AIM2

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AIM2
PDBに登録されている構造
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3RN2, 3RN5, 3VD8, 4O7Q

識別子
記号AIM2, PYHIN4, absent in melanoma 2
外部IDOMIM: 604578 MGI: 2686159 HomoloGene: 83226 GeneCards: AIM2
遺伝子の位置 (ヒト)
1番染色体 (ヒト)
染色体1番染色体 (ヒト)[1]
1番染色体 (ヒト)
AIM2遺伝子の位置
AIM2遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点159,061,599 bp[1]
終点159,187,843 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
1番染色体 (マウス)
染色体1番染色体 (マウス)[2]
1番染色体 (マウス)
AIM2遺伝子の位置
AIM2遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点173,350,879 bp[2]
終点173,466,040 bp[2]
RNA発現パターン
さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 DNA結合
血漿タンパク結合
identical protein binding
二本鎖DNA結合
細胞の構成要素 細胞質
AIM2 inflammasome complex
細胞核
核質
ミトコンドリア
細胞質基質
生物学的プロセス positive regulation of cysteine-type endopeptidase activity
ピロトーシス
cellular response to interferon-beta
免疫系プロセス
tumor necrosis factor-mediated signaling pathway
positive regulation of NF-kappaB transcription factor activity
免疫応答
positive regulation of interleukin-1 beta production
positive regulation of protein oligomerization
activation of innate immune response
炎症反応
negative regulation of NF-kappaB transcription factor activity
positive regulation of defense response to virus by host
アポトーシス
自然免疫
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_004833
NM_001348247

NM_001013779

RefSeq
(タンパク質)

NP_004824
NP_001335176

NP_001013801

場所
(UCSC)
Chr 1: 159.06 – 159.19 MbChr 1: 173.35 – 173.47 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス

AIM2(absent in melanoma 2)は、ヒトではAIM2遺伝子によってコードされているタンパク質である[5][6]

AIM2は造血系細胞などにみられるセンサー分子であり、細胞質に位置して微生物や宿主細胞由来の二本鎖DNAの存在を認識する[7]。現在のところAIM2をはじめとするALR(AIM2-like receptor)ファミリーは、ヒトゲノム中に4種類のメンバーが見つかっている[8]。活性化されたAIM2はASC英語版をリクルートし、カスパーゼ-1の結合、そしてAIM2インフラマソームの形成を引き起こす。このシグナル伝達機構は細菌やウイルスのDNAを検知し、これらの病原体に対する防御機構に寄与している。AIM2インフラマソームは、PANoptosisを駆動するAIM2-PANoptosomeの中心的構成要素にもなっている[9][10]

ALRファミリーに属するタンパク質は通常、N末端のパイリンドメイン英語版(PYD)、そして1つもしくは2つのHINドメイン(HIN-200ドメイン)から構成される。AIM2はN末端にPYD(アミノ酸1–87番)、C末端にHINドメイン(138–337番)を有し、2つのドメインは長いリンカーによって連結されている。PYDはhomotypicな(同種どうしの)タンパク質間相互作用を媒介し、HINドメインは2つのタンデムに並んだOBフォールド英語版を介してDNAに結合する[11]

機能

AIM2は自然免疫系の構成要素の1つであり、細胞質における二本鎖DNAセンサーとして抗ウイルス・抗細菌防御機能を果たしているほか、自己DNAに対する免疫応答が関わる自己免疫疾患にも関与している。AIM2はアダプタータンパク質ASCとともに、AIM2インフラマソームを呼ばれるカスパーゼ-1活性化複合体を形成する。このAIM2インフラマソームは、PANoptosisを駆動するAIM2-PANoptosomeと呼ばれる、さらに大きな細胞死誘導複合体の中心的構成要素にもなっている[9][10]

AIM2インフラマソーム形成の第一段階は、AIM2へのDNAの結合である。AIM2のHINドメインはB型二本鎖DNA(ウイルス、細菌、そして宿主由来のものである場合もある)に結合する。結合は配列非依存的であるが、少なくとも80塩基対以上の長さが必要である[12]。この相互作用は主に静電的であり、正に帯電したアミノ酸残基がDNA骨格のリン酸や糖部分に配位する。二本鎖DNAはPYDに置き換わってHINドメインに結合し、フリーになったPYDはアダプタータンパク質ASCのPYDに対し、homotypicなPYD-PYD相互作用による結合を行う[13]。ASCはPYDとCARD英語版を有するタンパク質であり、ASCのCARDがCARD-CARD相互作用によってプロカスパーゼ-1を複合体へリクルートすることでAIM2インフラマソームの基本的な構造的要素が形成される。プロカスパーゼ-1は自己切断によってカスパーゼ-1へと活性化され、IL-1β前駆体、IL-18前駆体、ガスダーミンDを切断するプロセシングが行われる。ガスダーミンDのN末端断片はパイロトーシスを誘導し、成熟型サイトカインとなったIL-1βやIL-18の細胞外放出が可能となる。

