次元潜航艇
宇宙戦艦ヤマトシリーズの登場兵器
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次元潜航艇(じげんせんこうてい)は、テレビアニメ『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場する架空の宇宙艦艇。潜宙艦の一種。デザイン担当は板橋克己。
なお、「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」では他にも異次元や亜空間に潜る船が登場するが、本記事ではガルマン・ガミラス帝国の次元潜航艇と、そのリメイクにあたる艦艇の解説を行う。その他の艦艇については潜宙艦 (宇宙戦艦ヤマト)を参照のこと。
諸設定
ガルマン・ガミラス帝国が保有する特殊戦闘艦艇。次元断層や亜空間[注 1]に潜む特殊能力を付与された戦闘艦艇であり、現実世界における潜水艦に相当する。
塗装はグリーン。直方体に近いシンプルな面構成を持ち、先端部分に開いた大きな開口部と、その周囲の鮮やかな赤色の塗り分けが特徴である。司令塔の形状は、現実世界におけるタイフーン型原子力潜水艦などのセイル状ドームが重なった形状をしている。司令塔には、レールによって前後に移動する機構が備わっている[4][5][6]。「艇」と名がつくが、全長は200メートル近くあり、小さくはない。
亜空間断層発振装置によって、周囲に自由に亜空間断層を発生させることが可能であり、その中に潜むことで潜水艦と同様の奇襲攻撃を仕掛けることができる[7]。亜空間に潜んだ潜航艇から通常空間を視認する際には、潜望鏡を使用する[7]。通常の索敵方法では発見できず、一方的に攻撃できるが、亜空間ソナーなどの超空間探知装置を用いた探知は可能であり、波動爆雷による攻撃の影響も及ぶ[3]。
通常空間(宇宙空間)を航行する際、現実世界の艦船が起こす波のような見た目の、通常空間と亜空間との境目である波のようなものを艦体に纏う。
主兵装として艦首に亜空間魚雷発射管6門を持つほか、前部上甲板に多連装ミサイルランチャー2基[注 2]と、艦橋構造物前部には格納式で小型の砲身付連装砲塔2基がある[7](いずれも本編未使用)。
第14話の劇中描写で、搭載機関が波動エンジンであることが判明している。推進ノズルは2基ある[7]。
初期案ではデスラー潜水艦と呼ばれていた。その後、多次元潜航艇に変更され、最終的には次元潜航艇となった。没になった準備稿には、板橋だけでなくもとのりゆきによって描かれたものもあった。また、本艇に関連したメカニックとして多次元潜航艇母艦と呼ばれる艦も考案され、「母艦によって運ばれる」というアイデアが存在した[8]。
劇中での登場
第14・15・16話に登場する。
第14話で、東部方面総司令ガイデルの配下にして、「ガルマンウルフ」の異名で知られる名将・フラーケンの率いる艦隊を構成する艦艇として10隻が登場。東部方面軍総司令部に招集されたフラーケンは、ヤマトを撃滅するよう指令を受け、出撃する。異次元空間からの亜空間魚雷による一方的な攻撃を行い、ヤマトに損害を与えるが、訓練学校で亜空間戦闘を履修していた土門竜介に、潜望鏡を偶然に発見され、敵が亜空間に潜んで攻撃を仕掛けていることを看破される。土門の提案で、異次元攻撃に効果がある波動爆雷が亜空間に潜っていた潜航艇隊に向けて放たれた結果、1隻が被弾して通常空間に浮上したところをヤマトの主砲で撃沈される。続く第15話で、ヤマトを東部方面軍総司令部へおびき寄せようとするが、ヤマト側が亜空間ソナーを急遽製作して対抗してくる。フラーケンは友軍艦2隻を囮にし、亜空間ソナーにわざと探知させて撃沈させ、その攻撃音に紛れて接近して亜空間魚雷を大量に浴びせる。その後、東部方面軍総司令部のある方向へ陽動し、ヤマトを捕獲することに成功する。
第16話では、ガルマン・ガミラス本星の軍事パレード式典にて1隻が超低空航行している。
リメイクアニメ
『宇宙戦艦ヤマト2199』において、フラーケンが先行登場し、その乗艦として次元潜航艦UX-01が登場する。続編となる『ヤマトよ永遠に REBEL3199』では、次元潜航艇の直接的なリメイクとして、UX-01の後継にあたるゼランダル級攻撃型次元潜航艦が登場する。
次元潜航の諸設定
本シリーズでは次元潜航関係に詳細な設定が備わっている。ただし『2199』では各種用語が登場するものの詳細な原理にまで踏み込んだ解説はされておらず、『3199』で次元潜航に再度スポットが当てられることになった際には当時の資料が発見できず参照できなかったため、文芸管理を担う皆川ゆかの手により改めて設定が構築されている[9]。そのため以下の解説の大部分は『3199』での設定となる。
