線は、僕を描く
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| 線は、僕を描く | ||
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| 著者 | 砥上裕將 | |
| イラスト |
丹地陽子(カバーイラスト) 砥上裕將(水墨画) | |
| 発行日 | 2019年7月3日 | |
| 発行元 | 講談社 | |
| ジャンル |
長編小説 青春小説[1] | |
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| 言語 | 日本語 | |
| 形態 | 四六判 | |
| ページ数 | 322 | |
| 次作 | 一線の湖[2] | |
| 公式サイト | bookclub.kodansha.co.jp | |
| コード |
ISBN 978-4-06-513759-8 ISBN 978-4-06-523832-5(A6) | |
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『線は、僕を描く』(せんは、ぼくをえがく)は、砥上裕將による日本の小説。水墨画の美しさに触れ、魅了された大学生の成長・再生を描く[3]。
2018年に『黒白の花蕾』のタイトルで第59回メフィスト賞を受賞し[4][5]、2019年6月27日に現在のタイトルに改題され、講談社から単行本が発売された[1]。2021年10月15日に講談社文庫版が発売された[6]。第17回本屋大賞第3位[7]。
『小説現代』2022年11月号に、本作の後日談となる短編「どら焼きと菊」が掲載された[8]。
コミカライズ版が『週刊少年マガジン』の2019年第29号から2020年第11号に連載された[9][10]。2022年10月に映画版が公開。
両親を失い孤独と喪失の真っ只中だった青山霜介は、親友の古前から、簡単な飾り付けだからと頼まれた展示会搬入の手伝いに参加したが、実際は背丈よりも巨大なパネル運びであり、霜介以外は逃走してしまい、古前に連絡し助っ人が来るまでの間に搬入の指揮をとっていた西濱湖峰と会話し打ち解ける。搬入完了後に西濱より弁当を食べていいよと言われ、同じく控室に行くと言う小柄な老人と会う。老人が控室内の箱から出した重箱詰めの弁当を共に食べ始め、箸の持ち方を褒められた。食後に老人の案内で展覧会会場に入り、展示の水墨画について感想を求められた霜介は簡単なコメントを返していたが、最後の絵では「黒一色なのに、色を感じる。真っ赤です。近寄りがたい美女です。」と返答。そこへ老人を探していた篠田千瑛がきて、老人は千瑛に霜介のことを話し、内弟子にするというと千瑛は反発した。霜介は意味がわからず立ち尽くしていると、千瑛がこの老人は篠田湖山と紹介し、千瑛は来年の湖山賞をかけて霜介と勝負すると言い出した。霜介が湖山賞を受賞したらおとなしく門派を去るという。
霜介が事故で両親を失ったのは2年前の17歳のときであった。叔父夫婦の家に引き取られたが、食事もほとんど取れなくなりやせ細っていき、高校へ登校はするものの、休み時間に抜け出しては誰もいない実家へ行くという生活になっていた。私立大学の附属高校であったので、卒業後の進路としてエスカレーター進学で大学へ行くよう周りから提案され、叔父夫婦の家からも実家からも離れた大学近くのワンルームマンションで一人暮らしをし大学を卒業するよう言われた。学費や家賃は両親の遺産で支払われている。偏差値が低いため附属高校からの進学する学生は皆無で、霜介を知る者がいない環境は新鮮であり、少しずつ人付き合いができるようになった。特に親しくなったのが、常に下心を持ち、清廉なまでに本心をさらして行動する古前であった。お互いあだ名をつけず、青山君、古前君と呼びあった。ある日の学食で、古前は「君は時々、心が別の場所に行っているな。あまりものを食べない、なにか理由があるのか?」と尋ねてきた。霜介は「ただ食べたくはないんだ、食欲が無いときはどうする?」と逆に問い、古前は「視点を変えて甘いものを食べる」と答え、このときに展示会搬入の手伝いを依頼してきた。
