求職者支援訓練
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緊急人材育成支援事業(基金訓練)
求職者支援制度は、2009年(平成21年)7月から時限措置として実施されていた「緊急人材育成支援事業(基金訓練)」を基にして、2011年(平成23年)10月1日に恒久的な制度として創設された[3]。
2009年(平成21年)5月29日、平成21年度第1次補正予算が成立したことを受けて、中央職業能力開発協会が緊急人材育成・就職支援基金による緊急人材育成支援事業を開始した。緊急人材育成支援事業は、あくまで緊急の予算措置による2011年度末(平成23年度末)までの時限事業として創設されたものである。基金訓練は、2011年(平成23年)9月開講分をもって終了となった[4]。
当時の深刻な経済危機の中で、雇用調整により離職を余儀なくされた非正規労働者等の失業期間が長期化していくことが懸念されることから、雇用保険受給資格のない者や雇用保険受給終了者等の長期失業者に対する雇用のセーフティネットを作り、公共職業安定所(ハローワーク)が、雇用保険を受給できない者を対象に、職業訓練(基金訓練)、再就職及び生活への支援を総合的に推進することを目的としていた[5]。詳細は、「基金訓練」を参照。
求職者支援制度の創設
2010年(平成22年)6月18日閣議決定「新成長戦略」[6]において、雇用保険と生活保護の間をつなぐ第2セーフティネットの整備(求職者支援制度の創設等)が盛り込まれた。
2010年(平成22年)12月17日、国家戦略担当大臣・財務大臣・厚生労働大臣の三大臣間で、「平成23年度予算における求職者支援制度及び雇用保険国庫負担の本則復帰の取扱いについて」が合意され、「緊急人材育成支援事業の終了後においては、緊急人材育成・就職支援基金に残額(当該事業の実施のためのものに限る)が生じた場合には、求職者支援制度が、実質的に当該事業を恒久化するものであることに鑑み、当該残額を求職者支援制度の財源として活用する」ことが決定された[7][8]。
2011年(平成23年)1月31日、雇用保険(失業給付)を受給できない求職者の早期就職を支援するためのセーフティネットの検討を行った労働政策審議会は、厚生労働大臣に対し、「非正規労働者への新たなセーフティネットを恒久制度として創設することは、今すぐに実施すべき最重要課題」として、求職者支援制度を創設すべきであるとの建議を行った[9]。
2011年(平成23年)2月1日、厚生労働大臣は「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案要綱[10]」を労働政策審議会に対し諮問し、同日付でおおむね妥当と認める答申がなされた[11]。法律案は同年2月10日の閣議決定を経て2月14日に国会に提出された。5月13日に法案成立(公布は5月20日)、10月1日に施行された。
求職者支援制度
概要
求職者支援制度は、緊急人材育成支援事業(基金訓練)と同じく、雇用保険の基本手当(失業給付)を受給できない求職者に対するセーフティネットとして、無料の職業訓練(求職者支援訓練)を実施するとともに、職業訓練を受けることを容易にするための給付金を支給すること等を通じ、当該求職者の早期の就職を支援することを目的としている(法第1条)。
厚生労働省所管の事業である[12]。求職者支援制度の具体的な取扱いについては、求職者支援制度業務取扱要領[注釈 2]において規定されている。
- 求職者支援訓練:当該求職者の就職に必要な基礎的及び実践的な職業能力を高めるための訓練を受講する機会を確保する
- 職業訓練受講給付金:当該求職者が一定の要件を満たす場合には、その訓練期間中の生活を支援するための給付を支給する
- 就職支援:ハローワークが中心となって当該求職者に対して就職支援を行う
特定求職者
求職者支援制度の対象となる「特定求職者」とは、ハローワークに求職の申込みをしている者のうち、労働の意思及び能力を有しているものであって、職業訓練その他の支援措置を行う必要があるものと公共職業安定所長が認めたものである。ただし、雇用保険法第4条第1項に規定する被保険者である者及び同法第15条第1項に規定する受給資格者である者を除く(法第2条)。
- ハローワークに求職の申込みをしていること
- 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
- 労働の意思と能力があること
- 就職のために職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
具体的には、雇用保険の受給終了者や、受給資格要件を満たさなかった者、育児などによる長期間離職者などのほか、雇用保険の適用対象ではなかった離職者、学卒未就職者、自営廃業者等離職者ではないが求職している者等が対象者となる[13]。
求職者支援訓練
求職者支援制度における認定職業訓練
求職者支援訓練は、民間の教育訓練機関の申請に基づき、法第4条の基準に適合する職業訓練として、厚生労働大臣の認定を受けた職業訓練である(求職者支援制度における認定職業訓練)。認定を受けた求職者支援訓練はハローワークインターネットサービスで検索することができる[14]。
多くの職種に共通する基礎的能力を習得するための「基礎コース」と、基礎的能力と特定の職種の職務遂行に必要な実践的能力を一括して習得するための「実践コース」がある。訓練期間は2か月から6か月[15]。
- 基礎コース:多くの職種で必要とされるパソコンスキル、ビジネスマナー、コミュニケーション能力などを習得するコース。
- 実践コース:特定の職種(IT、介護、WEBデザイン、医療事務、建築など)で即戦力となるための専門知識・技能を習得するコース。
なお、厚生労働省は、この求職者支援制度における認定職業訓練を「求職者支援訓練」と言い[16]、職業能力開発促進法における認定職業訓練を「認定職業訓練」と呼んでいる。
認定職業訓練実施奨励金
国は、認定職業訓練が円滑かつ効果的に行われることを奨励するために、認定職業訓練を行う訓練実施機関に対する助成として、認定職業訓練実施奨励金を支給する(法第5条、則第7条)。この助成は雇用保険の能力開発事業(就職支援法事業)として実施される(雇用保険法第64条)。
奨励金の支給を受けるには、職業訓練の講師は実務等の経験を5年以上有するなどの認定基準に適合していること、訓練実施機関は職業訓練の認定の申請に当たり「講師の経歴等確認書」を高齢・障害・求職者雇用支援機構に提出することなどが必要である[17][18]。
受講申込・メリット
求職者支援訓練の受講にあたっては、原則として居住地を管轄するハローワークで職業相談を行い、ハローワークで相談のうえ就職支援指示を受ける必要がある。受講の必要性を確認、適切なコースを選定し、ハローワークで受講申込の手続きをする。訓練校にて行われる選考(学科試験、面接試験等)に合格すれば受講できる。
求職者支援訓練の受講料は無料である。ただし、テキスト代などは自己負担である[13]。訓練を修了することで、公的な職業訓練を受けた実績として履歴書に記載できる[注釈 3][19]。
職業訓練受講給付金
就職支援
公共職業安定所長は、特定求職者の就職を容易にするため、当該特定求職者に関し、就職支援措置(職業指導、職業紹介、認定職業訓練等)が効果的に関連して実施されるための計画(就職支援計画)を作成し、就職支援措置を受けることを指示する。就職支援計画を作成した場合には、特定求職者に対し、就職支援計画書を交付する(法第11条、第12条)。
指示を受けた特定求職者は、その就職支援措置の実施に当たる職員の指導又は指示に従うとともに、自ら進んで、速やかに職業に就くように努めなければならない(法第13条)。
青少年雇用対策基本方針(令和3年厚生労働省告示第114号)[20]では、離職後、相当な期間が経過した青少年(35歳未満の若年者のこと)や一度も就労したことのない青少年等雇用保険を受給できない青少年に対しては、早期の就業に向け求職者支援訓練により支援することとされている。