J・J・サクライ賞
アメリカ物理学会が理論素粒子物理学の貢献に授与する賞
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J・J・サクライ賞(英語: J. J. Sakurai Prize for Theoretical Particle Physics、一般的に単にSakurai Prizeとも呼ばれる)はアメリカ物理学会が授与する賞である。毎年4月の会合で発表され「理論素粒子物理学の傑出した貢献」を称える[1]。
| J・J・サクライ賞 | |
|---|---|
| 国 | アメリカ合衆国 |
| 主催 | アメリカ物理学会 |
| 報酬 | 10,000アメリカドル |
| 初回 | 1985年 |
| 公式サイト | www |
この賞は1982年にCERN滞在中に死去した理論物理学者のJ・J・サクライこと桜井純[2]の遺族および友人の寄付により1984年11月に設けられた[3]。現在、この賞は10,000アメリカドルの賞金、受賞者の式典のための旅費、貢献を称える賞状からなる[1]。 第一回から2008年までの賞金は5,000アメリカドルだった[4]。
J・J・サクライ賞は学会の素粒子・場の部門が管理し[5]、受賞者は選考委員会によって選出される[1]。複数人による共同受賞の場合がある[1]。第一回受賞者の益川敏英および小林誠は、電弱相互作用についての業績に対して授与された[6]。女性初の受賞者は1993年のMary K. Gaillardだった[7]。
受賞者
| 年 | 画像 | 受賞者 | 授賞理由 |
|---|---|---|---|
| 1985 | 益川敏英 | 「フェルミ質量行列の一般定式化および4種類以上のクォークのフレーバーの存在を予知する推論を通した電弱相互作用の理論への貢献に対して。」 | |
| 小林誠 | |||
| 1986 | デイビッド・グロス | 「短距離における非アーベルゲージ理論の解析、およびクォーク間の強い相互作用の理解のための知見の示唆に対して。」 | |
| – | H. デビッド・ポリツァー | ||
| フランク・ウィルチェック | |||
| 1987 | ルチャーノ・マイアーニ | 「チャーム粒子の弱い相互作用についての業績、基本相互作用の現代的な理論の展開における重大なステップに対して。」 | |
| John Iliopoulos | |||
| 1988 | – | Stephen L. Adler | 「和の法則と低エネルギー原理によってカイラル対称性の帰結を解明する業績に対して。」 |
| 1989 | ニコラ・カビボ | 「ハドロン弱カレントの構造を解明する傑出した貢献に対して。」 | |
| 1990 | – | 木下東一郎 | 「量子電磁力学および電弱理論の精度検証への理論的貢献、特にレプトン異常磁気モーメントの計算についての先駆的な業績に対して。」 |
| 1991 | Vladimir N. Gribov | 「場の量子論の高エネルギー挙動についての初期の先駆的な業績および非アーベルゲージ理論の大域的構造を解明する研究に対して。」 | |
| 1992 | – | Lincoln Wolfenstein | 「弱い相互作用の理論、特にCP対称性の破れおよびニュートリノの性質への多数の貢献に対して。」 |
| 1993 | Mary K. Gaillard | 「素粒子物理学現象論および理論への、特にベン・リーとの業績およびK中間子混合と崩壊およびチャームクォークの結合状態へQCDを応用するその他の業績における貢献に対して。」 | |
| 1994 | 南部陽一郎 | 「自発的対称性の破れの兆候としてのパイ中間子の理解を含む、場の理論と素粒子物理学への多数の基本的な貢献に対して。」 | |
| 1995 | – | ハワード・ジョージ | 「強い相互作用と電弱相互作用の大統一理論に向けた先駆的な貢献、およびハドロンの性質と相互作用への量子色力学の応用に対して。」 |
| 1996 | William Allan Bardeen | 「軸性異常の構造と意味への基本的な洞察および摂動量子色力学の理解への貢献に対して。」 | |
| 1997 | Thomas Appelquist | 「チャーモニウムおよび重粒子の脱結合についての先駆的な業績に対して。」 | |
