GOTO (天文台)

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観測開始年 2017年6月 (2017-06)
口径 400 mm (1 ft 4 in)
分解能 0.31 秒 ウィキデータを編集
Gravitational-wave Optical Transient Observer
GOTO-Nのドームが両方開いている様子
GOTO-Nのドームが両方開いている様子
観測開始年 2017年6月 (2017-06)
形式 ニュートン式望遠鏡
口径 400 mm (1 ft 4 in)
分解能 0.31 秒 ウィキデータを編集
開口面積 0.4m2(1ユニット) 3.2m2(1システム), 12.8m2(合計)
焦点距離 960mm (f/2.4)
架台 経緯台式架台
ウェブサイト goto-observatory.org
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GOTO(ゴト、Gravitational-wave Optical Transient Observer)はロボット制御された多数の光学望遠鏡からなる望遠鏡群を擁する天文台で、重力波検出時にその光学対応天体(キロノヴァなど)を速やかに発見すること、その他マルチメッセンジャー天文学における可視光での速やかな観測を目的としている[1]。 GOTOは望遠鏡のネットワークとして機能し、1つのシステムには口径0.4mの望遠鏡(ユニット望遠鏡)を8台同架している[2]

2025年9月現在、GOTOは2つの観測所から構成されており、北半球のGOTO-Nは大西洋上のスペイン領カナリア諸島ラ・パルマ島にあるロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台[3]、そして南半球のGOTO-Sはオーストラリアサイディング・スプリング天文台に設置されており、1つの観測所には2基のシステム(16台の望遠鏡)が備わっている[4]

このプロジェクトは、ウォーリック大学モナシュ大学シェフィールド大学レスター大学アーマー天文台英語版タイ国立天文学研究所カナリア天体物理学研究所英語版ポーツマス大学トゥルク大学といった大学やその他研究機関からなる国際コンソーシアムで運用されている[5]

望遠鏡

各ユニット望遠鏡が撮影する空の範囲の相対位置
GOTOユニット望遠鏡1台あたりの視野とアンドロメダ銀河の比較

それぞれのGOTOシステムは独立して動かすことができるが、1つのシステムに同架された8台のユニット望遠鏡(UT)は、同じ経緯台に固定されている以上同じ向きに動かすことしかできない。そのため、それぞれのUTは搭載時にそれぞれがわずかに違う方向を向くようにわざと向きをずらして固定されており、UT同士はわずかに重なり合う隣り合った空域を向くように設計されている。その結果、それぞれのGOTOシステムはUTの8倍近くに相当する非常に広い視野を持つ1基の望遠鏡として機能する[2]

UTはASA社のH400ニュートン式望遠鏡で、それぞれの口径は40cm、焦点距離は960mm (f/2.4)である[2]。 それぞれの望遠鏡にはフォーカサー(ピント調節機構)とフィルターホイールオン・セミコンダクター社のKAF-50100CCDイメージセンサを搭載したFLI社のML50100カメラが取り付けられている[6]。 2.4という小さなF値と大型のイメージセンサーによって広大な視野が実現しており、GOTOシステム1つ当たりの視野は40平方度に達する[2]。これは空に占める満月の大きさの200倍に相当する。また、F値が小さい望遠鏡が高速望遠鏡と呼ばれるように、空の一領域を観測するための時間も減らすことができ、1領域の観測での露光時間は3分だけである[2]

突発天体の検出

GOTOは差分画像英語版を用いて、既存の天体の変化や突発天体の出現を識別する[7]。 空を撮影した画像は、以前観測した同じ領域の画像と照合され、2つの画像を引き算して差分を取ることで、新しい画像に起こっている変化だけを表示することができる。これにより、差分画像中に発生した光源が自動でピックアップされる。この方法で単純に取り出しただけの光源は1画像当たり数千にも及び、ほとんどすべてがノイズやアーティファクト英語版で、実際の突発天体ではない[8][9]。 GOTOは畳み込みニューラルネットワークに基づく、真偽判定によって、どの候補が本物の天体である可能性が高いかを振り分けている[9]

ガンマ線バースト

重力波イベントの追跡観測だけでなく、GOTOはガンマ線バーストの光学対応天体の捜索にも用いられている[10]2023年9月11日フェルミガンマ線宇宙望遠鏡はガンマ線バーストGRB 230911Aを検出し[11]、アラートを受けたGOTOが速やかにフォローアップ観測を行ったところ、光学対応天体GOTO23akf/AT 2023shvが発見された[12]。 のちにスウィフト衛星によってガンマ線バーストの残光であることが確認された[13]

