臨界電流

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臨界電流(りんかいでんりゅう、critical current)とは、超伝導体が超伝導状態を維持したまま流すことのできる最大電流である。電気抵抗ゼロである超伝導体であっても、無限大の電流を流せるわけではなく、ある値を超えると超伝導状態が破壊され、常伝導状態へと転移する。このときの電流値を臨界電流 と呼ぶ。臨界電流を断面積 で割った値臨界電流密度という。実用上は臨界電流密度 が重要な指標となる。

超伝導を発見したヘイケ・カメルリング・オネスは、1911年に水銀の超伝導を報告し、その後、断面積 0.01 mm2合金線に約8 Aの電流を抵抗なく流せることを示した。しかし、これより大きな電流を流すと超伝導状態は破壊される。この現象は、電流が作る自己磁場や運動エネルギーによって超伝導凝縮エネルギーが打ち消されることに起因する。

理論的背景

超伝導状態は、BCS理論によればクーパー対形成によるエネルギーギャップ によって安定化されている。電流が流れるとクーパー対は有限の運動量を持ち、運動エネルギーが増加する。ロンドン理論では超伝導電流密度は

と表される( は超伝導キャリア密度)。電流が増大すると超流体速度 が増加し、臨界速度 に達するとクーパー対が破壊される。

BCS理論から導かれる理想的な脱対破壊臨界電流密度

で与えられる( は熱力学的臨界磁場、ロンドン侵入長)。

第I種超伝導体と第II種超伝導体

臨界電流の物理機構は超伝導体の型によって異なる。

第I種超伝導体

第I種超伝導体では、臨界磁場 を超えると超伝導が完全に消失する。電流による自己磁場が表面で

は線半径)

となり、これが に達すると常伝導に転移する。

第II種超伝導体

第II種超伝導体では、磁束が量子化された磁束量子

として侵入する。電流が流れると磁束線(ボルテックス)にローレンツ力

が働き、磁束が運動すると電圧が発生する。したがって臨界電流は、磁束ピン止め力とローレンツ力が釣り合う条件で決まる。実用超伝導体(NbTi、Nb3Sn、REBCOなど)は第II種であり、臨界電流は主にピン止め機構により決定される[1]

温度・磁場依存性

関連概念

脚注

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