神田卓朗
From Wikipedia, the free encyclopedia
1970年岐阜放送に入社。2001年3月に退職するまで31年間アナウンサーを務める。
入社2年目から当時のローカル局としては珍しい洋楽のヒットチャート番組「ホリデイ・ヒット・ポップス」のDJを5年間担当し、洋楽ファンの人気を集めた。当時各務原市の中学生で、のちに「空中ブランコ」で直木賞を受賞した作家・奥田英朗さんも熱心なリスナーの一人だった。奥田さんは著書「田舎でロックンロール」の中で同番組と同じタイトルの短編小説を掲載している。
続く「ヤングスタジオ1431」のパーソナリティ―時代には、つボイノリオさんのあの有名な大ヒット曲「金太の大冒険」に登場する「金太待つ神田」の神田さんのモデルということで話題を呼んだ。
人物
その後のラジオ番組「今小町発ナイスデイ」や「まーへ―3時半?」では、自らの体験としての岐阜弁エピソードや方言知識を活かした方言コーナーにリスナーからのFaxが殺到した(メールの前の時代)。同じ頃に著書「岐阜弁笑景スペシャル」がベストセラーになったこともあって、一時岐阜弁ブームを巻き起こした。この話題を取り上げようと、CBCの取材カメラ・クルーが神田さんのインタビューを取るため岐阜放送の社屋に入るという前代未聞の出来事もあった。
「まーへー3時半?」という番組がスタートする前に、東京の出版社から電話がかかり、10月番組改編特集を組み各局の新番組を紹介したい。ついては番組のタイトルやパーソナリティー、内容を知りたいというので、担当者が必要なことを書いて送った。すると同社から「番組タイトルの『まーへー3時半?』の『まーへー』はミスプリでしょうか?」という問い合わせがあった。電話に出た神田さんが『番組タイトルの「まーへー3時半?」の「まーへー」は「もう」とか「早くも」という意味の由緒ある(?)岐阜弁です。おそらく「もう早くも」→「もうはや」→「もうへー」→「まーへー」というように変化したものと思われます。だから「まーへー3時半?」はミスプリなんかではなくて、「もう3時半になったの?」ということになります』と答えた。出版社の人は恐縮しながら電話を切ったそうだ。
神田氏は『岐阜や愛知の人以外には「まーへー」の意味は分からないだろうと思っていたが、やはり予想通りの反応だった』と話す。かくて「まーへ―3時半?」は番組が始まる前から「まーへー」岐阜弁の話題作りに成功していたのである。
「まーへ―」のような岐阜弁と言えば、岐阜放送入社の70年4月に偶然美濃祭りに出かけ、初めて美濃町弁による笑いの芸能「美濃にわか」を観て感動したという。この時開かれていた「第1回美濃市にわかコンクール」を取材し、ゲスト審査員として会場にいた劇作家で演出家の飯沢匡さんにインタビューしたのも貴重な体験となった。
いらい「美濃にわか」にはまり、1995年7月には、歌舞伎や民俗芸能研究をリードし、にわか研究のパイオニアでもあった郡司正勝早稲田大学名誉教授の提唱で、全国的な研究組織である「にわか学会」(代表・佐藤恵里高知女子大学教授)が美濃市で設立され、準備段階から関わった。このようにして同市のにわか関係者とのお付き合いは長い。
また両番組では、放送エリア内の岐阜・愛知・三重・滋賀各県の民間レポーター118人と結ぶ「ふるさとネットワーク」のコーナーで、各地域ならではの数々の埋もれた話題を掘り起こし、注目された。