亜空間の性質
本シリーズでの次元潜航とは亜空間に潜航することであるが、ここでいう亜空間とは位相空間論における「β空間」(開かれた位相空間)のことであり、通常空間(α空間)とは「次元境界面」で隔てられている[10][11]。
亜空間は通常空間よりも高エネルギー準位かつ、不安定な量子エネルギー場を持ち、より高密度となっている[11]。次元境界面は次元震という余剰次元の定常的振動によって維持されている[11]が、これが安定振動数を下回ると、境界面に揺らぎが生じる[12]。そうなった場合、亜空間の量子場が通常空間のエネルギーを励起させ、本来であればエネルギーは高い場所から低い場所へ流れるところを、逆に低い場所(通常空間)から高い場所(亜空間)へと流れる「逆エネルギー勾配現象」が発生し、亜空間が通常空間のエネルギーや物質を吸い込むようになる[11][12]。
次元潜航艦が潜航する亜空間は亜空間ゲートで通過する亜空間と同質のものとされている[13]。両者の違いは深度(次元境界面からの距離)であり、浅いほど通常空間との座標のずれが少ないため、次元潜航艦が行う浅深度の潜航ではワープのような空間跳躍は起こらないとされる[10]。『3199』第14話劇中では同種の空間であることが視覚的に描写されており、潜航直後の浅深度では『2199』でUX-01が航行していたのと同じ明るめの空間だが、深深度に行くと亜空間ゲートと同じ竜巻と稲妻がある暗い空間へと変化している。
水中で深く潜るほど水圧がかかるのと同じように亜空間も深度が増すほど「次元圧」と呼ばれる仮想的な圧力が高まる[10]。潜航する物体も深く潜り過ぎると圧壊する危険があるため、物体の耐圧性が実質的な潜航限界深度になる。
次元潜航の原理
次元潜航艦は次元境界面の振動を「抑制波動共鳴波」というもの[注 3]で抑制することで局所的に穴を作り、先述の逆エネルギー勾配現象によって物質が亜空間へ引き込まれる流れを利用して潜航する[11]。
潜航中は「ゲシュ=ヴァール機関」という機関を使用する。亜空間に潜った艦艇は、通常であれば逆エネルギー勾配現象によってエネルギーが船外へ急速に流出して失われてしまう。しかし、通常空間の属性を持つ船体と亜空間の境界には限定的な次元境界面が存在しており、ゲシュ=ヴァール機関はこれを「トロポジカル絶縁状態」という、内部は絶縁体で表面(境界)でのみエネルギー伝導が起こる状態へと変化させることにより、エネルギーを内部へ閉じ込め、亜空間へ拡散するのを防いでる[11]。
また、船体の浮上・沈降には「多次元位相バラストタンク」というものも用いられる。このタンクは「活性波動共鳴波」を導波することで「波動エネルギー流体」を生成し、その密度により周囲の境界強度を制御するものである[11]。密度が高いほど境界面が強化されて浮上し、低下すると沈降するため、これを利用して船体の潜航深度を調整する[11]。
次元潜航は1G程度の重力下であれば惑星表面での潜航・浮上も可能(ワープの場合は、重力の影響でワープアウト地点がずれたり、重力圏内でワープアウトするとグラビティダメージを受けるなどのリスクがある)[14]。。一方で、潜航には次元境界面が安定している必要があり、振動の激しい状態での潜航・浮上は船体の消失を起こし得るため、波動エネルギー(第6次元の膜面の振動)によって次元境界面を波立たせてしまう波動エンジンの近くでの潜航は技術的に困難となっている[14]。
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』以降は、ゲシュ=ヴァール機関非搭載の艦艇を次元潜航させる「多重次元震抑制リンク」[注 4]という機能も登場。これは複数の次元潜航艦によって次元震の干渉制御場を展開し、その中心に次元震の定常領域(つまり疑似的な通常空間)となる「仮想境界層」を作り出すことで、対象の艦艇が亜空間に直接接触しないようにするというもの[15]。加えて仮想境界層自体が構造的な浮力を持ち、次元圧への耐久性があるため、非次元潜航艦艇でも特段の追加装備無しで次元潜航を行うことが可能となる[15]。
次元潜航艦 UX-01
『宇宙戦艦ヤマト2199』で、ヴォルフ・フラーケンが艦長を務めるガミラス艦。デザイン担当は石津泰志[19]、艦内は山根公利[20]。
