HD 102365
ケンタウルス座の連星系
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HD 102365 或いは HR 4523は、ケンタウルス座の北東部に位置し、太陽系から約30光年の距離にある連星である。主星は太陽に似たG型主系列星で、これと固有運動を共有する赤色矮星の伴星が存在する。主星と伴星の距離は、見かけの離角と星系までの距離から、約 211 au と推定される[11]。これは太陽から海王星軌道までの平均的な距離の約7倍になる[15]。
| HD 102365 A | ||
|---|---|---|
| 星座 | ケンタウルス座 | |
| 見かけの等級 (mv) | 4.89[1] | |
| 分類 | G型主系列星[2] | |
| 位置 元期:J2000.0[2] | ||
| 赤経 (RA, α) | 11h 46m 31.0725331317s[2] | |
| 赤緯 (Dec, δ) | −40° 30′ 01.285867174″[2] | |
| 視線速度 (Rv) | 16.947 km/s[2] | |
| 固有運動 (μ) | 赤経: -1530.971 ミリ秒/年[2] 赤緯: 403.287 ミリ秒/年[2] | |
| 年周視差 (π) | 107.3024 ± 0.0873ミリ秒[2] (誤差0.1%) | |
| 距離 | 30.4 ± 0.02 光年[注 1] (9.319 ± 0.008 パーセク[注 1]) | |
| 絶対等級 (MV) | 5.0[注 2] | |
| 物理的性質 | ||
| 半径 | 0.99 ± 0.02 R☉[3] | |
| 質量 | 0.79+0.03 −0.02 M☉[4] | |
| 表面重力 (log g) | 4.44 ± 0.03[3] | |
| 自転速度 | 0.7 km/s[5] | |
| 自転周期 | 36.4 ± 7.3 日[4] | |
| スペクトル分類 | G2V[6] | |
| 光度 | 0.86 ± 0.05 L☉[3] | |
| 有効温度 (Teff) | 5,594+49 −50 K[3] | |
| 色指数 (B-V) | 0.664[1] | |
| 色指数 (U-B) | 0.10[7] | |
| 色指数 (V-I) | 0.73[1] | |
| 金属量[Fe/H] | -0.34 ± 0.04[4] | |
| 年齢 | 110 ± 90 億年[8] | |
| 他のカタログでの名称 | ||
| HR 4523, GJ 442 A, CD-39 7301, HIP 57443, LHS 311, SAO 223020[2] | ||
| ■Template (■ノート ■解説) ■Project | ||
| HD 102365 B | ||
|---|---|---|
| 星座 | ケンタウルス座 | |
| 見かけの等級 (mv) | 15.43[9] | |
| 分類 | 赤色矮星[9] | |
| 位置 元期:J2000.0[9] | ||
| 赤経 (RA, α) | 11h 46m 32.6898754106s[9] | |
| 赤緯 (Dec, δ) | −40° 29′ 47.604751207″[9] | |
| 固有運動 (μ) | 赤経: -1534.679 ミリ秒/年[9] 赤緯: 381.396 ミリ秒/年[9] | |
| 年周視差 (π) | 107.4237 ± 0.0351ミリ秒15.586[9] (誤差0%) | |
| 距離 | 30.362 ± 0.01 光年[注 1] (9.309 ± 0.003 パーセク[注 1]) | |
| 絶対等級 (MV) | 15.6[注 2] | |
| 地球から見た位置 (HD 102365 Aとの関係) | ||
| 位置角 | 54°[10] | |
| 角距離 | 22.9"[10] | |
| 軌道要素と性質 | ||
| 軌道長半径 (a) | 211 au[11] | |
| 物理的性質 | ||
| 質量 | 0.192 M☉[12] | |
| スペクトル分類 | M4V[9][13] | |
| 光度 | 0.003 L☉[14] | |
| 有効温度 (Teff) | 2,700 K[14] | |
| 他のカタログでの名称 | ||
| GJ 442 B, LHS 313[9] | ||
| ■Template (■ノート ■解説) ■Project | ||
星系
伴星は1960年にウィレム・ヤコブ・ルイテンによって発見されたとされる[11][10]。ルイテンのカタログでは、早い段階から主星と伴星が同じ固有運動をしていることが示されていた[16]。
主星のスペクトル型はG2V型とされており、これは太陽と同じスペクトル型となる[6][17]。一方で、伴星のスペクトル型はM4V型とされる[13]。主星は太陽に近い性質を持つが、太陽より質量は一回り小さく[4]、自転速度は 0.7 km/s とゆっくりで、不確実性が非常に大きいが年齢は太陽より上とみられる[8][5]。太陽と比較すると、水素とヘリウム以外の元素の存在量を示す金属量は、わずか約 46% と少ない[4]。
HD 102365系は、固有運動が大きい星系である[2]。空間速度が (U, V, W) = (66, -39, 4) km/s となっていて、インディアン座ε運動星団の運動と一致するので、同運動星団の一員ではないかと考えられた[18]。しかし、HD 102365星系は、運動星団の他の恒星に比べて年齢が高く、金属量は少ないことから、運動星団には所属しておらず、たまたま紛れ込んだものとみられる[19]。
惑星系
2010年、アングロ・オーストラリアン惑星探査によるドップラー分光法での視線速度変化の観測から、主星の周りに下限質量が地球の16倍という、海王星に近い大きさの惑星が存在すると発表された[20]。この惑星 HD 102365 b の公転周期は約120日とされ、やや軌道離心率が高い楕円軌道になっていると考えられた。
しかし、2013年に公表された研究では HD 102365 b の存在を示す主星の視線速度変化の兆候は検出されなかったと発表された[21]。一方で2023年になって、HD 102365 b の存在を示す視線速度の周期的変化が観測されたと報告され、この研究では HD 102365 b の下限質量は地球の約9倍へ下方修正されている[22]。しかし、2025年に超大型望遠鏡VLTに搭載されている ESPRESSO 分光器による観測から、やはり HD 102365 b に起因する視線速度の周期的変化は検出されず、この変化は周囲を公転する惑星ではなく恒星磁場によって生じている兆候がみられるという研究結果が公表された[4][23]。この報告を受けて、NASA Exoplanet Archive は HD 102365 b の現況を疑陽性 (False Positive Planet) に格下げし、正式に確認された太陽系外惑星の一覧から除外した[24]。