西尾実
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委員・役員ほか
研究内容・業績
- 中世文学の研究
専門は日本の中世文学で、世阿弥の能楽のほか、『徒然草』や『正法眼蔵』などに多くの業績を残した[3]。また、雑誌『文学』の編集や「日本古典文学大系」の監修などにも貢献した[3]。
- 国語教育について
師範学校出身の元教師ということもあり、西尾は国語教育も重視した。その教育観を一口に言えば、「優れた文学の鑑賞による人間の形成」である[4]。西尾は「作者の情意的感動の種子が主題となり、その主題が自律的に展開するのが構想である」と考え、「文学作品研究の対象は、叙述から掴める形象にあるので、鑑賞は直観によって作品全体を捉えることから始め、この創作過程に沿って、解釈から批評へと深められるべきだ」とした[4]。戦後は「鑑賞そのものの価値は、読み手の主体的真実にある」とし、「個人的であっても、主観的であっても、そこに文学鑑賞の意義を見出すことが、新しい文学教育の方向性だ」と主張した[4]。
この国語教育における西尾の考えは、日本語の捉え方にも関係している。西尾は、文芸などの文化とその基盤というべき生産母体としての言語生活を国語教育の領域に位置づけ、その言語生活を質的に高いものへと高めていく構造を提起した[4]。日常における談話生活のための教育を地盤領域に話し言葉を置き、言語生活それ自体を文化的に高めていくことを目指す「言語生活主義」である[5]。西尾は国語教育の「国語」を「国語学が対象とするようなものではなく、現実態として捉えたものでなければならない」と考え、国語教育は「国語の現実態に立脚した生活、または文化の平和的革命だ」と主張した[5]。言語を「人と人とを繋ぐもの」として捉え、「人が人らしくなるためには、生きた言葉によって我々の心を拓き、命を向上させなくてはならない」と説くなど、言語による「通じ合い」を重視していたのである[5]。
- 指導学生