通常空間のみならず、異次元空間への往来・航行も可能な特殊戦闘艦艇[16][17]。通常空間では、他のガミラス艦と同様の波動推進「ゲシュ=タム機関」で航行するが、次元潜航時は亜空間推進「ゲシュ=ヴァール機関」に切り替えて航行する[16][17]。また、異次元空間での推進エネルギー浪費を抑えるために備えられた多次元位相バラストタンクでエネルギー流出を抑えており、さらにそれを転用することで艦体の浮上や沈降を制御する[16][17]。セイルには、次元潜望鏡や、その後方に超空間ケーブルでつながれた索敵プローブが備わっており、これらを通常空間に露出させて周辺の様子を探索できる[21]。次元潜航時間は最高軍事機密となっており、公開されていない[18]。
開発初期の実験段階では異次元空間からの浮上ができず、多くの試作艦が行方不明となっており、その存在を知る者からは「異次元の棺桶」と揶揄され、就役すら危ぶまれたという背景設定を持つ[22][23]。『2199』劇中時点で就役中なのはUX-01のみで[17]、開発費が高額かつ貴重な試作兵器ということもあり、総統直轄の特務艦とされている[22]。続編となる『2202』以降は同型艦が登場するようになる。同型艦を総括する艦型名称は明言されていないが、資料によっては「UX艦」[24]や「UX型次元潜航艦」といった記述が見られる[11]。
Uボート(VII型[25])を元にデザインされており[26]、艦の形状は水上船型をしている。艦首亜空間魚雷発射管の後方にはガミラス艦特有の「目玉」状構造物があり、艦尾上部には「ゲシュ=タム機関」の推進ノズル、艦尾下部には「ゲシュ=ヴァール機関」のスクリューが備わっている。
亜空間魚雷は通常の空間魚雷とは異なり、射出後に次元境界面を突破する必要があるため、ゲシュ=ヴァール機関を小型化した亜空間推進タービンを搭載している[23]。異次元空間内では泡のようなものを噴出しながら移動し、次元境界面を突破して通常空間に出た後はブースターに点火して目標へ急速接近する。『3199』ではG7A型という型式が設定されている[27]。
『2202』では特殊な装備により先述の多重次元震抑制リンクを構築する機能が追加されている。『2205』まではこの機能を使用するために最低4隻を要したが、『3199』では技術の向上により、2隻で300m級艦艇の潜航が実現可能となっている(ただし範囲が狭いため対象の船体に密着する必要がある)。
劇中での登場(UX-01)
- 宇宙戦艦ヤマト2199
- 第12話から登場。ガル・ディッツがエルク・ドメルの依頼を受け、総統府を介さずに航宙艦隊総司令官の権限で彼に貸与する。銀河系外縁部を航行中のヤマトを奇襲するが、星間物質が大量に漂う原始星恒星系へ隠れられる。第13話では、星系外へデコイを射出して陽動を行い、ヤマトに亜空間ソナーを使用させてそれを逆探知することによって位置を掴み、攻勢に出る。しかし、古代進が独断で発進させたコスモシーガルの亜空間ソノブイによって索敵プローブを発見・破壊されたことから「目」を潰され、その隙に逃走される。
- 第14話では、ミーゼラ・セレステラからの命令で作戦に必要な特殊粒子をヤマトの予想進路上に散布した後、総統アベルト・デスラーからの「勅命」による、総統暗殺計画からデスラーを保護する任務に就くため、ドメルの指揮下を離れる。
- 第19話・第20話の七色星団海戦では、再びドメルに貸与され、ユリーシャ・イスカンダルの拉致任務に充てられる。FS型宙雷艇を後部甲板に乗せた状態でヤマトの近辺に身を潜め、第二次攻撃隊の爆撃によってヤマトのレーダーが破壊されたのを見計らって浮上し、宙雷艇をヤマトに接舷させると、ユリーシャ(実際にはユリーシャと誤認された森雪)の拉致に成功してヤマトから離れた宙雷艇を回収する。第21話では、惑星レプタポーダで雪を引き渡して任務を終えるが、囚人たちの反乱が発生したため、雪たちを再度収容してガミラス星に向かう。
- デスラー政権崩壊後にはディッツの指揮下に入り、第25話では彼が各方面軍に出していた召還命令を無視したグレムト・ゲールの前に現れ、逮捕命令が出ていることを通告した後、攻撃してきたゲールが座乗するガイテロール級航宙戦艦「ゲルガメッシュ」を撃沈して帰投する。
- 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち
- 本作ではUX-01のほか、UX-02からUX-04までの同型艦も登場している。
- 第22話では、火星上空に待機している航宙戦闘母艦CCCの飛行甲板上に係留された状態で、2カットのみ映る形で初登場。第24話では4隻がヤマトを囲む形で連動し、ヤマトを異次元空間に潜航させて都市帝国の中枢手前まで送り届ける。
