説教、説話、祈り
From Wikipedia, the free encyclopedia
初演
編成
音楽
この時代のストラヴィンスキーの他の音楽同様、十二音技法を使って書かれている。音列の第1-5音・第3-7音・第8-12音の5音ずつがそれぞれ長三度の狭い音程内におさまっている[5]。
前作の『ムーヴメンツ』以来、ストラヴィンスキーは十二音を6音ずつに分けて、6音を回転させることによって5種の新たな音列(原形を加えて6種類)を生みだす技法を使用している。『説教、説話、祈り』では6種類の音列を順に鳴らすことによって旋律を作るだけでなく、さらに6種類を同時に重ねることで和音を作っている。この技法は『説教、説話、祈り』ではじめて採用された[6]。
また、「説話」の最後や「祈り」の最後のアレルヤ部分の和音は音列とその逆行・反行・逆行の反行を同時に鳴らすことによって得られる[7]。
内容
説教
第1曲の歌詞はパウロ書簡から信仰と希望に関する言葉を選んだもの(「ローマ人への手紙」8:24-25、「ヘブライ人への手紙」11:1、12:29)で、アルト・テノール・合唱によって歌われる。
曲は前後2つの部分に分かれ、いずれも器楽ではじまる、よく似た(同一ではない)形式を取る。
説話
第2曲はもっとも長く、全体の半分近くを占める。歌詞は「使徒言行録」第6-7章の抜粋で、キリスト教最初の殉教者とされるステファノについて歌う。この曲では合唱は休み、かわりに語り手が参加してメロドラマの形式を取る(語り手はこの曲にのみ登場)。
語り手とアルトの歌が交互にステファノの殉教について物語るが、両者はしばしば重なりあう。ステファノ自身の言葉はテノールによって歌われる。クライマックスの、人々がステファノに石を投げる箇所(7章57-58節)はアルトとテノールが複雑に重なりあう。管弦楽はかなり複雑な構造を持つ[8]。最後の部分(7章59-60節)はアカペラで語り歌われる。
祈り
第3曲はエリザベス朝時代のトーマス・デッカーによる『ノアの箱舟の4羽の鳥』(Foure Birdes of Noahs Arke)という祈祷集に出てくる「勉強部屋または学校に行く前の子供のための祈り」[9]を元にしている。
アルトによって歌いはじめられ、テノール、合唱が順に重なりあうポリフォニー音楽である。合唱とともに出現する管弦楽はハープ・ピアノ・コントラバスの低音のユニゾンにタムタムを重ね、重々しいオスティナートを奏でる。同音、とくに変ホ音の繰り返しは葬送の鐘を思わせる[10]。曲はアレルヤコーラスによって静かに終わる。