醤骨頭

中国東北部で食べられる豚の骨付き肉料理 From Wikipedia, the free encyclopedia

醤骨頭(ジャングートウ、中国語: 酱骨头拼音: Jiàng gǔ tou)は、中国東北部を中心に食べられる豚肉の骨付き肉料理である[1][2]。豚の背骨大腿骨中国語: 大骨)などを醤油ベースのタレと香辛料で長時間煮込み、骨の周囲の肉や骨髄をかぶりついたり吸い出したりして食べるのが特徴とされる[1][3]醤大骨(ジャンダーグゥ)と表記されることもあり[4][5]、日本語の紹介記事では、「豚背骨の醤油煮込み」や「豚ガラの特製醤油煮込み」などと訳されている[1][6]

種類 煮込み料理、肉料理
フルコース 主菜
発祥地 中華人民共和国の旗 中国
概要 醤骨頭, 種類 ...
醤骨頭
ハルビン市の飲食店で提供される醤大骨棒
種類 煮込み料理、肉料理
フルコース 主菜
発祥地 中華人民共和国の旗 中国
地域 中国東北部
主な材料 豚の背骨・大腿骨、醤油、香辛料
テンプレートを表示
閉じる

名称とバリエーション

中国語では繁体字で「醬骨頭」、簡体字で「酱骨头」と書き、豚骨を醤油や香辛料で煮込んだ料理の総称として用いられる[1][7]北京市東城区人民政府の解説では、主材料となる骨の部位により、豚の背骨を使う「醤脊骨」、排骨を使う「醤排骨」、棒状の骨を使う「醤棒骨」などに分類される[7]

ハルビン市のグルメガイドでは、「醤骨頭」は主として背骨を用いる料理を指し、棒状の骨を用いる料理は「醤骨棒」や「大骨棒」「醤大骨棒」として紹介されている一方で、実際の飲食店ではこれらが同じメニュー欄に並べられ、広義には同系統の料理として扱われていると説明している[8]。日本語のガイドブックでは、豚の太い背骨を醤油や香辛料で煮込んだ料理を「醤骨頭(醤大骨)」とし、骨の中の骨髄をすすって食べる料理を「醤骨棒」として紹介しており、いずれも中国東北料理における安価で人気のある大衆料理として位置づけている[9]

調理法

豚の背骨や大腿骨を主材料とし、醤油や酒に花椒八角桂皮月桂樹の葉、小茴香陳皮ネギショウガなどの香辛料や薬味を加えて布袋にまとめ、長時間煮込んで作られる[7][10]。大きめの骨付き肉を用いることで、煮込むにつれてうま味が増し、肉の香りが引き立つとされる[7]

歴史・背景

中国東北地方は緯度が高く、冬の寒さが厳しいため、肉や野菜を長時間煮込む「燉菜中国語版(ドゥンツァイ)」と呼ばれる煮込み料理が発達した[11]。醤骨頭もその一種であり、温かいうちに家族で食べることで極寒の冬に体を温める料理としての側面も持つ[11]。味付けには、現地の特産である大豆から作られた「東北大醤(東北風みそ)」や醤油が用いられる[11]。また、骨の周りの肉は旨味が強いとされ、肉を粗く削ぎ落とした後の骨を利用することから、安くて美味しい大衆料理として人気がある[10][12][6]

食べ方

大腿骨にストローを差して骨髄を吸い出して食べる醤大骨棒(ハルビン市内の飲食店)

大皿に山盛りにされた骨付き肉を手づかみで豪快に食べるスタイルが一般的である[13][14][15]。手が汚れるのを防ぐため、使い捨てのビニール手袋が提供されることが多い[1][12][16]。食べるのに手間がかかるが、その過程も含めて楽しまれ、カニを食べるときの没入感に例えられることもある[12][14][17]

可食部は骨の周囲に残った肉や筋、および骨の内部にある骨髄である。

  • 肉 - 箸で削ぎ落としたり、骨を直接手で持ってかぶりついて食べる[1][12]
  • 骨髄 - 大腿骨など棒状の骨を用いる「醤骨棒」では、ストローで骨の内部の骨髄を吸い出して食べる[8][4][1]。背骨を用いる料理では、骨を割り、指や歯でこそげ取って食べる[16][18]

日本での提供

池袋永利」の東北醤骨頭
横浜中華街「東北人家 本館」の豚背骨ガラ肉の特製醤油煮込み

日本では、在日中国人が経営する中国東北料理店や、いわゆる「ガチ中華」と呼ばれる本場志向の中国料理店などで醤骨頭(醤大骨)が提供されている[17][6][15]。当初は主に中国人客が注文する料理であったが、日本人客の間でも徐々に認知されるようになった[17]

  • 池袋では、中国東北料理店「永利」が古くから営業しており、「東北醤骨頭(豚背骨のタレ煮付け)」として提供されている[12][13][17]。骨付き肉を山盛りにした名物料理で、特製のタレと生薬でじっくり煮込んだ豚背骨を手づかみでかぶりつく豪快なメニューとして紹介されている[12][15][17]
  • 横浜中華街にある中国東北料理店「東北人家 本館」では、「豚背骨ガラ肉の特製醤油煮込み」として看板メニューの一つとなっている[18][19]。大皿に盛られた背骨のガラを、用意されたポリ手袋を着けて関節を割り、コラーゲンをしゃぶるようにして食べる料理として紹介されている[18][19][5]
  • 東京都新宿区高田馬場駅周辺では、中国のチェーン店「犟骨头(超级排骨饭)」が「爆款犟骨头套餐」などのメニュー名で、豚の頸骨スペアリブを山盛りにした骨付き肉の醤油煮込みを提供している[16][20][14]

このほか、日本各地の中国東北料理店やラム肉専門店などでも、背骨や棒状の骨付き肉を醤油ベースのタレと多数の香辛料で煮込み、骨の周囲の肉と骨髄をほじりながら食べる料理が、醤大骨や類似の名称で提供されている[6][20][12][14]

類似料理

鶏架(ジージア)
遼寧省瀋陽市では、鶏がら(鶏架)を塩や唐辛子、醤油などで味付けし、骨に残った肉を食べる庶民的な料理として広く知られている[21][22][23]
醤牛骨(ジャンニウグー)
豚骨の代わりに牛骨を用いたもの。黒竜江省ハルビン市ハラール・レストランなどで提供される[24]
羊蝎子中国語版(ヤンシエズ)
羊肉の背骨を煮込んだ料理[25]。横浜中華街の「東北人家 新館」では、一番人気のメニューとして特製ラム背骨の醤油煮込みが紹介されている[25]。池袋のラム肉専門店では、太い骨付き肉を用いた「ラムのゲンコツ醤油煮(麻辣羊棒骨鍋)」が提供されている[26][27]

脚注

参考文献

関連項目

Related Articles

Wikiwand AI