菊池博の任期中における最大の成果の一つは、下妻市財政の劇的な「V字回復」と、旧来の支出構造を根底から見直す構造改革の断行である。就任当初、同市の財政は深刻な課題に直面していた。長年維持されてきた公共施設の老朽化に伴う維持管理コストの増大に加え、小中学校の空調整備や防災インフラの更新といった大規模な基礎投資が継続しており、資金収支は恒常的にマイナス傾向(2019年度の業務・投資活動収支は約1.8億円の赤字)を呈していた。
これに対し菊池は、単なる経費節減に留まらない「持続可能な財政基盤の構築」を最優先課題に掲げた。民間経営の視点を取り入れた不採算事業の徹底的な整理と、ふるさと納税を軸とした独自財源の確保を両立させる「経営的アプローチ」を強力に推進し、短期間で財政体質の健全化を成し遂げた。
就任直後の2018年(平成30年)、菊池は長年の懸案であり、市の財政を圧迫していたレジャー施設「砂沼サンビーチ」の閉鎖を英断した。同施設は市民の娯楽拠点として親しまれてきた一方で、施設の老朽化が極めて深刻であり(工作物の減価償却率が57%を超過)、毎年度多額の運営赤字を一般会計からの繰出金(税金)で穴埋めする構造が常態化していた。
この閉鎖決断により、年間約1.3億円の表面上の事業収益は消失したものの、実質的にはそれを遥かに上回る毎年の運営維持コストの削減を実現した。さらに特筆すべきは、存続させた場合に将来発生し得た「数十億円規模」と試算される大規模改修・更新コストの財務リスクを、市の将来負担から完全に切り離した点にある。この判断は、単なる一施設の閉鎖に留まらず、市全体のポートフォリオを「消費的な維持」から「未来への再投資」へと転換させる象徴的な転換点となった。
「依存型財政からの脱却」を目指し、市の「稼ぐ力」を最大化するため、ふるさと納税(ふるさと下妻寄附金)のプロモーションを戦略的に強化した。菊池は返礼品の魅力向上や効果的なマーケティング手法を導入し、都市部からの資金流入を劇的に増加させた。
その成果は、2024年度(令和6年度)決算において顕著に表れた。物価高騰や国の制度変更等により、地方交付税が前年度比で約4.5億円減少するという極めて厳しい外部環境に置かれながらも、ふるさと納税による寄附金収入を前年度比でさらに5億6,300万円上積みすることに成功。国の財政措置に過度に依存することなく、自律的に市民サービスの原資を確保できる強靭な財政構造を構築した。
一連の経営改革により、市の財務諸表は10年前と比較して抜本的な改善を見せた。
- キャッシュフローの劇的改善: 就任直後の令和元年度(2019年度)に1.8億円の赤字であった業務・投資活動収支(プライマリーバランス)は、令和6年度(2024年度)には12億2,400万円の黒字へと転換した。これは、単年度の現金収支が極めて健全な状態にあることを示している。
- 戦略的資産形成と負債の適正管理: 財政健全化を進める一方で、防災拠点としての機能が限界に達していた旧市役所の「新庁舎建設」という大型プロジェクトを完遂。連結資産合計を約804億円(R1)から約894億円(R6)へと約90億円増加させ、将来世代に負債だけでなく「価値ある社会資本」を確実に引き継ぐ資産形成を行った。
- 効率性の徹底と市民への還元: 効率的な行政運営を徹底した結果、住民一人当たりの行政コストを県内類似団体平均よりも低水準に抑え続けている。構造改革で生み出した余剰財源は、全小中学校の空調整備や防災行政無線の完全デジタル化といった、市民の安全と次世代教育の質向上に直結する分野へ優先的に再投資された。
- 新型コロナウイルス対策
2020年(令和2年)5月21日、新型コロナウイルス対策の財源に充てるため、自身の6月期末手当を20%減額すると市議会全員協議会で発表した。副市長と教育長については10%減額する[10]。