爆弾 (小説)

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爆弾』(ばくだん)は、呉勝浩の長編推理小説である。

作者 呉勝浩
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 長編推理小説サスペンス
概要 爆弾, 作者 ...
爆弾
作者 呉勝浩
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 長編推理小説サスペンス
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出小説現代2022年3月号
刊本情報
出版元 講談社
出版年月日 2022年4月20日
総ページ数 416ページ
id ISBN 978-4-06-527347-0
ISBN 978-4-06-536370-6(文庫本)
シリーズ情報
次作 法廷占拠 爆弾2
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2022年2月22日発売の『小説現代』3月号に掲載され[1]、4月20日に講談社より単行本が刊行された[2]。文庫版は2024年7月12日に講談社文庫より刊行された[3]

コミカライズが、2025年5月23日の『コミックDAYS』より連載されている[4]

2025年に映画版が公開された[5][6]

続編となる『法廷占拠 爆弾2』は2024年7月22日発売の『小説現代』8・9月合併号に掲載され、7月31日に講談社より刊行された[7]

あらすじ

プロローグ

東京都中野区の野方警察署に、酔っ払って自販機を蹴り飛ばして酒屋店主を殴った、うだつの上がらない風体の49歳の中年男・自称「スズキ タゴサク」が連行されてくる。傷害と器物破損だったが、スズキは一文無しで「偽名」らしく、記憶がないと言う。

うんざりしながら取り調べを行う取締官の等々力だったが、男は「霊感が働く」と言いだし、秋葉原辺りで何か事件が起こると発言した5分後、男の霊感は的中し、秋葉原の廃ビルで爆発が起こる。スズキは「霊感によると、あと三度。次は一時間後に爆発する」と言いだす。その1時間後、東京ドームシティでも爆発が起こり、スズキは連続爆破事件の重要参考人となる。

序盤

その後、警視庁捜査一課特殊犯捜査課・清宮輝次が、スズキの新たな取調官になる。スズキが不意に、「ハセベ ユウコウ」という名前を口にする。

長谷部有孔は、4年前までは野方署の番人とも呼ばれたベテラン刑事であったが、「事件現場で自慰をする」ところを記者に目撃され、週刊誌に《お恥ずかしい不祥事》とすっぱ抜かれていた。長谷部は定年を目前に退職し、3カ月後に自殺をしていた。この事から、スズキの標的は「野方署」だと推測され、長谷部とスズキとの関係を探るために、長谷部の家族に連絡を取ることになる。

一方のスズキは、深夜になっても取調室で、「タイガースの試合」「未来を予言する半獣半人の妖怪」「焼き肉のタン」など、とりとめのない話を続けていく。その雑談の中で、頭脳明晰な清宮の部下類家は、次の爆弾についてのヒントだと睨み、クイズに挑戦していく。類家は次々とクイズを解いていき、次の爆発場所を「九段下の新聞販売所」に絞り、爆発による被害を食い止める。

次の爆弾予告は、時刻は午前11時の代々木。爆弾が仕掛けられている場所は、「幼稚園か保育園」だと判明し、避難命令が出される。幼稚園に仕掛けられていた爆弾は発見・処理されたものの、同刻に代々木公園南門でも60名以上を巻き込んで爆発が起こる。

元刑事の長谷部有孔の元妻・石川明日香は、スズキの顔写真に「見覚えがない」と言う。長谷部は駅のホームから飛び降りて命を絶ったことから、賠償金は莫大な金額で、一家離散の後、今は長女の美海と同居させてもらっていた。

中盤

一方、取調室のスズキは、見張りの若い刑事・伊勢に、同期の警察官・矢吹に電話をさせ、無くしたと言った自分のスマホを回収させる。スマホには「スズキの住所」が保存されており、矢吹は独断専行でその住所へと向かう。

到着した家はシェアハウスで、矢吹は勇んで家探しを行う。同行している後輩の倖田沙良に先行して、奥の部屋に拘束されていた男性を発見するも、矢吹が近づこうとしたとき爆発が起こり、矢吹の左足は吹っ飛ぶ。拘束されていた男性は、長谷部有孔の長男・辰馬と思われ、彼の遺体は爆発によりバラバラに爆散した。

スズキが潜伏していたとみられるシェアハウスでは、他に2人の住人の遺体が見つかる。いずれも若い男で、名前は山脇と梶。死因は服毒。死後三日程度だった。

終盤

取調べは、清宮に代わって類家が行うことになる。類家はスズキに「かまかけ」をして、山脇と梶の外見を知っていたことが判明し、スズキと彼らの共犯説が浮上する。類家は、「この事件はチームプレイであり、秋葉原・東京ドームシティ・九段・代々木と、あまりに統一性がない。しかし、4人の思惑ならば納得できる」と推理する。