全天サーベイ

GOTO-Nはモロッコ沖ラ・パルマ島に、GOTO-Sはオーストラリア東部にある
GOTO-N
GOTO-N
GOTO-S
GOTO-S
GOTO-N と GOTO-Sの位置

特に追跡観測すべき対象がない平常時には、GOTOは観測可能な空全体をしらみつぶしに撮影していく全天サーベイを行っている。GOTOは南北両半球に位置しているので、地球上で観測可能な夜空(太陽近くを除く空域)のすべてを観測することができる。2地点の天気が良ければ、観測可能な空全体を2-3日で1周することができる[2]

全天サーベイでの観測も同様に差分イメージングで処理され、超新星潮汐破壊現象高速青色突発天体英語版といった、本来のマルチメッセンジャーの目的とは異なる天体を多く発見できる[7]

沿革

累計
月別
2020年から2024年9月11日までにGOTOで発見された突発天体の数の推移

GOTOの開発の第一フェーズは、北半球の観測予定地にユニット望遠鏡4台を搭載した特注の架台をプロトタイプとして運用するところから始まった[7]。このプロトタイプシステムはLIGO-Virgoコラボレーション(LVC)の第2期同時観測(O2)の間に設置され、2017年6月にファーストライトを迎え[7]、同年7月3日から本格運用を開始した[3]

このプロトタイプシステムは2019年4月から10月のLVCの第3期観測の前期(O3a)に実際に重力波イベントに合わせて稼働することができた[14]。 この間GOTOは重力波イベント検出のアラートを受けてから、重力波発生方向の空が観測可能な場合は1分以内に追跡観測を始めることができた[15]

2019年後半には、オーストラリアに2つのフルシステムを持つ観測所を拡張する予算が付いた[16]。 2020年には、プロトタイプに換わり8台の望遠鏡によるフルシステムが北半球に設置され、2基目のシステムが2021年前半に、オーストラリアの観測所が2021年後半に計画された[17]

北半球への2番目のシステムの導入は2021年8月に完了し[18]、プロトタイプだったシステムをフルシステムにアップグレードする作業は2021年のクンブレビエハ火山の噴火英語版の影響もありながら2021年12月に完了した[19]

2022年末までにGOTO-Sがオーストラリアのサイディング・スプリング天文台(SSO)に2つのドームとともに建設が完了した[20][21]。2023年5月にはSSOからも正式にGOTO-Sの導入が完了したことが発表された[22]

発見成果

2025年7月末時点で、GOTOからは合計2840件の突発天体の発見が報告されており、うち417個が超新星と確認された他、2件は潮汐破壊現象だった[23][24][25]

有名な銀河に出現した超新星として、2025年7月14日NGC 7331銀河に超新星SN 2025rbsを発見しており[26]、この天体は発見後1日以内に分光観測によりIa型超新星であることが確認されている[27]

キロノバ・シーカーズ

キロノバ・シーカーズ(Kilonova Seekers、日本語版タイトル:恋する超新星)は、ウェブ上の市民科学プロジェクトのプラットフォームズーニバース上で運用されている、GOTOが検出した突発天体候補が本物かノイズなどの誤検出かを、一般市民のボランティアとして誰でも分類を行い手伝うことができるウェブプロジェクトである[28] GOTOで撮影された画像から自動検出された突発天体候補のうち前述のAIにより確度が高いと絞り込まれたものはほぼリアルタイムでプロジェクトの分類ページにアップロードされ、ボランティアに対して、その日撮影された画像と以前同じ領域を撮影した参照用画像、その差分を取った画像が並べて表示され、ボランティアユーザーはその画像に写った候補天体が本物かどうかを2択で回答する。1つの候補天体は複数人のボランティアが分類し、分類が集まった結果最低8人以上・分類したユーザーの80%以上が本物と判断した画像について、GOTOの運用チームにさらなる追跡のためのアラートが発せられる[29]

2025年9月時点で3800人以上のボランティアユーザーが、27.7万件以上の候補天体について延べ300万回以上の分類を行っている[30]。 発見される天体の多くは超新星であり、2025年9月時点で167天体の突発天体を国際天文学連合のTransient Name Server(TNS)に報告しており、発見貢献者として分類を行ったボランティアユーザーがクレジットされている[31]。特に、2024年に発見された矮新星GOTO065054+593624では、同種のその他の天体では見られないスペクトルが観測され、単独で論文が出版された成果となった[32]

関連項目

出典

外部リンク

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