著作権に対する批判

From Wikipedia, the free encyclopedia

「コピミ」(Kopimi)のシンボルは、現代の著作権法とその慣行に反対するスウェーデンの組織である海賊局と、組織として独立する前のBitTorrentトラッカーであるパイレート・ベイの以前の運営者によって設計された反著作権イニシアチブである。

著作権に対する批判(ちょさくけんにたいするひはん)または反著作権感情(はんちょさくけんかんじょう)は、現行の著作権法著作権という概念そのものに疑問を投げかけたり、反対する見解を指す。批判者は、それらの法律やその施行に関する哲学的、経済的、社会的な正当性についてしばしば議論しており、著作権の恩恵はコストに見合っていないと主張する。彼らは現行制度の変更を提唱しているが、その内容についてはグループによって意見が異なる。著作権の対象範囲が狭く、保護期間も短かった時代への回帰を求める声もあれば、許諾を得ることなく複製することができるフェアユースのような概念の拡大を求める声もある。著作権そのものの廃止を求める者もいる。

著作権への反対は、より広範な社会改革運動の要素の一部となることが多い。例えば、フリーカルチャー運動の支持者であるローレンス・レッシグは、情報共有を容易にしたり、権利の所在が不明な著作物の問題に対処したりする手段として、著作権法の緩和を提唱している[1]。また、スウェーデン海賊党は、著作権の有効期間を5年に制限することを提唱している[2]

希少性のなさ

反著作権のシンボル

著作権批判者は、著作権が設定された作品は、物理的な財産と異なり、オリジナルを破壊したり他者の所有権を奪ったりすることなく複製できるため、希少性はないと主張する。希少性は、多くの国が政策として著作権制度を設置し、無断複製を行った者を罰することで生み出されている。そのため批判者たちは、著作権侵害は窃盗とは異なるとよく指摘する。なぜなら、窃盗は盗まれたものにアクセスすることを出来なくする行為だからである[3][4]

経済的影響の不確実性

著作権法が、その影響に関する実証的研究に基づいて評価されることはほとんどない。批判者は、著作権法がほとんどの著作者にとって経済的に有益であるかどうかは不明確であると述べている[5][6][7]

IT関連の懸念事項

海賊局の創設者の一人であるラスマス・フライシャーは、著作権法はインターネットに対応できておらず、時代遅れだと主張している。フライシャーは、インターネット、特にWeb 2.0によって「盗む」という概念そのものが不確かなものとなり、従来のビジネスモデルはダークネットの現実に適応する必要があると述べている[8]。彼は、Web 2.0を制限しようとする試みの中で、21世紀の著作権法はテクノロジー全体を犯罪化することにますます関心を向けており、その結果、著作権で保護されている可能性のあるファイルへのリンクを表示しているというだけの理由で、様々な検索エンジンが近年攻撃を受けていると主張している。フライシャーは、Googleはまだほとんど攻撃されていないものの、著作権のグレーゾーンで事業を展開していると指摘している(例えばGoogle ブックスは、著作権で保護されているものも含む書籍のページを表示し広告収入を得ている)[8]。一方、Google ブックスは書籍の大部分を非表示にしているため、権利者の正当な利益を損なうものではないという意見もある[9]

著作権法は国家安全保障上の問題として改革されるべきだと提唱する者もおり、西側諸国はAI軍拡競争で優位に立つために、テキストマイニングに関する法的例外を設けるべきだという主張がある[10]

文化的側面

QuestionCopyright.orgによる「コピーは盗みではない」という動画。ニナ・ペイリー作。

知識の自由

「知識の自由」を支持するデモ参加者。看板には 「著作権は知識へのアクセスを妨げている」(Copyright is preventing access to knowledge)とある(2007年)

Hipatiaなどの団体は、「知識の自由」の下に著作権に反対する主張を展開し、知識は「連帯して共有されるべき」と主張する。こうした団体は、「知識の自由」を権利、あるいは国際的に認められた人権である教育を受ける権利自由な文化の権利、自由なコミュニケーションの権利を実現する上で不可欠なものと捉えている。彼らは、現在の著作権法は、新たなテクノロジーに依存する現代社会において、これらの権利の実現を阻害し、人類の進歩を妨げたり遅らせたりするものだと主張している[11]

著作者と創造性

オルタナティブ・ロー・フォーラムの創設者であるローレンス・リャンは、現在の著作権は「著作者」の定義が極度に狭いことに基づいており、その定義は明確で議論の余地がないと根拠なく想定されていると主張している。リャンは、「著作者」という概念は文化や時代を超えて普遍的な意味を持つと想定されているが、実際にはそうではないと指摘する。リャンは、独創的な精神を持つ唯一無二の超越的な存在としての「著作者」の概念は、大量生産品の拡大から「著作者」の人格を分離するために、産業革命後のヨーロッパで構築されたものだと主張する。そのため、「著作者」によって創作された作品は独創的であると見なされ、当時普及していた 財産権のドクトリンと融合したのだという[12]

