遙かなる山の呼び声
日本の映画作品、テレビドラマ番組
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概要
1977年の『幸福の黄色いハンカチ』の山田洋次監督と高倉健が再び顔を合わせ、警察に追われる男と、牧場を切り回す母子の出会いと別れを描く[5][8]。『幸福の黄色いハンカチ』と同じ北海道の根釧原野の小さな酪農の町、中標津町を舞台とし、ゆったり流れ移る四季やそこに暮らす人々の姿を丹念に描いた[5][9]。『幸福の黄色いハンカチ』の高倉、倍賞千恵子、武田鉄矢に吉岡秀隆、ハナ肇が加わり、渥美清が特別出演している[1]。
ヴィクター・ヤングによる映画『シェーン』の主題曲[注 1]の邦題「遙かなる山の呼び声」(原題:The Call of the Faraway Hills)から着想を得て制作され[10][注 2]、一種のオマージュ作品となっている[8][9][11]。
ストーリー
- 春
北海道、中標津の酪農地帯。ある嵐の夜、1人の男(高倉健)が酪農を営む風見民子(倍賞千恵子)のもとを突然訪れ、雨風しのぎにどこでもいいので泊めてほしいと懇願。民子は男を物置小屋に泊まらせる。深夜の牛の出産を手伝った翌朝、男は礼を言い立ち去るが、民子の息子から礼金を受け取るときに父親を亡くしたことを知る。

- 夏
再びその男、田島が民子のもとを訪れ自分を農作業員として雇うよう懇願する。民子は一人息子の武志(吉岡秀隆)を育てつつ、夫の精一が開拓した農場を女手一つで営む未亡人であった。民子は田島をしぶしぶ雇い入れたが、当初は田島に警戒感を隠さなかった。ある日、民子に好意を寄せる虻田太郎(ハナ肇)が現れ、民子に乱暴しかける。それを目撃した田島は水をかけて追い返したが、虻田太郎は兄弟を引き連れ仕返しにやって来る。そして草原で虻田3兄弟と決闘をする事に。しかし3人は簡単にやられてしまい、手打ちと言うことで逆に田島を兄貴と慕うようになる。民子が農場での作業中に腰を痛めて入院している間に武志は田島にすっかり懐いてしまい、その息子の姿や虻田3兄弟に慕われる田島の実直な性格を見るうちに、田島にだんだんと好意を寄せるようになる。田島も函館からはるばる訪ねてきた兄の駿一郎(鈴木瑞穂)に、しばらく民子の農場に居るつもりだと打ち明けるように、落ち着きたい気持ちが湧いていた。
- 秋
田島は草競馬に参加して見事優勝[注 3]。しかし長居することで身辺に警察の捜査が迫ってきたことを知り、田島は民子らのもとを去る決意をする。その晩、別れを告げると同時に、隠し通してきた過去を民子に告白。2年前、田島は借金を苦に自殺した自分の妻を葬式の席で罵った金融屋を殴り殺してしまい、警察の捜査から逃げていると言うのだ。それを聞いた民子はショックを隠せないで居た。その夜、牛が急病になる。民子は急ぎ飲み屋で飲んでいた獣医(畑正憲)を呼んで診察を受けさせる。稼ぎ頭の牛が危ないという辛い状況の中で、民子は田島に「行かないで、私寂しい」とすがりついてしまう。明け方までには牛の手術も終わり騒ぎも収拾した。と間もなく農場のそばにパトカーがやって来て、田島は立ちつくす民子と「おじちゃん!どこ行くの?」と泣きながら追いかける武志の元から去って行く。
- 冬
田島に傷害致死として懲役2年以上4年以下の刑が確定。ラストシーン、国鉄釧網本線弟子屈駅(現在のJR北海道釧網本線摩周駅、急行大雪は通らないがロケは弟子屈駅で行われた)に停車中の急行列車(「大雪」号)の車中に網走刑務所へ護送される田島を虻田が見つける。そして民子が田島の座る席まで来るのだが、護送職員の目を気にして声をかけられないでいる。そこで虻田は向かい側のボックス席に民子と座り、彼女が酪農を辞めて武志と中標津の町で暮らしながら田島を待っているということを民子との会話にして田島に聞かせる。そして民子は黄色いハンカチを田島に渡し、田島は涙を拭いながら窓に顔を向けるのであった[注 4]。
出演
スタッフ
製作
山田洋次監督は「『幸福の黄色いハンカチ』の場合、素材が先にあって健さんを選んだんだけど、健さんを知ることによって今度は彼を主人公にした物語を色々思い浮かべ、『遙かなる山の呼び声』はその一本です」などと述べている[12]。
演出
山田監督は演出の言葉として「大草原を駆け回るキツネやウサギ、草を食む馬の群れ、川に澱むマスやヤマベ、空を舞うオジロワシ。輝くばかりの緑に覆われた根釧原野の短い夏を舞台にさすらいの男と牛を飼う女との間に咲いた美しい花のような恋物語を描きたい」と述べた[5]。ただ牛と馬以外の生き物は出ない。棒読みの人がたくさん出るのは地元民[13]。
撮影
