専門は国際政治学、日本政治外交史。自身の研究は、国際政治学という一般的なイメージとは異なり、歴史の研究であり、政治政策よりもその背後にある思想に関心を持つ。特に明治から大正時代(1920年代頃)の日本の知識人が世界をどう捉え、そこからどのような政策を提起したかという、歴史的・思想的側面に焦点を当ててきた。政治を思想の実践的な表れと捉え、政治学と思想史の境界領域に位置する著作を手掛けている。
学問教育だけでなく「人間教育」が大学においても重要との考えを持つ。学生や研究者の新たな挑戦や試行錯誤を促すためには、制度的支援に加え、自由な発想を育む環境が不可欠と語る。自身も学生や教職員をはじめ、様々な人物と対話を重ね、開放的で寛容な風土の保全と強化に努めることを信条としている。
昨今の生成AIの発展を踏まえ「AIでできないことを私たちは教えなければならない」と指摘。特に総合的な視点から価値を反映して判断する訓練が必要であり、「交渉や判断は機械に委ねられない」と持論を語る。そのため、幅広い視野と新しいことを発想するしなやかで柔軟な思考を身につけて卒業してほしいと述べている。
学長就任後も自らゼミを担当し、学生とのコミュニケーションを積極的に持ち、「対話はまずは教室から」を旨としている。ゼミは「人生相談に近い」と語り、学生からの人生相談にも親身に応じている。
東京外国語大学の教育改革において「学部・修士一貫制」の導入を提唱している。これは、学部4年間と修士2年間を連続的に捉え、学生が長期的な視野で専門性を深めることを可能にする制度である。特に、国際日本学部ではこの制度を先行導入し、学部生が早期に修士課程の科目を履修できるようにすることで、研究志向の学生の育成を目指している。
この制度について、「大学院進学を前提にした学部教育は、学生の学びのモチベーションを高める」と述べており、大学院教育の裾野拡大と質の向上を両立させる方針を示している。
大学の国際化に関しては、「多言語・多文化共生の理念を、教育・研究・社会連携のすべてに浸透させる」ことを重視しており、留学生との協働や海外大学との連携を強化する姿勢を明らかにしている。
学長就任から3ヶ月(2025年7月時点)は多忙を極め、学内外の様々な人々や組織との連携に取り組んでいる。
2025年7月1日には、東京外国語大学、一橋大学、東京科学大学、お茶の水女子大学と共に「四大学未来共創連合(FLIP:Future Leading Innovation Partnership)」の憲章を締結。FLIPの含意について「flipは“軽やかにひっくり返す”という意味合いだが、ひっくり返すというのはある意味でとても大胆。ゲームチェンジをするわけだから」と説明。その背景には「現状の延長線上に未来はない」との問題意識や危機感があり、常識や閉塞的な現状を覆したい、「ひっくり返さなければいけない」と力説している。
少子化による18歳人口の減少という大学が直面する課題に対し、大学の規模を見直し、教育の高度化を進めることで「危機をチャンスとして捉えたい」と考えている。文系学生においても大学院での修士取得が当たり前になるような社会を目指し、日本社会全体の学歴(学位)の高度化が必要であると提唱している。
キャンパス内の保育園の設立にも男女共同参画推進部会の委員として初期から関わっていた。この保育園に対しては、教職員・学生の育児支援だけでなく、学内に多様な年代・背景の人々が共存することで、大学の「同質性」を崩し、新しい発想が生まれる環境を作るという大きな役割を期待している。地域との連携や卒業生が大学に戻るきっかけとなることも期待している。
「本当に戦争がいつ起きても不思議ではない時代」であり、「みんなで議論すればいい答えが出てくると誰も信じられない時代」であるからこそ、学生との対話を重視し、意見の違いが見える中でどう折り合いをつけるかを学ぶことの重要性を強調している。
Tシャツにスニーカーといったラフなスタイルで執務にあたることが多い。趣味は散歩で、日常的にたくさん歩く習慣がある。健康に気を配り、毎日自作の弁当を持参し、昼休みには研究室で心身をリセットしている。好きな言葉はケセラセラ」、座右の銘は「知好楽」。
(出典)[2]