例えば「子どもたちが初詣のおさい銭を拾えるラッキーなお正月」「南飛騨のハローウイン・がんどうちの風習」「風刺とオチが決め手の方言伝統芸能・美濃にわか」「昔からの言い伝えでウナギを食べない郡上市・粥川の人たち」「マグニチュード7.8の天正大地震で約440年間地中に埋もれたままになっている白川村の幻の帰雲城(かえりくもじょう)」「日本でただ一か所、お寺のない東白川村」「朝鮮通信使と大垣市竹嶋町の人たちによる江戸時代の国際交流」などなど。
岐阜放送リタイア後は岐阜女子大学文化創造学部教授として「日本語表現」分野の科目を担当。「テーマ・スピーチ」や「敬語の基礎と応用および間違いだらけの敬語表現」や「プレゼンテーションの話し方」など社会人に向けた学生の自己表現力の向上を図った。その後は、岐阜県・三重県・愛知県・滋賀県・静岡県の各大学や短大の非常勤講師として、「日本語表現」と共に各地の方言の聴き取り調査を学生と共に進めた。
神田氏は、方言は地域の文化の要であり、地方人のアイデンティティーだが、共通語の浸透によって岐阜弁を含めた各地の方言が使われなくなり、衰退しているのが残念だといい、改めて方言の良さ、楽しさ、素晴らしさに触れてもらおうと、2020年から岐阜放送で「ラジオ岐阜弁まるけ」をスタートさせた。
番組では、岐阜県内はもちろん、Radicoで聴いている全国各地のリスナーから様々な方言情報が寄せられているほか、岐阜弁川柳や方言げなげな話など方言満載の親しめ楽しめる内容となっている。
2025年10月からは、神田さんのお相手のパーソナリティ―として、昔「ヤンスタ」で活躍したビバこと三浦恭子さんが担当している。三浦さんは「ヤンスタ」のあと名古屋を中心に各放送局の番組で活躍したあと、アメリカの大学に留学し、帰国後NGOから南アフリカやインドなどに派遣され、各国の抱えるテーマに取り組んだ。パラグアイで入門した合気道は黒帯で、16年目の今も週に3回名古屋の道場で稽古に励んでいる。
出身が岐阜市梅林のネイティブ・スピーカーなので、神田さんの強力な助っ人だ。高校3年生の時に愛知県一宮市に引っ越し、近所の農家のおばさんに「もうひゃー、引っ越してりゃーたきゃー」と声をかけられ、「木曽川で言葉が変わるんだ」と思ったそうだ。そういうご本人も名古屋暮らしが長いので「名古屋弁スピーカーになってまった」という。
番組の中では、様々な岐阜弁が飛び出すが、「もうやっこ」や「机をつって」「かしわ」「ちゃっとまわししやー」「どべ」「鍵かっといて」「ぬくとい」「えれーでかん」「おそがい」などのポピュラーなことばをはじめ、「やっとかめ(久しぶり)」や「かがはいい(まぶしい)」「かざ(におい)」「らっしもない(乱雑な)」「けなるい(うらやましい)」「こうとい」(地味だが上品)」などの消えかかっている言葉をやくと(わざと)取り上げ、岐阜弁おもしろエピソードも紹介している。
「岐阜弁川柳」では投句された楽しく味わいのある方言川柳が登場する。「歯にこまる 何が困ると 友が聞く」「うちの子は なんたら可愛い 運動会」「白川村 観光対策 勘考し」「パーティーで がっぽりかせぐ 変わらんなも」「寝る直前 「あした雑巾」 はよ言やー」「古民家の カフェそうましい ばーさんた」「ただ草を 刈るだけやけど だだくさや」「十円の おさい銭やに 祈り過ぎ」「友送る ためらってなと 涙声」「あれでーじ これも残すと ゴミまるけ」「録画して どうぜ見いひん 再放送」「らっしもない 怒鳴ってみたけど 通じない」「豪雪の やわいをせんと だしかんぞ」「岐阜弁の ござる・ご無礼 時代劇」「神様も てーヘんやなも 絵馬の数」・・・など岐阜弁川柳が毎週楽しめる。
