731 (映画)

From Wikipedia, the free encyclopedia

731
731
監督 趙林山
脚本
製作
出演者
撮影 賀翔
製作会社
配給
  • 北京環鷹時代文化伝媒有限公司
公開
  • 2025年9月17日 (2025-09-17) (ハルビン、長春プレミア上映)
  • 2025年9月18日 (2025-09-18) (中国大陸、香港、マカオ、オーストラリア、ニュージーランド)
  • 2025年9月19日 (2025-09-19) (アメリカ合衆国、カナダ)
  • 2025年9月25日 (2025-09-25) (マレーシア)
上映時間 125分[1]
製作国 中華人民共和国の旗 中国の映画
言語 中国語
日本語
ロシア語
朝鮮語
モンゴル語
興行収入 19.10億人民元(中国)[2]
100萬リンギット(マレーシア)
テンプレートを表示

731』(ななさんいち)は、2025年9月18日に公開された中国の戦争・スリラー・ドラマ映画である。本作は人体実験を行ったとされる旧日本軍の「731部隊」を題材にした映画である。別名『瘋狂731』『731:生化啓示録』。

映画は2025年9月18日の柳条湖事件記念日に中国大陸で公開された[3]。作品は体験者の視点から、3000名以上の中国および各国の犠牲者が生体実験の材料とされた暗黒の歴史を暴いているとされる[3]

興行収入

正式な公開日発表前、外部では映画が2025年7月31日に公開されるとの噂が広まっていた。各映画チケット購入プラットフォームは公開前夜に2025年7月31日の上映日を削除し、「未定」または「2025年上映」に変更したため、一時的に憶測を呼んだ[4][5]。最終的に満州事変の発端となった2025年9月18日に延期されることになった[6][5]。なお変更の理由は明らかになっていない。

上映方式は通常の2D、CINITY 2D、中国巨幕 2D、IMAX 2D、ドルビービジョン 2Dが含まれる[7][8]

2025年9月17日、映画のプレミア上映会が黒竜江省ハルビン市および吉林省長春市で開催された[9][10]

映画は2025年9月18日に香港およびマカオで同時公開され、銀都機構、洲立影片、東方影業が共同配給した。当時の人体実験の残虐な場面を忠実に再現しているため、香港の電影檢查處およびマカオの文化局によって、それぞれ「三級(III)片」(18歳未満の観覧禁止)および「C組電影」(13歳未満の観覧禁止)に指定された[11]。監督は初日舞台挨拶で「日本でもぜひ上映したい」と意気込みを語っている[12]

本作は公開前から広く注目を集め、チケット購入・評価プラットフォーム猫眼での「観たい」登録数が450万を突破し、それまで『唐人街探案3』が保持していた記録(観たい登録数445.8万)を更新した[13]

9月17日夜、映画は正式に前売りを開始した。猫眼の統計によると、前売り興行収入は当日に1億元を突破し、中国映画史上初めて前売り興行収入(先行上映分を除く)が1億元を超えた非春節期(旧正月シーズン以外)の映画となった。同時に、初日の前売り上映回数は23.6万回を突破し、『速度与激情9』の22.9万回の記録を超え、中国映画史における初日上映回数記録を更新した[14]。9月18日の公開当日の夜には、興行収入は3億4572万元(約70億円)3億元を突破した[15]。初週興行収入は12億2800万元(約245億円)を記録した[16][17]。だが、そこから売上は雪崩的に急落している[16][17]

