送襟絞
柔道の絞技。おくりえりじめ。
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概要
変化
映像資料『講道館柔道 固技 分類と名称』(講道館)では縦四方固から片腋下で相手の頭を抱え、その腕で相手の襟を持つ絞技が送襟絞として紹介されている。
相手の左からの横四方固からの送襟絞としては右腕を相手の後頭部の下を通して相手の左前襟を持って絞める。左腕は相手の左脚を外からまたは内から抱える。外から抱える場合、相手の右襟を持って基本形の様な両手の使い方で絞めることもある[3][4]。

相手の後頭部を手刀で抑えながらの送襟絞もある。
相手の背後について右手で相手の右後肩から喉を通して相手の左横襟を握り、左手で相手の左後肩から喉を通して相手の右前襟を握り、両腿で両腕の上から相手の首を挟み込み両手を引き絞り、両脚を絞めながら伸ばし身体を反って絞める[5]送襟絞もある。
亀姿勢の相手の右側から右手で相手の左襟を取り、左手で相手の左脚を取り、右脚を相手の後頭部に掛け、左膝で相手の背を抑えての絞技をIJFは送襟絞と発表している。
- 試合での実例
- グランプリ・ブダペスト2018女子57 kg級準々決勝戦
地獄絞
地獄絞(じごくじめ)は相手の片腕に両脚または片脚をかけ制して絞める送襟絞。東京大学柔道部で中堅をつとめた星崎治名はこの技は従来、講道館にはなく高専柔道から生まれ出た技であることを1934年の自著で強調している[7]。両腕の使い方を原形の送襟絞と同様にして絞める場合[8]や片羽絞の様に絞める場合[9]などがある。書籍『柔道 絞め技入門』では両腕の使い方を片羽絞の様に絞める場合は片羽絞に分類している[10]。一方、映像資料『講道館柔道 固技 分類と名称』(講道館)ではこれも送襟絞に分類している。両腕の使い方を片羽絞の様に絞める地獄絞の画像は英語版で見ることができる。柔道家の神田久太郎は研究か工夫した技に挙げている[11]。別名横転絞(おうてんじめ)[9]、地獄攻め(じごくぜめ)[8]、かかし[8]。
柔道家の尾形源治は1930年の書籍『柔道神髄』でこの技と崩横四方固の一種を合せて両所攻(りょうしょぜめ)と呼んでいる[13]。
脚掛地獄絞
脚掛地獄絞(あしかけじごくじめ)は相手の左腕を右脚のみを掛けて制し、左手で親指を中にして相手の左襟を持ち、左脚を相手の頭部に掛けて絞める地獄絞である。
腰絞
腰絞(こしじめ)はうつ伏せの相手を絞める送襟絞。国際柔道連盟では技の分類を制定した1995年9月の分類では送襟絞とは別の技とした。1998年2月、講道館の分類に合わせる形で送襟絞に包含された[14]。

横絞
横絞(よこじめ)は亀姿勢の相手の横について絞める腰絞。試合で極まるほとんどの腰絞は横絞である。上から回り込みながら絞める事が多い。
ブラジリアン柔術ではアナログ時計の針のように両者が回りながら絞めることが多いのでクロックチョーク (clock choke) と呼ばれる。
両腕の使い方を原形の送襟絞と同様にして絞める場合が多いが片手絞の様に相手の脚を内側か外側から掴んだり、下穿きの裾を掴んだり、片腕を相手の片腕に絡めながら手首を掴んで制したり、片肘を相手の自分側またはその反対側の側頭部に当てたりしながら絞めたりする場合も送襟絞に包含される。別名横送襟絞(よこおくりえりじめ)[15]。
- 試合での実例
- グランドスラム・バクー2019女子48 kg級2回戦
帯絞
帯絞(おびじめ)は亀姿勢の相手の横に着いて相手の後ろ帯を持っての腰絞。相手の左側について右手で相手の後ろ帯を持ち、左手で相手の右横襟を持って絞める[20]。
柏崎絞
柏崎絞(かしわざきじめ)は四つんばいのの相手にガードポジションから左手で相手の左襟を持ち右手で相手の後帯を取って右上腕で相手の後頭部を抑え絞める腰絞[21][22][23]。上になって縦四方固になりイタチ絞に連絡することもできる。柏崎克彦は共著の書籍『柔道絞め技入門』では片手絞、自著の書籍『寝技で勝つ柔道』では送襟絞としている[24]。
俵絞
俵絞(たわらじめ)はうつ伏せの相手の頭のほうから覆いかぶさるがぶりの体勢から送襟絞をかける腰絞。相手をうつ伏せのまま極める場合、相手もろとも横転して仰向けになって極める場合もあれば、自らガードポジションになって極める場合もある。
回転式送襟絞



