職業訓練受講給付金
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職業訓練受講給付金(しょくぎょうくんれんじゅこうきゅうふきん)は求職者支援制度の一つであり、雇用保険を受給できない求職者(特定求職者)が公共職業安定所(ハローワーク)の指示によって求職者支援訓練や公共職業訓練を受ける場合に、国が特定求職者に対して支給する給付金である。
この給付金は、雇用保険法第64条(能力開発事業のうちの就職支援法事業)、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律(求職者支援法)第7条第1項に基づく制度であり、経済的な不安を解消しながら、スキルアップに専念して早期就職を目指すことを目的としている。
職業訓練受講給付金は、2011年(平成23年)10月1日に創設された求職者支援制度において、特定求職者(後述)が求職者支援訓練等の職業訓練を受けることを容易にするために給付するものであり(法第7条第1項)、特定求職者の就職を促進し、もって特定求職者の職業及び生活の安定に資することを目的としている(法第1条)。求職者支援制度創設の経緯は「求職者支援制度」を参照。
前身の緊急人材育成支援事業(基金訓練)では受講期間中の生活の支援をする趣旨で「訓練・生活支援給付」という名称であった。2010年(平成22年)に開催された労働政策審議会では、給付金の趣旨が受講期間中の生活の支援なのか、再就職支援に重点あるのかが議論となった[3]。
2011年(平成23年)2月1日の第75回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会において、厚生労働省職業安定局は「訓練の受講生に対し、単純に生活を支援するということよりは、むしろその生活の支援を通じて訓練の受講を容易にしていく。それがこの給付金の制度趣旨ということ」で「職業訓練受講給付金」という名称にし、「受講期間中の生活を支援するために行う給付」という趣旨を含むと説明した[4]。
対象
特定求職者
職業訓練受講給付金の給付対象者は、求職者支援制度の「特定求職者」である。具体的には、ハローワークに求職の申込みをしている者のうち、労働の意思及び能力を有しているものであって、職業訓練その他の支援措置を行う必要があるものと公共職業安定所長が認めたものである。ただし、雇用保険法第4条第1項に規定する被保険者である者及び同法第15条第1項に規定する受給資格者である者を除く(法第2条)。
対象となる職業訓練
特定求職者が公共職業安定所(ハローワーク)の指示によって次に掲げる求職者支援訓練等を受講した場合に職業訓練受講給付金が支給される。職業訓練受講給付金は求職者支援制度の一つではあるが、給付の対象となる職業訓練は、求職者支援訓練に限られない(法第7条)。
- 求職者支援訓練(求職者支援制度における認定職業訓練、法第4条)
- 国、都道府県及び市町村並びに独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置する公共職業能力開発施設の行う職業訓練(職業能力開発総合大学校の行うものを含む。)
- 雇用保険法第15条第3項の政令[5]で定める訓練又は講習
- 雇用保険法第63条第1項第3号の講習及び訓練
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第13条の適応訓練
- 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第25条第1項の計画に準拠した同項第3号に掲げる訓練
- 船員の職業能力の開発及び向上に資する訓練又は講習として厚生労働大臣が定めるもの[6]
支給要件
職業訓練受講給付金の支給を受けるには、支給単位期間(原則として訓練開始日を起算日として1か月ごとに区切った個々の期間)ごとに次の支給要件を満たす必要がある(則第11条)。ただし、通所手当については収入要件が緩和されるため、通所手当のみ受給できる場合がある[7]。
- 本人の収入[注釈 1]が月8万円以下(通所手当については月12万円以下)
- 世帯[注釈 2]全体の収入が月30万円以下(通所手当については月34万円以下)
- 世帯全体の金融資産(現金、預貯金、債券、株式及び投資信託等)が300万円以下
- 本人が現に居住している土地・建物以外に土地・建物を所有していないこと
- 全ての訓練実施日に出席(訓練時間数を受講)[注釈 3]すること(やむを得ない理由による欠席の場合又は子の養育や介護中等の場合は8割以上の出席)
- 同世帯の中で、同時に職業訓練受講手当を受給して訓練を受けている人がいないこと
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、失業等給付等の特定の給付金の支給を受けたことがないこと
- 過去6年以内に職業訓練受講給付金の支給を受けたことがないこと(やむを得ない理由により訓練を途中で退校した場合を除く)
種類
職業訓練受講給付金は、職業訓練受講手当、通所手当及び寄宿手当からなっており(則第10条)、前述の支給要件の他にそれぞれの支給要件を満たした場合に支給される。ただし、支給単位期間が28日未満の場合は、支給額を別途算定する。
- 職業訓練受講手当:月額10万円
- 通所手当:最も経済的かつ合理的と認められる通常の通所経路・方法による運賃または料金の額(上限あり)
- 寄宿手当:月額10,700円(訓練を受けるため同居の配偶者などと別居して寄宿する場合)
給付金の申請
訓練期間中から訓練修了後、支給単位期間が一つ終わるごとにハローワークで職業相談を受け、職業訓練受講給付金の申請を行う[7]。
特定求職者が、正当な理由がなく、ハローワークの就職支援(訓練修了後の就職支援を含む)を拒否すると、就職支援指示が取り消され給付金が支給されなくなる場合がある(法第13条第2項、第12条第1項、則第14条)。
特定求職者に対する融資制度
特定求職者に対する融資制度は、求職者支援制度に基づく事業として実施されている。法令上の位置づけとしては、則第10条の職業訓練受講給付金に関連して[注釈 4]、国が、当該事業又は保証に要する経費の一部補助を行う(実際には債務保証と債務免除に要する費用負担を行う)ものとされている[8][9]。
求職者支援資金融資
求職者支援資金融資は、特定求職者のうち職業訓練受講給付金の支給決定を受けた者を対象とした貸付制度である(則第16条)。就職を理由とする返済の免除措置はない[10][11]。
職業訓練受講手当を受給しても、訓練期間中の生活費が不足する場合に、労働金庫[12]が資金を融資するもので、貸付額は、単身者等は月額5万円、同居または生計を一にする別居の配偶者、子または父母のいずれかがいる場合は月額10万円で、受講予定訓練月数(最大12か月)をかけた額である[13]。
リ・スキリング等教育訓練支援融資
リ・スキリング等教育訓練支援融資は、特定求職者が生活面の不安無く訓練を受けることができるよう、労働金庫[12]が「教育訓練費用」と「教育訓練期間中の生活費」を融資する制度である(則第16条の2)。求職者支援資金融資・職業訓練受講給付金との併用はできない[14]。
- 教育訓練費用:貸付対象のうち、見積書やパンフレット等によって必要な金額が確認できる額で年間120万円まで
- 生活費:月10万円を限度として、生活に必要な額として申請された額
対象となる訓練は求職者支援訓練に限られない[14]。
- 学校教育法に基づく大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専修学校または各種学校が提供する教育訓練
- 厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を実施している法人等が提供する教育訓練
- 求職者支援訓練または公共職業訓練等
求職者支援訓練、公共職業訓練又は厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を修了し、訓練終了日の翌日から1年以内に雇用保険被保険者として就職し、1年以上継続的に雇用され、賃金が5%以上上昇した場合、債務残高の返済が一部免除される[15]。
- 賃金が5%上昇したとき:残債務の30%免除(上限100万円)
- 賃金が10%上昇したとき:残債務の50%免除(上限150万円)