AIM2はPANoptosisも誘導する。PANoptosisは自然免疫系のセンサーによって開始される顕著な自然免疫性・炎症性・細胞溶解性の細胞死を特徴とし、PANoptosomeを介してカスパーゼRIPK英語版によって駆動される[14][15]。PANoptosomeは、細菌、ウイルス、真菌などの病原体のほか、病原体関連分子パターンダメージ関連分子パターン、サイトカイン、そして感染症や炎症性疾患、がんに伴う恒常性の変化への応答として、パターン認識受容体から組み立てられる多タンパク質複合体である[15][16][17][18][19][20][21][22][23][24][25][26][27][28][29]。PANoptosomeが形成されるためには、Francisella novicida英語版単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)など特定の病原体に対する応答として、AIM2インフラマソームがさらにカスパーゼ-8FADDRIPK3英語版RIPK1と相互作用することが必要である。

調節

インフラマソームの組み立ての調節は、細胞の恒常性の維持のために必要不可欠である。マウスでは、AIM2の活性化はp202によって阻害される。このp202タンパク質は2個のHINドメインを有するが、PYDを欠いている。そのため、p202はASCタンパク質をリクルートすることはできない。HIN1ドメインはDNAに結合し、HIN2ドメインはAIM2と相互作用する。HIN2ドメインの結合はAIM2のDNA結合面を遮断するわけではないため、AIM2のDNA結合親和性は影響を受けない。p202のDNAとAIM2への結合は、宿主防御とDNAによって誘発される病理的炎症とのバランスを保っていると考えられている。p202とAIM2が等量存在する場合には、二本鎖DNAへの結合をめぐって競合が生じる[30]

ヒトのIFI16英語版βと呼ばれるアイソフォームも、AIM2インフラマソームの組み立てを阻害することが示されている。そのドメイン構造はマウスp202タンパク質と類似しており、2個のHINドメインを有する。IFI16βはp202と同様にAIM2と相互作用し、二本鎖DNAへの結合に競合し、ASCのリクルートを妨げる[31]。p202やIFI16βの研究によると、2個のHINドメインを有するタンパク質は1個しか持たないタンパク質よりも頑強に二本鎖DNAへ結合するようである[32]

AIM2の翻訳後修飾に関しては、情報は限られている。しかしながら、TRIM11英語版はAIM2に結合し、分解をもたらすことが報告されている。そのため、AIM2インフラマソームの負の調節因子として機能している可能性がある[33]

臨床的意義

AIM2は広範囲の微生物を検知し、インフラマソームやPANoptosomeを介した宿主の保護応答を引き起こす。近年の研究では、AIM2インフラマソームが感染症以外の疾患も関与していることが示されている。

感染症

細菌

細菌の宿主細胞への感染時に細胞質へ放出された細菌DNAは、AIM2やその他の細胞質DNAセンサーによって認識される。AIM2は野兎病菌英語版Francisella tularensisリステリア・モノサイトゲネスListeria monocytogenes肺炎球菌Streptococcus pneumoniaeマイコバクテリウム属Mycobacterium spp.、ポルフィロモナス・ジンジバリスPorphyromonas gingivalis黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureusBrucella abortus英語版クラミジア・ムリダルムChlamydia muridarumなど、多くの病原性細菌を認識することが示されている[7]I型インターフェロンは、細菌感染時のAIM2インフラマソームの活性を高める[34][35]。さらに、Francisella novicida英語版に対する応答においてはAIM2-PANoptosome複合体をが組み立てられ、炎症性細胞死であるPANoptosisが誘導される[9]

ウイルス

AIM2インフラマソームは細胞質に入ったDNAウイルス由来の遺伝物質も認識するため、ウイルス感染防御にも重要な役割を果たしている。しかしながら、AIM2は全てのDNAウイルスに応答するわけではない。今日までにAIM2インフラマソームが誘導されることが確認されているのは、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、ワクシニアウイルスヒトパピローマウイルスである[7]。AIM2は単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)にも応答し、AIM2-PANoptosomeを形成してPANoptosisを誘導する[9]

その他の病原体

AIM2は病原性の真菌であるアスペルギルス・フミガーツスAspergillus fumigatus[36]原生動物であるPlasmodium berghei英語版[37]に対する宿主防御を媒介することが示されている。

がん

AIM2遺伝子はもともと、ヒトのメラノーマ細胞の発がん性を抑制する遺伝子として単離された[5]。一方、AIM2は広範囲の腫瘍組織にさまざまな発現パターンを示すことが観察されており、さまざまながんの種類においてそれぞれ固有の役割を果たしている可能性が示唆されている。がんにおけるAIM2の機能に関する研究では、AIM2変異と関連したがんにおけるAKT経路を阻害する治療の可能性が注目されている[7]

炎症、自己免疫、その他の疾患

細胞質基質へのDNAの蓄積は、AIM2インフラマソーム形成の引き金となる、内因性デンジャーシグナルとして機能する。自己DNAによるAIM2の異常な活性化は、炎症性疾患や自己免疫疾患の主要な駆動因子となっている。乾癬アトピー性皮膚炎接触皮膚炎など急性・慢性皮膚疾患の患者の皮膚細胞では、AIM2の発現レベルの上昇が観察される。AIM2の発現上昇は、炎症性腸疾患肝炎の患者でも報告されている。さらに、AIM2は脳の炎症と細胞死にも関与している可能性がある[7]全身性エリテマトーデスにおいては、食作用によって取り込まれたDNAがリソソームの機能不全のために分解されずに細胞質基質へ漏れ出し、AIM2の活性化、そしてI型インターフェロン産生の増大が引き起こされている[38]

出典

関連文献

外部リンク

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