演出

731の演出には、日本文化を外国人の視点から解釈したものが登場する。演出の例を以下にあげる。

  • ハルピンの街で日本の伝統行事「山笠祭り」が行われる[18]
  • 「731」の収容所の廊下で、何の脈絡もなく付き人があんどん番傘まで持っているかなり本格的な花魁道中が行われる[19]
  • 中庭で捕虜たちに綱引きをさせ、負けた方が処刑される[16]
  • 刑場の脇でちょんまげに白装束の男たちが三味線を弾いている。
  • 「必勝」と書かれた日の丸の鉢巻を締めたふんどし姿の男たちがどこからともなく大量に現れ、巨大な丸穴の周りで正座する[18]
  • 血まみれの実験室で、日本兵が頭蓋骨に絵の具で色を塗る[18]
  • 日本陸軍の女性将校(馮文娟が演じる)が登場する[18][注釈 1]
  • 731収容所の牢屋が、現代の日本の民宿のようである[19]
  • 731部隊長の石井四郎中将が「世界征服の計画はまた一歩前進した。近いうちに自由の女神万里の長城モスクワ赤の広場パリエッフェル塔、ことごとくわが支配下に置かれよう」などと発言する。
  • 731部隊隊長の石井四郎が、天皇陛下の御前会議で下半身を露出して小便をする[20]
  • 妊婦の囚人は開腹手術を強制され、腹から取り出された新生児には首元に桜の焼印が押される[18]

上記の演出が史実に則っているか不明である。中国国内で放映されている抗日ドラマ(いわゆる抗日神劇)のように、日本文化への不理解、誇張、偏見、誤解、史実に基づかない演出が散見される[18]

愛知学院大学准教授の広中一成は演出に対し、「細菌感染の恐れがある危険な場所で花魁道中が行われるわけがなく、女性士官も存在しない。奇妙な日本観に基づく演出だ」と批判している[21]。しかし、女性士官は当時男装の麗人として有名であった川島芳子を彷彿とさせる。この女性士官のみ日本語が片言で他の日本兵から日本人かどうかを疑われているシーンがあることからも、満洲人のルーツをもつ川島芳子をキャラクター化したものと思われる。

この他にも、SNSでは、脱獄を夢見る少年収容者がピーター・パンのように空を飛ぶ形で脱獄を試みるという演出が批判されている[16]。また、収容所から脱獄するというプロットは、韓国の人気ドラマ「イカゲーム」に似ていると指摘する意見もある[19]

評価

2025年9月18日、映画が公開された直後は、前評判通りの大ヒットとなった。中国共産党関係のメディア環球時報は、「映画は日本の侵略戦争の最暗部を見詰めており、国や言語の違いを超越した共感を呼び覚ます」と絶賛している[22]

しかし、中国人の間で評価は二極化し賛否両論となった。

高評価を与えた観客は、表現の幅が広く、歴史の真相を再現していると称賛し、映画のスケールが大きく、字幕がある点を中国国産映画の大きな進歩であると見なした。

一方、低評価を与えた観客は、監督のレベルが低く、映画の物語が混乱しており、安っぽいネットドラマのような質感になっていると批判した。特に主人公の脱獄シーンが物語の主軸を占めすぎている点を挙げ、良い題材が駄作にされ、歴史に申し訳ないと疑問を呈した。さらに、否定的な評価をした観客からは、鑑賞中に主人公・王永章のコミカルなシーンや映画の音楽によって、多くの観客から失笑が絶えなかったとの指摘もあった[15]

中国のレビューサイトでは、低評価が続出[23]。一部のレビューが削除されるといった事態になった[17]。2025年10月現在でもレビューサイト「豆瓣」では暫定的に評価の集計がなされていない[24][23]IMDbでの評価は10点中3.1点である(2025年10月現在)。

中国の愛国心を利用しただけの映画ではないかという意見もある[17][22][25]

あらすじ

1945年、日本は世界各地で苦戦を強いられていた。旧日本軍第七三一部隊は、ハルビン市平房区において「給水防疫」の名目で、密かに非人道的な細菌戦の研究を行っていた。民間人や捕虜を大量に捕らえ、生体実験を行い、「夜桜計画」を発動し、鼠疫に感染したノミ連合国を攻撃し、敗戦の局面を打開しようと企てていた[23]。行商人の王永章(姜武が演じる)は、脱獄に成功した抗日聯軍の戦士・王子陽になりすまし、その身分を利用して利益を得ようとするが、かえって日本軍に捕まってしまう。彼は捕らえられた他の民間人たちと共に、石井四郎平田康之が演じる)が設立した監獄に収容される。日本軍は「健康診断と防疫研究に協力すれば自由になれる」という偽りの約束を掲げ、囚人たちに十分な量の健康的な食事を供給し、彼らの信頼を騙し取っていた。