| 1998 | レオナルド・サスキンド | 「ハドロン弦モデル、格子ゲージ理論、量子色力学、および自発的対称性の破れへの先駆的な貢献に対して。」 | |
| 1999 | Mikhail Shifman | 「非摂動QCD、非レプトン弱崩壊、および超対称ゲージ理論の解析性の理解への基本的な貢献に対して。」 | |
| – | Arkady Vainshtein | ||
| – | Valentin Ivanovich Zakharov | ||
| 2000 | Curtis G. Callan | 「くりこみ群の古典定式化、インスタントン物理学および単極子と弦の理論への貢献に対して。」 | |
| 2001 | – | Nathan Isgur | 「重クォーク質量展開の構成および量子色力学における重クォーク対称性の発見、それによるc および b フレーバーハドロンの崩壊の定量的な理論の導出に対して。」 |
| – | Mikhail Voloshin | ||
| – | Mark Wise | ||
| 2002 | – | Alberto Sirlin | 「精密な電弱研究を標準模型の調査および新しい物理学の探索の強力な手法にした、放射能補正における先駆的な業績に対して。」 |
| – | William J. Marciano | ||
| 2003 | – | Alfred Mueller | 「正確な定量的予測および実験検証を可能にし、それによって強い相互作用の理論としてのQCDの確立を助ける、赤外安全やハードプロセスにおける因子分解などの、QCDにおける概念と技法の開発に対して。」 |
| – | George Sterman | ||
| 2004 | – | イカロス・ビギ | 「B崩壊におけるCP対称性の破れの非常に有益な実験的研究方法を指摘した先駆的な理論的洞察、および継続的なCPおよび重フレーバー物理の分野への貢献に対して。」 |
| 三田一郎(アントニー・サンダ) | |||
| 2005 | – | 大久保進 | 「クォークモデルの開発に不可欠な手がかりを提供し、CP対称性の破れが部分的な崩壊率非対称性を許容することを証明する、ハドロン質量および崩壊率のパターンの画期的な研究に対して。」 |
| 2006 | – | Savas Dimopoulos | 「TeV-スケール物理学について理論的な研究を形成し、それによって広範囲な実験を触発する、動的対称性の破れ、超対称性、および余剰次元についての創造的なアイデアに対して。」 |
| 2007 | – | Stanley Brodsky | 「素粒子物理学の重要な疑問、特に、ハードエクスクルーシブ強い相互作用プロセスの解析への摂動量子場理論の応用。」 |
| 2008 | – | Alexei Smirnov | 「太陽ニュートリノフラックスの定量的な理解に不可欠な、物質中におけるニュートリノ振動の増大についての先駆的かつ有力な業績に対して。」 |
| – | Stanislav Mikheyev | ||
| 2009 | – | Davison E. Soper | 「高エネルギー粒子衝突の解釈の軸となる問題への応用を含む、摂動量子色力学における業績に対して。」 |
| – | John C. Collins | ||
| R. Keith Ellis | |||
| 2010 | ゲラルド・グラルニク | 「四次元相対論的ゲージ理論における自発的対称性の破れの性質および一貫したベクトル粒子の質量生成機構の解明に対して。」 | |
| C・R・ヘイガン | |||
| – | トマス・キブル | ||
| ロベール・ブルー | |||
| フランソワ・アングレール | |||
| ピーター・ヒッグス | |||
| 2011 | Chris Quigg | 「数TeVハドロンコライダーを利用するTeVスケール物理の探索の方向性を示す、個別および共同の、業績に対して。」 | |
| – | Estia Eichten | ||
| – | Ian Hinchliffe | ||
| – | Kenneth Lane | ||
| 2012 | Guido Altarelli | 「量子色力学、電弱相互作用および可能性のある新しい物理学に関する正確な情報を抽出するための高エネルギー実験を可能にする、素粒子物理学の標準モデルの詳細な確証へ導くアイデアに対して。」 | |