- 宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち
- UX-01からUX-04の4隻が冒頭のガルマン星奪取作戦から全編を通して登場する。ガミラス民主政府からデスラー艦隊へ貸与されており、次元潜航艦隊として艦隊の一翼を担う。
- 第6話では前作で見せた移送能力を活用し、友軍が敵を陽動している間にイスカンダル星洋上に漂流する移民船団を少しずつ救出する作戦が行われた。しかし、敵がガミラスよりも優れた次元潜航技術を持っていたため、1度目の往復のタイミングで即座に気付かれ、2度目の往復前にUX-02を拿捕されてしまい、作戦継続は不可能となる。
- ヤマトよ永遠に REBEL3199
- 第13話から登場。過去作での戦果から次元潜航艦の有用性が認められた結果、戦力と生産力が十分ではないガルマン・ガミラスが大国ボラー連邦に対抗するための戦略方針として後述のゼランダル級を旗艦として多数のUX型を運用する「次元潜航艦隊構想」を立ち上げられ、優先的に同型艦の建造が進められている。
- 第14話ではヤマトがガネル星雲の中心域へ調査へ向かう際に、UX型2隻による多重次元震抑制リンクで亜空間へ潜航した。
ゼランダル級攻撃型次元潜航艦
| 艦種 | 次元潜航艦 |
|---|---|
| 全長 | 211.5m |
| 主機 |
|
| 武装 |
|
『ヤマトよ永遠に REBEL3199』に登場するガルマン・ガミラスの次元潜航艦。デザイン担当は石津泰志[25]。
UX型で編制された次元潜航艦隊の活躍によって戦術的な有効性が確認された次元潜航艦を、戦略的な運用に発展させるべく開発された。ガミラス星の崩壊と植民星の独立によって戦力と生産能力が大幅に衰えたガルマン・ガミラス軍は、ボラー連邦に真正面から対抗できるほどの戦力を確保する余力が無かった。そこで目を付けられたのが攻撃性と秘匿性を備えた次元潜航艦であり、艦隊戦略の最優先事項として「次元潜航艦隊構想」が立てられ、本艦はその旗艦に位置づけられる。
全長は211.5メートルまで大型化し、船体形状はUX-01の水上船型から葉巻型に変わっている。強固な船体と高い出力のゲシュ=ヴァール機関を備え、従来よりも深い空間を航行できるほか、次元圧の高い亜空間でも姿勢制御可能な深深度耐用スラスターも備えることで従来艦より遥かに高い機動性を有する[24]。
また、艦隊の指揮能力も向上させられ、次元潜航艦隊の旗艦として十全な運用も可能となっている[24]。
主兵装はUX-01と同じ亜空間魚雷だが、サイズがより大きくなり、UX-01の搭載するG7A型が直径630mmであるのに対して、本艦が搭載するものは1550mmのZR-1型と925mmのG11型となっている[27]。門数もUX-01の8門に対して、大小合わせて31門と4倍近い数になっている。さらに、船体上下には亜空間ミサイルの発射管を計50門備えており、特に下部の発射管は自艦より深いところにいる敵を攻撃するためのものとなる[28]。
また、亜空間ではビーム兵器が無効になることから、実体弾を発射するレールガンを備える。弾体は鏃のような形をした徹甲榴弾であり、これを秒速1万kmという超高速度で発射する[24][28][注 5]。この砲は陽電子砲への切り替えも可能で、通常空間では適宜使い分けられる[28]。
劇中では第10話にて初登場。ヤマトとデウスーラIII世が戦闘する中に現れ、デウスーラを停戦させた。第14話ではヤマトとともにガネル星雲への調査航海に赴く。
本艦の登場は、石津が「次元潜航艦の新型を出さないか」と総監督の福井晴敏に軽く話を振ったのがきっかけとされる[29]。石津から話を振られた後、「ガルマン・ガミラスは戦力が衰えているため、大艦隊ではなく次元潜航艦の戦略的な運用でボラーに対抗しようとしている」という設定の骨子が出来、本艦の登場へ繋がった[29]。
本艦のデザインの出発点は『ヤマトIII』の次元潜航艇であるが、「ガミラス時代に開発がスタートし、ガルマン・ガミラスになった後に完成した」という設定のため、伝統的な「ガミラスらしさ」も意識したものとなっている[25]。UボートVII型を意識したUX-01の後継艦であるため、石津は当初UボートXXI型のイメージでデザインを検討していたが、福井から「涙滴型にしてほしい」というオーダーがあったため、現在の形に行きついた[25][注 6]。また、艦尾の二重反転スクリューは白色彗星帝国の潜宙艦をイメージ元にしている[25]。