湖山の家で初回の練習として、湖山と長机を挟んで向き合い、湖山が水墨画を描くのを見せた後は、霜介に水墨で文字を書き続けさせて練習は終了し、帰宅途中に入った喫茶店でバイトをしているという同じゼミ生の川岸に会い、湖山門下や西濱の凄さを聞かされた。
2回目の練習では、斉藤湖栖がお茶を出し、湖山が斉藤について紹介した。今回は霜介のみ道具が用意され、湖山はこれらの道具を大事に使うよう霜介に渡し、今回は墨をするよう言われた。何度かすり直しさせられ、湖山は「粒子だよ、墨の粒子が違うんだ。君の心や気分が墨に反映されるんだ。力を抜くことこそ技術だ。心を自然にしなさい。」と言った。
ある日の練習後に、西濱とともに藤堂翠山のもとへ翠山の生徒の作品を返却へ向かう。お茶と庭で採れたメロンをごちそうになったあと、翠山は崖蘭を水墨画で描き画賛と落款を入れて霜介に渡した。湖山の家に戻ると、湖山と千瑛と斉藤が向かいあい、千瑛と斉藤が牡丹を描いたが、湖山はなにも言わず、西濱に描くように指示し、西濱は命が入っている牡丹の絵を描いた。湖山は「水墨画とは森羅万象を描く絵画だ。森羅万象とは宇宙だが、外側だけかね、心の内側に宇宙はないのか(自分の心の内側を見ろ)」と言った。
霜介の大学で学園祭。水墨画サークルとして作品展示を行う。湖山も来場し理事長名島の依頼でその場で揮毫会を開催した。学園祭後は、湖山賞へ向けての作品製作のスパートだが、湖山が倒れたと連絡が入り病院に駆けつけるものの、転倒したついでの検査入院であった。霜介に「形ではなく、命を見なさい」と言った。霜介は帰りに千瑛とともに実家へ。叔父が手入れしているようで、照明や暖房はきちんと稼働した。千瑛はマンションより温かさを感じると言った。
登場人物
青山霜介 ()- 大学1年生。高校生の時に両親を失い、喪失感に暮れる中、展覧会会場で水墨画の巨匠・篠田に声をかけられ、内弟子となる。
篠田湖山 ()- 水墨画の巨匠。展覧会会場で会った霜介にかつての自分を重ね、半ば強引に内弟子にさせる。
篠田千瑛 ()- 水墨画家で、花卉画を得意とする。祖父・湖山が霜介を内弟子にしたことが気に入らず、1年後の「湖山賞」をかけた勝負を宣言する。私立の昇華女子大に通う大学生でもある。
西濱湖峰 ()- 水墨画家で、湖山の二番手。風景画を得意とする。普段は上下作業服で頭にタオルを巻き、軽いノリで会話する。翠山の孫娘・茜に惚れている。
斉藤湖栖 ()- 水墨画家で、湖山賞最年少受賞者。プログラムされた機械のように完璧な技術を有する。
藤堂翠山 ()- 湖山が一目置いている水墨画家。妻を数年前に亡くし、孫娘の茜に身の回りのことをさせている。
古前 ()- 霜介の親友を自称する男子大学生。坊主頭にサングラスが特徴。文化系サークルのまとめ役でもある。
川岸 ()- 霜介と同じゼミに通う女子大学生。母親が趣味で日本画をしており、美術界隈にも詳しい。
名島 ()- 霜介の通う瑞野文化大学の理事長。湖山とは知り合いである。
書誌情報
小説
- 砥上裕將『線は、僕を描く』
- 単行本:2019年9月27日発売、講談社、ISBN 978-4-06-513759-8
- 文庫本:2021年10月15日発売、講談社文庫、ISBN 978-4-06-523832-5
漫画
- 砥上裕將(原作・水墨画監修)/ 堀内厚徳(漫画)『線は、僕を描く』 講談社〈講談社コミックス〉、全4巻
- 2019年9月17日発売、ISBN 978-4-06-517072-4[11]
- 2019年11月15日発売、ISBN 978-4-06-517353-4[12]
- 2020年1月17日発売、ISBN 978-4-06-517885-0[13]
- 2020年3月17日発売、ISBN 978-4-06-518521-6[14]