| – | Torbjörn Sjöstrand | ||
| – | Bryan Webber | ||
| 2013 | ヘレン・クイン | 「それに次ぐ、30年以上の熱心な実験的・理論的探究の主題である、アクシオンの考案へと導く、有名な強いCP対称性の破れの問題を解決するエレガントな機構の提唱に対して。」 | |
| – | ロベルト・ペッチェイ | ||
| 2014 | Zvi Bern | 「場の量子論のより深い理解とQCDプロセスを計算するための強力な新しいツールへ導く、摂動散乱振幅の計算への草分け的な貢献に対して。」 | |
| – | Lance J. Dixon | ||
| – | David A. Kosower | ||
| 2015 | ジョージ・ツワイク | 「ハドロンがクォークまたはエースと呼ばれる、分数の電荷を持つ構成要素からなることを独立に提唱したことに対して。」 | |
| 2016 | – | G. Peter Lepage | 「特にハドロンエクスクルーシブプロセスの理論の確立、非相対論的有効場の理論の開発、および格子ゲージ理論での標準模型パラメーターの決定における、場の量子論の素粒子物理学への独創的な応用に対して。」 |
| 2017 | Gordon L. Kane | 「ヒッグス粒子の性質、反応、およびシグネチャーの理論の手段となる貢献に対して。」 | |
| – | Howard E. Haber | ||
| – | Jack F. Gunion | ||
| Sally Dawson | |||
| 2018 | – | Ann Nelson | 「将来性のある動的超対称性の破れについての共同業績を含む、素粒子物理学の標準模型を超える物理の画期的な探索に対して、および電弱対称性の破れの新しいモデル、バリオン数生成、および強いCP問題への解決策を含む広範囲なトピックへの革新的な貢献に対して。」 |
| – | Michael Dine | ||
| 2019 | リサ・ランドール | 「標準模型を超える物理への創造的な貢献、特にワープした空間の余剰次元が階層性問題を解決できることを発見し、大型ハドロン衝突型加速器における探索にとてつもない影響を与えたことに対して。」 | |
| ラマン・サンドラム | |||
| 2020 | Pierre Sikivie | 「不可視なアクシオンの潜在的な可視性を認識し、それを検出する新奇な手法を考案する将来性のある業績、およびその宇宙論的な示唆の理論的な調査に対して。」 | |
| 2021 | – | Vernon Barger | 「ウィークボソン、トップクォーク、およびヒッグス粒子の発見および特徴づけのためのコライダー物理学における先駆的な業績、および理論的アイデアを実験で検証する鋭い戦略の開発に対して。 」 |
| 2022 | Nima Arkani-Hamed | 「大きな余剰次元、リトルヒッグス、およびより一般的に電弱スケールの起源につながる新しいアイデアを含む、新奇な実験的シグネチャーを持つ標準模型を超える物理に対する変革的な新しい枠組みの開発に対して。」 | |
| 2023 | – | Heinrich Leutwyler | 「低エネルギーにおけるパイ中間子の有効場の理論への基本的な貢献に対して、およびグルーオンがカラー八重項であることの提唱に対して。」 |
| 2024 | Andrzej Buras | 「クォーク・フレーバー物理学への格別の貢献、特に、K中間子、D中間子、およびB中間子の間の現象論的つながりを描いただけでなく、電弱遷移への高次QCD効果の計算を開発および運用したことに対して。」 | |
| 2025 | – | Elizabeth E. Jenkins | 「 量子色力学の大きなカラー数の制限の中で多数の核子およびハイペロンの物理的性質を導出、ひとつのループで標準模型の有効場の理論の繰り込み群展開の導出を含む、バリオンの物理への傑出した貢献に対して。」 |
| – | Aneesh V. Manohar | ||
| 2026 | - | John F. Donoghue | 「有効場の量子理論としての重力についての業績、およびカイラル摂動理論への重要な貢献を含む、有効場の理論の開発への独自かつ持続的な貢献に対して。」 |
関連項目
- アメリカ物理学会の賞の一覧
- 物理学賞の一覧
- 人名を冠した賞の一覧