日本語ロシア語朝鮮語を大まかに理解できたため、王永章は、女性将校の今村佳代(馮文娟が演じる)に選ばれ、通訳兼労働員として囚人たちの食事を運ぶ係になった。獄中では定期的に囚人が「釈放」されており、王永章も獄友たちも「釈放」されることを渇望していた。しかし、仕事の過程で、彼は日本軍が撮影した毒ガス実験の映像や殺害された同胞の遺体を偶然発見し、いわゆる「釈放」とは日本人(原文:日本人)の実験品になることだと悟り、脱獄を計画し始める。南京出身の杜存山(王志文が演じる)、小さなマジシャンの孫明亮(林子燁が演じる)、妊婦の林素賢(孫茜が演じる)の助けを得て、脱獄計画は着々と準備が進められた。最も長く収監されている杜存山は、普段は狂人を装っていたが、実際にはとっくに脱出計画を秘密裏に進めており、監獄の地形図を描き、牢屋の鍵を密かに隠し持っていた。

しかし、脱獄計画は日本軍の青年兵一人が殺害されたことで狂ってしまう。杜存山は、殺人を犯した王永章を守り、獄友たちの脱獄の希望を残すため、今村佳代が容疑者を捜索する際に公然と反抗し、今村に一突きで殺されてしまう。杜存山の死後、王永章は彼が残した地形図と鍵を使って計画を立て直し、日本人が博多祇園山笠を祝って武装が緩む日を選び、獄友たちと集団脱獄を決行する。素手の囚人たちは最終的に脱獄に成功せず、石井四郎と今村佳代は王永章の目の前で林素賢を生体解剖し、彼女の腹から臨月の胎児を取り出した。

日本軍はついに効果絶大なペストワクチンの開発に成功し、脱獄に失敗した囚人たちはハルビン郊外に連行され、ワクチンを接種した日本軍によるノミ感染実験の対象とされた。囚人たちは逃げようとするが、防護服を着た日本軍兵士たちに銃撃される。逃げ場を失った囚人たちは爆弾が作った巨大な穴に落ち、王永章と他の囚人たちは最年少の孫明亮を救うため、自ら踏み台となって彼を脱出させる。孫明亮は巨大な穴から這い上がった直後、日本軍の射撃を受け、最後の力を振り絞って日本兵一人を引きずり、共に深坑へと墜落していった。

製作

監督の趙林山は、2012年にデビュー作『銅雀台』を撮影していた頃から、『731』を撮影する構想を持っていた。しかし、当時の市場環境や国際環境が未成熟だったため、プロジェクトは始動しなかった。2017年になってプロジェクトが正式に始動し、趙林山は劉恒と脚本制作に取り組み、3年を経て2019年末に最終稿を完成させた[26]。構想が芽生えてから十数年の間、趙林山は、日本を訪れて調査を行い当時の兵士の口から直接の証言を得たと主張している。同時に、米国が機密解除した8000ページの『731部隊報告書』や、731部隊の元隊員による423時間の口述証言映像資料など、大量の史料を調査したと主張している[27]

2021年2月、映画は黒竜江省でクランクインした[28]。制作には、黒竜江省などの中国共産党委員会宣伝部が協力している[29]。翌年1月、映画は青島東方影都影視産業園で順調にクランクアップし、ポストプロダクション段階に入った[30]。情報によれば、姜武、王志文、李乃文らの主演俳優は全員ノーギャラで出演した[27]。温碧霞は出演者の中で唯一の香港俳優であり、劇中では日本の花魁である新造を演じた。この役のスタイリングは彼女の女優キャリアの中で最も挑戦的なものであり、毎回メイクに3時間以上、着付けに2時間近く、合計6時間近くを要した[31]

キャスト

以下は本作のキャストと、一部の対応する役名である[3]

脚注

関連項目

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI