相変異 (細菌)

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相変異(そうへんい、: phase variation, phase polymorphism)とは、ランダムな突然変異を必要とせずに急速に変化する環境に対処するための、生物学的な現象の一つである。相変異では、細菌集団内の各部分集団において、On-Offスイッチングによるタンパク質発現変動が起きる。古典的な突然変異率よりもはるかに高い頻度(場合によっては>1 %)で表現型の切り替えが起きる可能性がある。相変異は、細胞集団に不均一性をもたらすため、例えば病原性細菌の生態を考える上で重要である。以前は免疫回避の文脈で研究が進められてきたが、病原性細菌以外の微生物でも相変異が広くみられることから、サルモネラ種を含むさまざまな細菌種において研究が進められている。

サルモネラ属菌における相変異では、さまざまな種類のフラジェリンタンパク質を切り替え、その結果として異なる構造のべん毛が組み立てられる。宿主側で特定のフラジェリンタイプに対する適応応答が進んだり、または宿主の適応免疫システムが特定タイプのフラジェリンを攻撃されるようになった時、相変異によってフラジェリンタイプを切り替えることで、以前のタイプでは高親和性を示していた抗体やTCR、BCRからの攻撃を回避することができるようになる。このメカニズムを利用して、サルモネラ菌は宿主からの免疫応答により集団が全滅することを回避している。サルモネラ属菌の他に大腸菌 (Escherichia coli) や淋菌 (Neisseria gonorrhoeae) などで認められる。

反転

部位特異的組換えは通常、組換え配列内の短い単一の標的部位で起こる。これが発生するためには、通常、1つまたは複数の補因子(例えばDNA結合タンパク質など)と部位特異的リコンビナーゼが必要となる[1]。組み換えにより、遺伝子産物の構造に影響がでたり、プロモーターまたは調節エレメントの空間配置の変更によって遺伝子発現が変化する場合がある[2][1]

相変異部位特異的組換え-反転
相変異部位特異的組換え-反転

リコンビナーゼを利用することにより、特定のDNA配列が反転し、その結果、このスイッチ内またはその隣にある遺伝子のオンからオフへのスイッチが生成される。多くの細菌種は、特定の遺伝子の発現を変化させるようにこの反転を利用する[3]。反転イベントは、大腸菌の線毛の発現のように単一遺伝子の発現のトグルとして簡単に機能する場合もあれば、ネズミチフス菌のように様々なフラジェリン合成に係わる複数遺伝子の発現を変化させるような複雑な場合もある[4]大腸菌におけるI型線毛による線毛接着は、感染の段階に応じて、線毛の主要なサブユニットであるfimAの発現を調節するために部位特異的な反転を受ける。可逆要素として、方向に応じてfimAの転写をオンまたはオフにするプロモーターが含まれる。反転は、2つのリコンビナーゼ、FimBとFimE、および調節タンパク質H-NS、統合ホスト因子(IHF)とロイシン応答タンパク質(LRP)によって媒介される。FimEリコンビナーゼは発現システムをオンからオフへと切り替える一方高の機能しか持たないが、FimBは両方向の切り替えを仲介することができる[5]

挿入-切除

正確な切除と元配列の復元ができる場合、トランスポゾン転位)による可逆的な相変異が起きる場合がある。トランスポゾンによって媒介される相変異は、特定のDNA配列を標的とする[6]。例えばP. atlanticaには細胞外多糖をコードするeps遺伝子座が含まれており、この遺伝子座のONまたはOFFの発現は、IS492の有無によって制御されている。MooVPivによってコード化された2つのリコンビナーゼは、それぞれeps遺伝子座の挿入要素IS492の正確な切除と挿入を仲介する。IS492が切除されると、円形の染色体外要素(extrachromosome)になり、epsの発現が回復する[6][7]

部位特異的なDNA再配列のより複雑な例としては、Salmonella typhimuriumのべん毛が挙げられる。通常の段階では、プロモーター配列はH2べん毛遺伝子の発現を促進し、H1べん毛遺伝子はリプレッサーの働きにより抑制されている。このプロモーター配列がhin遺伝子によって反転されることでリプレッサーがオフになり、H2と共にH1が発現するようになる。

遺伝子変換

相変異のもう1つの例として、遺伝子変換があり、この例はNeisseria gonorrhoeaeのIV型線毛の制御で見られる。この線毛をコードする遺伝子(Pil遺伝子)には複数コピーがあるが、一度に発現するのは1つだけである。これはPilE遺伝子と呼ばれる。この遺伝子のサイレントバージョンであるPilSは、相同組換えを使用してPilE遺伝子の一部と結合し、異なる表現型を作成することができる。これにより、最大10,000,000の異なる線毛の表現型が可能となる[要出典]

エピジェネティック修飾–メチル化

分割DNA鎖のミスペアリング

脚注

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