昔、松島瑞巌寺の参道近くに住む掃部という富豪が、西国三十三観音巡礼の旅の途中で出羽国象潟の商人と親しくなった。別れ際、このまま別れてしまうには惜しく、親戚の関係を結びたいと、掃部の息子の小太郎と商人の娘の谷との婚約を整える。ところが、掃部が巡礼の旅から戻ると、小太郎はすでに病で亡くなっていた。それを知らない谷は花嫁姿で掃部のもとを訪れた。小太郎が亡くなっていることを知ると、「両親同士が許した以上夫婦であり、命が尽きるまで仏に仕え尽くしたい」と松島に残り、掃部夫妻に尽くした。数年後、掃部夫妻が相次いで亡くなると、冥福を祈るのが残されたものの務めと、名を紅蓮と改め尼となる。紅蓮は心月庵を開き、供えられた米で煎餅を焼いて村の人々に施した。これが「松島こうれん」と呼ばれ、現代まで伝えられている[2]。