回転式送襟絞(かいてんしきおくりえりじめ)は前述の四つんばいの相手にバックグラブから回転して極める送襟絞[25][26]。相手の横側に前転し、相手を横転させて絞める。右手で相手の左前襟を取り、左手で相手の左脚を抱えたり、左下穿きを取り、左脚または両脚で相手の胴を制する。四つんばいの相手の背後についてバックグラブから回転しないで極める場合もある[27]。ブラジリアン柔術でいうところのボウアンドアローチョーク[28]。別名回転送襟絞(かいてんおくりえりじめ)[29]、ズボンチョーク[28]、弓矢絞[28]。
- 試合での実例
- 2014年アジア競技大会柔道女子団体決勝戦52 kg級
- ×中村美里(日本) (送襟絞 (AJJF) [30]) チョン・ウンジョン(韓国)○
- チョン・ウンジョンは回転式送襟絞を仕掛けたが回りきらまま絞め続けた。タイムアップとなったが、ビデオ判定で中村が落ちたとされ、一本勝ちとなった。
- 世界柔道選手権2015アスタナ大会男子66 kg級1回戦
- グランプリ・デュッセルドルフ2017男子100 kg級決勝戦
- 平成30年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会女子48 kg級準決勝戦
- 2018年世界柔道選手権大会バクー女子63 kg級3回戦
- グランドスラム・デュッセルドルフ2019男子66 kg級準決勝戦
足片羽絞
分類問題
回転式送襟絞を送襟絞に分類するか、片手絞に分類するかで柔道界で混乱が生じている。
上述のように試合での決技も送襟絞になったり、片手絞になったりしている。書籍『柔道絞め技入門』(柏崎克彦、小室宏二著)では送襟絞の一種だとして、初版では表紙カバーに柏崎克彦がこの技で受け役を絞める画像が掲載されている[10]。Webサイト「柔道チャンネル」ではこの技は片手絞の一種だとして、イラストも掲載されている[46]。この技は2010年代の柔道では最頻発の絞技だが「IJFレフェリング・アンド・コーチング・セミナー2018」でプレゼンテーションされた2016年2017年一本決技頻度トップ10に入った絞技は両年とも送襟絞のみだった[47]。また、上述のように講道館特別後援の講道館杯でこの技を片手絞と発表している。
雑誌『近代柔道』は2019年2月号では回転式送襟絞を「片手絞め」と称して複数ページにわたって技術特集している[48]。一方、2019年4月号では上述のようにグランドスラム・デュッセルドルフ2019での丸山城志郎がこの技で勝った際の決技を「送襟絞」と報じている[43]。
片手巻絞
片手巻絞(かたてまきじめ)は送襟絞の一種[49]。立ち姿勢から右腋下で相手の頭を抱え、右手で相手の右前襟を持ち、左手で内無双の形で相手の右内腿を抑え、体全体で前に推すようにして相手の首を絞める[50][51]。またはがぶりの体勢から右腋下で相手の頭を抱え、右手で相手の右前襟を持ち、相手を押し込んで座らせ左腕で相手の右脚を掬って絞める[49]。
左腕は相手の右腕を掬ってシングルチキンウィングに制するこの片手巻絞に似た絞技もある。
同名の絞め技として相手の正面から右腕を相手の後頭部から回して相手の左襟を取って絞めるものもある[52]。左手で相手の右腕または左腕を制してもよい。相手の背後から右手で相手の左襟をとり左側に自分だけ横転し相手の正面に回って絞める方法もある。
- 試合での実例
- グランドスラム・東京2017女子78 kg級決勝戦
- ○浜田尚理(日本) (03:40 送襟絞[53]) フーシェ・ステーンハイス(オランダ)×[54]
ねずみとり
ねずみとりはがぶりの姿勢から右手で相手の右襟をつかみ、相手の右から半回転横転して崩上四方固の下に潜り込んで左手で相手の背中の上衣などを掴んでの送襟絞。奥田義郎の得意技。岡野功は横転する際、空いた腕で相手の片腕を巻き込みながらの手法を得意とした。1964年東京オリンピックで岡野が極めた際の記録は「送襟絞」。別名後片羽絞(うしろかたはじめ)[55]。
- 試合での実例
- 1964年東京オリンピック柔道競技中量級決勝トーナメント1回戦
- ○岡野功(日本・中央大学)(1:15 送襟絞)リオネル・グロッサン(フランス)×[56]
- 10月21日、岡野は下に潜り込んだが極めきらず、いったん両手でグロッサンの右襟を持って上になってまた左手を相手の背中の上衣に持ち替えグロッサンを絞め落とした。
ライターの柳澤健は、この技はアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラが2004年のPRIDEヘビー級GPで披露したスピニングチョーク(アナコンダ・チョーク)と全く同じ技だとしている[57]。一方、この技は相手の上衣の片横襟と背を掴んで絞める着衣格闘技の技だが、スピニングチョークは両腕を組んで絞める裸体格闘技でも使用できる技である。
小手絞
小手絞(こてじめ)はがぶりの姿勢やシッティングガードポジションやうつ伏せの相手の頭部が股間付近にある[58]姿勢から右手で相手の右襟をとり、左手首または左前腕で相手の後頭部を抑えながら自らの右前腕部の下に左手を手の甲が接触するように差し込んで絞める絞技[59]。左手首を反らして絞める。小室宏二は自著『柔道 固技教本』(晋遊舎)では片羽絞、共著『柔道絞め技入門』では送襟絞の一種であるとしている[60]。別名腕絞り(うでしぼり)、ポケット絞(ポケットじめ)、後片羽絞(うしろかたはじめ)[55]、手緘絞(てがらみじめ)[61]。
- 試合での実例
- 2017年世界柔道選手権大会ブダペスト女子57 kg級3回戦
逆送襟
逆送襟(ぎゃくおくりえり)はがぶりの姿勢から左上腕部を受の左側頭部に当て左手で右横襟を取り、右手で受の左腋下を通して左前襟を持っての絞め技[63]。