長谷部辰馬は、父親を尊敬していた父親の起こした事件後、家族は離散して、会社を退職して引きこもりになった辰馬はシェアハウスに転居。そこで辰馬は、自殺志願者の仲間を招き入れて「犯罪集団の巣窟」となり、大学で化学を専攻していた辰馬が「手製の爆弾」を作り、辰馬・山脇・梶の三人は、計画をスズキに託すと、爆発を見届けることなく服毒自殺をしたのだ。

長谷部の自殺した阿佐ヶ谷駅が捜索される中、「爆発するのはどこだ?」と尋ねられたスズキは、「全部です」と告げる。阿佐ヶ谷駅の自動販売機の中に隠されていた爆弾が爆発。犯行グループの山脇は、自動販売機を補充する仕事をしており、飲料缶型の爆弾を仕掛けていたのだ。

阿佐ヶ谷駅だけでなく、通常営業の山手線の駅で、反時計回りに円を描くように次々に爆弾が爆発していく。スズキの予告した、すべての爆発が終わる。

梶による、解雇した九段下の新聞販売所での爆発。スズキによる、ホームレスを狙った爆発。辰馬は、警察官を狙ったシェアハウスの爆発。山脇は、山手線の爆発により務めていた会社にダメージを与えることになった。

ラスト

シェアハウス爆発の真の目的は、「辰馬の身体を吹き飛ばすこと」だった。その動機を考えたとき、辰馬を殺した犯人として、ある人物が浮かびあがる。もともと、辰馬がシェアハウスに住まわせた元ホームレスは、路上で暮らしをしていた母の明日香だった。

その一方で辰馬は、今回の爆弾計画を練りはじめるが、やがて明日香に爆弾テロの計画がバレ、辰馬の計画を知った明日香は息子を殺し、路上暮らしで知り合ったスズキに助けを求め、スズキは「辰馬たちの計画」を自分のものにしたのだ。

製作された爆弾は20個だったが、これまでに爆発した爆弾は19個。類家は、「スズキが最後の爆弾を明日香に送り、明日香は野方警察署へ来る」と推測する。その頃、野方署の階段の踊り場に、スズキもろとも自爆しようと石川明日香が訪れており、婦警の倖田沙良によって阻止されていた。明日香が爆弾のボタンを押すも、爆発は起こらなかった。

身柄が確保された明日香のリュックには、テープで巻かれた箱があり、中身は「洋菓子」であった。その後、スズキは逮捕されて、本庁へと移送されていく。

エピローグ

事件から一か月後、石川明日香は容疑を否認し、爆弾テロや息子の辰馬たちの殺害も、すべてスズキの仕業だと告げる。容疑否認のまま、彼女は「辰馬の殺人容疑」で起訴されることになる。

一方のスズキタゴサクは、一貫して「霊感・記憶喪失・催眠」を主張しており、決め手となる物証を警察は得ることができず、彼の身元すら確認することができなかったが、世論に押されて検察は起訴を決定する。

穏やかな日常が戻る中で、いまだに最後の爆弾は見つかることなく、物語は終わりを告げる。

登場人物

書誌情報

映画

概要 爆弾, 監督 ...
爆弾
監督 永井聡
脚本 八津弘幸
山浦雅大
原作 呉勝浩
製作 岡田翔太
唯野友歩
出演者 山田裕貴
伊藤沙莉
染谷将太
坂東龍汰
寛一郎
片岡千之助
中田青渚
加藤雅也
正名僕蔵
夏川結衣
渡部篤郎
佐藤二朗
音楽 Yaffle
主題歌 宮本浩次「I AM HERO」
撮影 近藤哲也
編集 二宮卓
制作会社 AOI Pro.
製作会社 映画「爆弾」製作委員会
配給 ワーナー・ブラザース映画
公開 日本の旗 2025年10月31日
上映時間 137分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 31.6億円(2026年1月時点)[8]
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2025年10月31日に公開された[9][10]。監督は永井聡、主演は山田裕貴[5][6]PG12指定[11]。また、一部劇場ではDolby Atmosでの上映も実施された[12]

第49回日本アカデミー賞では11部門にノミネートされ[13]、スズキタゴサクを演じた佐藤二朗は最優秀助演男優賞を受賞した[14]

キャスト

スタッフ

受賞

  • FILMARKS AWARDS 2025 国内映画部門 優秀賞[33]
  • 第49回日本アカデミー賞 [34]
    • 最優秀助演男優賞(佐藤二朗)[35]
    • 優秀作品賞
    • 優秀監督賞(永井聡)
    • 優秀脚本賞(山浦雅大、八津弘幸)
    • 優秀主演男優賞(山田裕貴)
    • 優秀撮影賞(近藤哲也)
    • 優秀照明賞(溝口知)
    • 優秀音楽賞(Yaffle)
    • 優秀美術賞(杉本亮、岡田拓也)
    • 優秀録音賞(石貝洋)
    • 優秀編集賞(二宮卓)
    • 新人俳優賞(坂東龍汰)
  • 第45回藤本真澄賞 奨励賞[36]

脚注

外部リンク

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