百鬼夜行絵巻 (松井文庫)
日本の絵巻物
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概要
百鬼夜行とは、妖怪たちが集団で跳梁する様子のことであり、室町時代に描かれた『百鬼夜行絵巻』などはその通り妖怪の集団が行列をしている様子を描いたものだが、本項の『百鬼夜行絵巻』はそれとは異なり、妖怪を描いた個々の絵1点1点に名称を添えて紹介しており、図鑑またはカタログに近い様式をとって製作されている(ただし、2体に名称が添えられていない)。題は多数の妖怪が描かれていることを示して「百鬼夜行」と名付けられたと考えられている[3]。
冒頭には行灯を取り囲んでいる人々の絵が描かれており、これは百物語を行っている人々の様子を描いたものであろうと見られている[4]。
収録されている妖怪の数は58体で、同様の様式の妖怪絵巻である佐脇嵩之『百怪図巻』(1737年)の倍近くにのぼり[5]、豊富に作例を見ることが出来る。収録されている妖怪には河童・ろくろ首・雪女などといった説話や民間伝承でその存在が知られているもの。ぬらりひょん・赤舌・黒坊などといった詳細は未確認ながら『百怪図巻』などの絵巻物に描かれているもの。後眼・胴面・いそがし・五体面など『百怪図巻』の系統に無いが他の妖怪絵巻にも類例が見られるもの。海座頭・牛鬼・手目坊主などのように鳥山石燕による『画図百鬼夜行』の模倣と見られるものなどがある[5][6][7]。
収録された妖怪例の豊富さや、『百怪図巻』の系統に見られない妖怪を数多く含むことから、21世紀初期において、本作品は、図鑑様式の妖怪絵巻を研究するうえで重要な資料[5]と評価されている。また、その後になってあたらしく確認された『ばけ物つくし帖』[1]や『百物語化絵絵巻』[8]などの存在によって、従来独自に描かれた妖怪と見られていた妖怪の多くが他の妖怪絵巻の類にも前後して描かれている事実も確認されている[7]。
尾田淑太郎
妖怪の一覧
いずれも掲載されているのは名前と絵のみであり、解説文は一切ないため、どのような妖怪を描いたのかについては想像や推測の域を出ない。本作品に収録されている妖怪を掲載順に示すと次のとおりである。
本作品のうち、『百怪図巻』などの系列と考えられる妖怪絵巻で描かれる例がない、おもな妖怪についての画像を列挙する。「手目坊主」は絵巻物には見られない例ではあるが、鳥山石燕『画図百鬼夜行』に描かれている「手の目」が参照されていると考えられる。
- あすこここ
- 一目坊
黒坊は、通常の妖怪絵巻では塗仏という名称で描かれる。このような例は他の図鑑様式の妖怪絵巻にも見られるが、描かれている絵はそれぞれほぼ同じ特徴を備えており、その理由は明確ではない。