、現在では外典と呼ばれている。中には、当代の主流派に厳しく批判され、批判者の著作の中で引用としてのみ断片的に残されている著作もある。新約正典の最初期のリストは、現代のものと全く同じというわけではない。例えば、ヨハネの黙示録は一部のキリスト教徒によって疑義が呈されていた(アンティレゴメナ)が、ヘルマスの羊飼いは他の一部のキリスト教徒によって真正とみなされていた。
現代の研究成果
構成
新約外典には、使徒教父文書、外典福音書、外典行伝(使徒言行録)、外典書簡、外典黙示録などが含まれる。
使徒教父文書
- クレメンスの手紙一
- クレメンスの手紙二
- イグナティオス書簡集
- ポリュカルポスからフィリピ人への手紙
- ポリュカルポスの殉教
- ディダケー
- バルナバの手紙
- ディオグネトスへの手紙
- ヘルマスの羊飼い
外典福音書
主な外典福音書は以下の通りである。
- ユダヤ人キリスト教徒の福音
- エビオン派の福音書
- ヘブライ人の福音書
- ナザレ人の福音書
- その他の福音書
- トマスによる福音書
- マルキオンによる福音書
- ニコデモによる福音書
- ペトロによる福音書
- バルナバによる福音書
- 失われた福音書(散逸福音)
- バルトロマイの福音書
- マティアの福音書
- ケリントスの福音書
- バシレイデスの福音書
- マニの福音書
- ヘブライ人の福音書
外典行伝
使徒行伝(使徒言行録)の外典に相当するもの。外典使徒行伝も参照。
- アンデレ行伝
- アンデレ・バルトロマイ行伝
- バルナバ行伝
- ヨハネ行伝
- マル・マリ行伝
- 殉教者行伝
- パウロ行伝
- ペトロ行伝
- ペトロ・アンデレ行伝
- ペトロ・パウロ行伝
- ペトロ・十二使徒行伝
- フィリポ行伝
- ニコデモの福音書(ピラト行伝)
- タデウス行伝
- トマス行伝
- テモテ行伝
- クサンティッペ・ポリュクセネ行伝
外典書簡
- ヤコブのアポクリュフォン
- ヨハネのアポクリュフォン
- 使徒の手紙
- 偽テトスの手紙
- ペトロのフィリポへの手紙
- パウロとセネカの往復書簡
- アレクサンドリア人への手紙(散逸)
- ラオデキア人への手紙(散逸)
外典黙示録
- パウロの黙示録
- ペトロの黙示録
- 偽メトディウスの黙示録
- トマスの黙示録
- ステファノの黙示録
- ヤコブの黙示録一
- ヤコブの黙示録二
- ヨハネの黙示録二
雑集 その他の外典
- クレメンス文書
- ディアテッサロン
- アダイの教え
- ピラト文書群
- 使徒パウロの祈り
- バルトロマイの質問
- 使徒バルトロマイによるイエス・キリストの復活の書