零細酪農家を取り上げた作品ということで、当初牧場所有者はロケ地提供を渋っていたが、倍賞千恵子との交流を通じて承諾した。倍賞はその後、毎年の半分をこの牧場で私的に過ごすようになった。
高倉健は、同じ北海道を舞台にした東映の『動乱』と1979年夏と秋に少し撮影が重なった[14][15]。
武田鉄矢は出番は少ないが「(1979年)8月から撮影に入ります」「映画はリズムに合う。朝が早くて、夕方には終わりになるでしょう」などと撮影前の雑誌インタビューで述べている[16]。
ロケ地
興行
梅田松竹会館(後の梅田ピカデリー)のこけら落とし上映作品でもある。
作品の評価
興行成績
批評
稲田隆紀は「こんな甘酸っぱい事があっていいのか、というのはたやすいけれど、ホロリとさせられてしまう。やはり腕なんでしょうね。但し、健さんのワンパターンには食傷気味です」などと[18]、宇田川幸洋は「題名にしろストーリーにしろ『シェーン』から頂いているのは誰の目にも明らかなのに、クレジットにわざわざ『原作 監督 山田洋次』と書くのはどういう神経なんだ」などと[18]、おすぎは「くやしけど、泣きました。あのラストシーンで泣けない人は鬼でしょう。いつもなら山田作品には★1つしか上げないけど、子役(吉岡秀隆)と健さんとラストに★3つです」などと[18]、金坂健二は「『シェーン』の焼き直しもいろいろあるが、これは農協版です」などと[18]、北川れい子は「幕が降りるか降りないうちに化粧室に飛び込んだら、涙の跡も生々しい女たちがドヤドヤとやってきて、鏡の前で一斉にお化粧直しでした」などと[18]、後藤和夫は「山田洋次は性と犯罪に関しては故意に盲目になる監督」などと評している[18]。
受賞歴
テレビドラマ
| 遙かなる山の呼び声 | |
|---|---|
| ジャンル | テレビドラマ |
| 原作 | 山田洋次 |
| 脚本 |
山田洋次 坂口理子(第1作) 石川勝己(続編) |
| 演出 | 朝原雄三 |
| 出演者 |
阿部寛 筧利夫 高畑淳子 佐藤優太郎 中原丈雄 常盤貴子 |
| 音楽 | 沢田完 |
| 製作 | |
| 製作総指揮 |
亀井威(松竹) 出水有三(NHK、第1作) 樋口俊一(NHK、続編) |
| プロデューサー | 嶋村希保(松竹、続編) |
| 制作 | NHK |
| 放送 | |
| 放送局 | NHK BSプレミアム |
| 放送国・地域 | |
| 放送期間 | 2018年11月24日 |
| 放送時間 | 土曜 21:00 - 22:29 |
| 放送枠 | スーパープレミアム |
| 放送分 | 89分 |
| 回数 | 1 |
|
公式サイト (2019年1月28日アーカイブ分) | |
| 続 遙かなる山の呼び声 | |
| 出演者 | 真飛聖 藤井隆 北山雅康 金田明夫 山下容莉枝 |
| 放送期間 | 2022年9月17日 |
| 放送時間 | 土曜 21:00 - 22:29 |
| 放送分 | 89分 |
| 回数 | 1 |
| 公式サイト | |
| 遙かなる山の呼び声 (再編集版) | |
| 放送局 | NHK総合 |
| 放送期間 | 2023年9月23日 - 10月14日 |
| 放送時間 | 土曜 22:00 - 22:50 |
| 放送枠 | 土曜ドラマ |
| 放送分 | 50分 |
| 回数 | 4 |
特記事項: 再放送は、BSプレミアム:2019年2月10日(日)午後2時30分から3時59分 BS4K:2019年3月6日(水)午後2時45分から4時14分 総合:2019年3月21日(木・祝)よる7時30分から8時53分(83分・再編集版)[20] | |
NHK BSプレミアム「スーパープレミアム」のスペシャルドラマとして、2018年11月24日の21時から22時29分に放送された[7]。主演は阿部寛[21][22]。
原作映画の設定に新たな登場人物や要素を加え、4K映像にて制作する[21][22]。
2022年9月17日に続編となる『続 遙かなる山の呼び声』が放送された[23][24]。
2023年9月23日から10月14日まで、『遙かなる山の呼び声』のタイトルでNHK総合の「土曜ドラマ」枠で放送された[25]。これまで放送された2作品に未公開シーンを追加したディレクターズカット版として放送される[25]。
キャスト
主要人物
その他
スタッフ(テレビドラマ)
関連番組
- 山田洋次と語る“遙(はる)かなる山の呼び声”
- 初回放送:2018年11月18日 23時20分 - 23時49分、NHK BSプレミアム
- 出演:山田洋次、阿部寛、常盤貴子、朝原雄三
- アナウンサー:桜井洋子
- 内容:メイキング映像、主演・阿部寛のインタビュー、山田洋次・常盤貴子・朝原雄三による鼎談など。