方言の中には平安時代の京の都で流行った言葉が、長い年月をかけて日本列島を東西に伝わり、やがて地方の方言として残ったものもあるほか、「先生」を「シェンシェイ」、「全然」を「ジェンジェン」と発音しているのは、方言の訛りのように思われているが、実はそうではなく、かつて京の都では「シェンシェイ」や「ジェンジェン」という発音が標準的な発音だったので、当時の正しい発音を伝えていること、とんでもなく遠い地方に同じような方言の語いが残っていることなど、あまり知られていない方言情報が「方言げなげな話」の中で紹介される。
現役時代に担当した番組のうち「ヤング・スタジオ1431」の主なパーソナリティーについてや「ホリデイ・ヒット・ポップス」それに番組から生まれた「金太の大冒険」については、神田さんの近著「こんな話、知っとんさる?」に掲載されている。このように岐阜放送では、今も「ラジオ岐阜弁まるけ」のパーソナリティ―として活躍する一方、方言の調査・研究や講演活動も続けている。
なおのちほど紹介する神田さんの著書のイラストは、「岐阜弁笑景スペシャル」から「こんな話、知っとんさる?」までの6冊すべて、岐阜県を拠点に活躍するグラッフィック・デザイナーでイラストも手がけ、面白いダブル・ミーニングのイラストも得意とする福田たまきさんによるもの。30年を越える神田さんと福田さんの息の合ったコンビぶりで2度受賞している。
現在の出演番組
- ラジオ岐阜弁まるけ(ぎふチャン・1431khz(AMラジオ)(番組へのメール=gifuben@zf-web.com)
過去の出演番組
- はいこんにちは岐阜放送です(岐阜ラジオ・平日・13時00分~)
- ホリデイ・ヒット・ポップス(岐阜ラジオ・日曜・22時00分~23時00分)
- ふるさと賛歌(岐阜テレビ)
- 詩吟の広場(岐阜テレビ)
- ヤング・スタジオ1431(岐阜ラジオ・土曜・22時00分~23時50分)
- さわやかワイド岐阜トゥデイ(岐阜ラジオ・平日・7時00分~8時45分)
- イブニング・レポート(岐阜ラジオ・平日・17時00分~18時40分)
- 岐阜新聞ラジオ夕刊(岐阜ラジオ・日曜・17時00分~)
- サンダウン25(土曜・17時25分~)
- 今小町発ナイスデイ(岐阜ラジオ・平日10時00分~11時50分)
- まーへー3時半?(岐阜ラジオ・平日・15時30分~)
- 神田卓朗とマーガレットのポップス・トーク(岐阜ラジオ・月曜・21時00分~21時30分)
- ハナモク生活塾~これであなたも岐阜のじん(NHK岐阜・2006年~07年)
- 岐阜弁講座(NHK岐阜・2020年・5回シリーズ)
その他
ゲスト出演番組
- FM三重「Radio Flapper」(2018CBC「つボイノリオの聞けば聞くほど」(2018年1月31日)
- 東海ラジオ「はーさんとねねのすんどめ」(2018年2月5日)
- 三重テレビ「とってもワクドキ、とっても輝人」(2018年4月24日)
- CBC「つボイノリオの聞けば聞くほど」(2019年9月25日)
- 東海ラジオ「楽気DAY」(2019年10月26日)
- 名古屋テレビ「ドデスカ」(2024年6月26日)
- TBS「Nスタ」(2024年11月21日)
- エフエム岐阜「トワイライト・マジック」(2024年12月17日)
- 東海ラジオ「らじおガモン俱楽部」(2024年12月28日)
連載等
(タウン誌・季刊誌等)
- 岐阜弁笑景(月刊タウン情報岐阜・1995年5月~2001年8月・76回)
- ふるさとネットワーク(月刊ぎふ・1996年4月~2007年4月・130回)
- 岐阜よもやま話(岐阜北法人会季刊誌「篝火」・2013年3月~2026年3月・年間3回=連載継続中40回)
(新聞等)
所属学会
- にわか学会委員
- 岐阜学会初代代表委員
- 元日本音声学会会員