防雪柵

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防雪柵(ぼうせつさく)は、冬期間の吹雪で発生する吹き溜まりや視程障害(視界不良、ホワイトアウト)による鉄道道路の障害から、列車とその運行や道路を通行する車両などを守る構造物のこと。英語ではSnow fenceと呼ばれる[1]

国立研究開発法人土木研究所に属する独立行政法人土木研究所寒地土木研究所(以下、寒地土木研究所)による、道路構造物としての防雪柵の定義は次の通りとなっている。[2]

防雪柵は、吹雪対策のために鋼板等の材料で作られた防雪板で柵前後(風上、風下)の風速や風の流れを制御して、道路の吹きだまり防止や視程障害の緩和を図ることを目的とした吹雪対策施設である。第3編 防雪柵編 第2章 防雪柵の定義と特徴 1. 防雪柵の定義 独立行政法人土木研究所寒地土木研究所

上記の定義により、防雪柵の目的は構造別に、交通路線(鉄道や道路)から離れた場所に冬期間のみ設置(条件や状況により常設)して柵の周辺に吹き溜まりを作って交通路線を守るものと、交通路線に近接かつ平行に設置して風の流れをコントロールし、交通路線上に吹き溜まりを作らないと同時に吹雪による視程障害(ホワイトアウト)を防ぐものとがある。

歴史

世界の例

最も古い記録として、1852年のノルウェーの文献にを立てて雪を集め、それを家畜の飲み水にしたという記述があり、これが最も古い防雪柵の記録とされている。その後、この構造からあえて吹き溜まりを作る防雪柵の原型が見いだされ、ヨーロッパでは19世紀半ばに最も早く鉄道用の防雪柵が設置された。当時の防雪柵は2m四方のパネルを1単位とした柵として、吹き溜まりによって埋まるたびに移設する方法が取られていた[1]

北米では1868年大陸横断鉄道の防雪用として大きな石のブロックを並べたものが最も古い防雪柵とされる[1]

世界的にも、地域ごとの経験に基づいて設置した防雪柵については成功例を見るが、同じ構造物を別の場所に設置したものの、その地域の気象特性に合わないために防雪対策として失敗する例も数多く、その事から徐々に信頼性を失い、その後安価な人件費や燃料費による機械的な除雪(ラッセル車ロータリー車など)に傾倒するようになり、以降の防雪柵の本格的な普及は後の気象工学・流体力学・鉄道及び道路構造・植生などを総合的に勘案した防雪工学の発達を待つ事となった[1]

日本の例

日本海沿岸地域で古くから行われている雪囲い、家屋(左側)と道路海側(右側)に木板塀を設けている方式

日本では古くから・木板塀などで、風雪の強い雪国や海岸部などでの家屋周囲を囲ったり、あるいは海岸部に面した道路の海側に風よけを兼ねて建てられる「雪囲い」と呼ばれる防雪柵に通ずる構造物が作られてきた。現在でも北海道などの一部地域では「雪囲い」を作る文化が見られる[1]

交通施設に関連するものとしては、1880年代の鉄道路線に吹雪対策として作られた「雪よけの板塀」が始まりとなる。しかし当初は吹き溜まりがどこに出来るかを予測するのが困難で、吹き溜まりのコントロールがうまく出来なかった事や、木製構造物ゆえの蒸気機関車から生じた火の粉による出火事故もあって不評で、その後はもっぱら鉄道防雪林に代わっていったという[1][2]

道路用としては、1961年に初めての防雪柵として「吹きだめ柵」が試験後に設置されていて、当時は木製の防雪柵だったという。その後、1967年北海道開発局建設機械工作所(当時)による「吹き払い柵」の開発が始まって1969年から国道に設置されるようになり、さらに1981年から土木試験所(現、国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所)によって「吹き止め柵」の研究が始まって1988年より設置されるようになった[1][2]

上記の道路用防雪柵の研究成果と実績から有用性が再評価され、新たに研究も進められてきた事から、現在では一部の防雪柵構造(後述)が鉄道路線用としても再び使われるようになってきている[3]

構造

脚注

関連項目

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