リャンは、「著作者」という概念は著作権の概念と結びついており、社会が知識の所有権をどのように認識するかという新たな社会関係を定義するために出現したと主張する。「著作者」という概念は、個人の貢献と個人の所有権が「共同体知識」の概念よりも優先される、特定の知識生産プロセスを自然なものとして定着させたのだという[12]。著作権は「著作者」の概念に基づいており、現行制度は知的財産権がなければ著作者は創作意欲を失い、芸術家は経済的なインセンティブがなく新たな作品を生み出すことができないという前提に立っている。リャンはこうした論理に異議を唱え、「創作物の市場性がほんとどなく、結果として著作権が事実上活用の機会がない多くの著作者が、過去にも現在にも創作を続けている」と主張している[12]。リャンは、創作者は純粋に個人的な満足感を得るためか、仲間からの尊敬や評価を得るために作品を創作していると指摘する。リャンはまた、19世紀には著作権制度が実質的に存在しなかったため、文学作品が大量に創作されたと主張する。また、著作権は通常、出版社に利益をもたらし、著作者にはほとんど利益をもたらさなかったと述べている[12]

文化的作品の保存

パブリックドメイン研究センターは、アメリカ合衆国における長大な著作権保護期間が、デジタル化される前に歴史的な映画やその他の文化的作品を劣化させ、崩壊させているという懸念を表明している[13]。同センターは、著作権保護期間を「馬鹿げているほど長い」と表現し、権利者にとって経済的な利益はほとんどなく、歴史的遺物の保存の取り組みを妨げていると述べている[13]。所長のジェニファー・ジェンキンスは、アメリカ合衆国で作品が95年後にパブリックドメインになる頃には、長い著作権保護期間の結果として既に失われているだろうと述べている[14]

倫理的問題

著作権制度は、いくつかの倫理的問題を提起する。

検閲

著作権の批判者たちは、著作権が表現の自由[15][16]、ビジネス上の競争[17]、学術研究[18]、芸術的表現[19]を抑圧するために悪用されてきたと主張している。その結果、デジタルミレニアム著作権法などの著作権法は、権利者が「学術的な議論やインターネット上での批判を検閲する」ことを可能にした[18]

哲学的側面

セルマー・ブリングスヨルドは、あらゆる形態の複製は(商業利用を除けば)道徳的に許容されると述べている。なぜなら、許容される複製と、許容されない複製の間には合理的な差がないからだという[20]

エドウィン・ヘッティンガーは、知的財産に対する自然権の議論は弱く、財産を正当化する哲学的伝統は知的財産について考慮する際の指針にはならないと主張している[21][22]。シェリー・ワーウィックは、現在の著作権法は一貫した倫理的根拠を持っていないように見えると述べている[23]

組織と研究者

著作権の廃止を支持する団体

ファイル共有を支持するスウェーデンのデモ(2006年)

パイレーツ・シネマ英語版貴族同盟英語版のような団体は、著作権の廃止を支持している。P2Pファイル共有デジタル権情報の自由をめぐる議論の中で、著作権に反対する団体が多く出現した。その中には、オーディオノーツ協会[24][25]ニュージーランドコピミズム伝道教会などが含まれる[26][27]

2003年、コロンビア大学法学部教授のエベン・モグレンは、コンピュータ技術とインターネットの発展を踏まえてカール・マルクスの『共産党宣言』を再解釈した『ドット共産主義宣言』を出版した。内容の多くは、著作権法と特権をマルクス主義的な観点から論じている[28]

BitTorrentやP2Pファイル共有に関する近年の動きは、メディア評論家によって「著作権戦争」と呼ばれており、パイレート・ベイは「急成長している国際的な反著作権運動、あるいは海賊版擁護運動の中で最も目立つ存在」と評されている[29][30]

著作権法の改正を求める団体

2008年1月、スウェーデン与党の一つである穏健党所属の国会議員7人が、スウェーデンのタブロイド紙に寄稿し、ファイル共有の完全な非犯罪化を訴えた。彼らは、「非営利のファイル共有を全て非犯罪化し、市場にその適応を促すことは、最善の解決策であるだけでなく、唯一の解決策でもある。さもなければ、市民のインターネット上での行動をますます広範囲に制限することになるだろう」と述べている[31]

既存の著作権法の活用を支持する団体

既存の著作権制度に特別なライセンスを適用して問題解決することを主張する団体には、コピーレフト運動[32]クリエイティブ・コモンズなどがある[33]。クリエイティブ・コモンズは、著作権そのものには反対せず、既存の著作権法の中で、より柔軟で開かれた著作権ライセンスの利用を提唱している [34]

学者と評論家

著作権に批判的な学者や評論家には、ローレンス・リャン[35]ホルヘ・コルテル英語版ラスマス・フライシャーステファン・キンセラ英語版ミケーレ・ボルドリン英語版デイヴィッド・K・レヴィン英語版シヴァ・ヴァイディヤナサン英語版などがいる。

レフ・トルストイのような伝統的なアナキストは、著作権を拒否した[36]

関連項目

参考文献

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI