REAPER
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REAPER(Rapid Environment for Audio Production, Engineering, and Recording)は、Cockosによって開発された、MIDIシーケンス機能を搭載したデジタルオーディオワークステーション(DAW)である。現バージョンはMicrosoft Windows(XP以降)、macOS(10.5以降)、Linuxで利用可能である[2][3]。REAPERはVSTやAudio Unitsなどの業界標準のプラグイン形式に対応しており、標準的なオーディオ/ビデオファイルフォーマットの多くを読み込むことができる。また、様々な機能をユーザー自身が作成できるようにReaScriptやJSFX(Jesusonic FX)といった機能拡張の仕組みが用意されており、EEL2(REAPER独自のDSL)、Lua、Pythonでプラグイン等を記述できる[4]。
歴史
REAPERの開発は、WinampやGnutellaP2Pファイル共有ネットワークの開発者でもあるジャスティン・フランケルが主導している。プレビュー版は2005年に公開され、最初の公式シェアウェア版は2006年8月にリリースされた。ダウンロードサイズはわずか2MBで、膨大な機能セット、驚くほどの低価格、そしてインタフェースのシンプルさを特徴としていた[5]。
Version 2.0(2007年10月)は、より洗練されたユーザーインターフェース、拡張されたミキサー、スクリーンレイアウトの保存および読み込み機能を追加した。このアップデートではまた、タイムストレッチ/ピッチシフトを強化するZplane Elastique 2アルゴリズムの追加、WindowsとMac OSのサポートがされたが、USBフラッシュドライブからも実行できるほどコンパクトであった[6]。
Version 3(2009年)は、ネストトラック、ミキサー内でのプラグインコントロール、VCAグルーピング、強化されたオートメーションとMIDI機能を追加した[7]。
Version 4(2011年)は、Cockosの「頻繁なアップデート、ベータ版、フォーラムでの議論に耳を傾けユーザーを巻き込む」評判を維持しつつ[8]、自動化可能なピッチシフトエンベロープ、クアッド、5.1、7.1、9.1などのマルチチャンネル設定、プロジェクト管理の改善、ウィンドウ配置のカスタマイズ機能などを追加した。
Version 5(2015年)は、動画編集機能、個別エフェクトパラメータのオートメーション、スクリプト機能の強化、およびVST3サポートを追加した[9]。
Version 6(2019年)は、Retina、HiDPI、Metalディスプレイサポートにより高解像度かつ高速な画面描画、FXプラグインの埋め込みによる高速ワークフロー、MIDI CCエンベロープオートメーション、グラフィカルなパッチベイ、200トラック以上のプロジェクトでのパフォーマンス向上を導入した[10]。
Version 7(2024年)は、トラックレーンのサポート、スワイプコンピング、1トラックあたり最大128チャンネルのオーディオ、MIDIルーティング用128バス、および無制限のオーディオトラックを追加した[11]。
ライセンス
REAPERはプロプライエタリソフトウェアであり、次のメジャーバージョンのアップデート権を含む複数の永続ライセンスオプションを提供している[12]。
カスタマイズ
REAPERは、マルチトラック録音・編集、MIDI録音・編集、内部非リアルタイムダウンミックス、トラック単位のエフェクトループなど、包括的な機能を提供する。ルーティングの概念により、専用のバス、Aux、MIDIトラックを必要とせず、各トラックがオーディオとMIDIの両方のデータを保持可能となる。マルチトラック編集は、Samplitudeで採用されている手法に類似したオブジェクトグルーピングによって容易になる。個々の要素と全トラックの両方がグループ化可能である。マクロカスタマイズのオプションにより、ユーザーは複雑な機能の連続をドラッグアンドドロップで個別コマンドとして組み合わせ、ユーザーインターフェイス、キーボードキー、マウスボタン、またはMIDI/OSCコマンドに割り当てることができる。さらに、REAPERは拡張APIを提供しており、サードパーティソフトウェアをREAPER環境に深く統合可能である。
REAPERのGUIは、カスタマイズ可能なテーマを使用することでユーザーの好みに応じて変更できる。これらのテーマはユーザー自身によって作成可能であり、ソフトウェアを特定のニーズに柔軟に適応させる高度な自由度を提供する。さらに、過去の各バージョンのデフォルトテーマも含まれており、テーマを作成する時間や意欲のないユーザーに出発点を提供する。
ReaScriptにより、ユーザーはスクリプトの編集、実行、デバッグを通じてREAPERをカスタマイズできる。この機能は、パーソナライズされたテーマの作成、機能の拡張、高度なマクロや包括的な拡張の開発をサポートする。スクリプトはEEL2 (JSFX/Jesusonicスクリプト)やLua、Pythonで記述可能である[13]。
ReaPackは、さまざまなリポジトリから入手した拡張機能を管理およびインストールするための包括的なソリューションを提供する[14]。
SWS/S&M拡張(Standing Water Studiosのティム・ペイン設立)は、スナップショット、マーカーアクション、高度なテンポ/グルーヴ操作機能などのワークフロー改善を提供する、広く使用されているオープンソースのREAPER拡張である[15]。
ReaClassicalは、クラシック音楽編集向けの完全オープンソース環境を提供し、ソース-デスティネーション編集、マルチトラックトラックグループ編集、2レーンクロスフェードエディタを備えている[16]。
REAPERは日本語を含む複数の言語をサポートしており、言語パックをダウンロードして利用可能である。ユーザー自身でREAPER用の独自言語パックを作成することもできる[17][18]。
同梱ソフトウェアとプラグイン
REAPERには、一般的に使用される様々なエフェクトが同梱されている。これには、ReaEQ(イコライザー)、ReaVerb(リバーブ)、ReaGate(ノイズゲート)、ReaDelay(ディレイ)、ReaPitch(ピッチシフト)、ReaComp(コンプレッサー)、ReaTune(ボーカルやその他オーディオの自動チューニング)などが含まれる。これらの同梱プラグインは、他のDAWユーザー向けに「ReaPlugs VST FX Suite」としてもダウンロード可能である[19]。
また、数百種類のJSFXプラグインも含まれている[20]。これらは標準的なエフェクトからMIDIやオーディオ向けの特定用途まで多岐にわたる。JSFXスクリプトは編集可能なテキストファイルであり[21]、REAPERに読み込むことで(VSTや他のプラグインと同様に)簡単なオーディオエフェクト(例:ディレイ、ディストーション、コンプレッション)から、楽器(シンセ、サンプラー)、その他の特殊用途ツール(ドラムトリガーやサラウンドパンニング)までのフル機能プラグインとなる。
REAPERには、楽器としてReaSynth、ReaSynDr、ReaSamplomatic 5000が含まれる。ReaSynthは基本的なシンセサイザーで、加算合成による波形、ADSRエンベロープ、ポルタメントを備える。ReaSynDrは、キック、スネア、ブリップ、ティックの4つのドラムサンプルを持つ。ReaSamplomatic 5000はサンプラーである。
REAPERはサードパーティー製のソフトウェアを一切同封していない一方で、VSTのすべてのバージョンに完全に準拠している。さらにAUプラグイン(macOS)、CLAPプラグイン、DXプラグイン(Windows)、LV2プラグインも動作可能であり[22]、これによりほとんどの無料・商用プラグインに対応する。REAPERのx64バージョンでは、x64 のプラグイン処理と並行して、32bitプラグインを動作させることができる[20]。バージョン5.97以降、REAPERはARA 2プラグインもサポートしている[23]。
動画編集
コントロールサーフェスのサポートとリモートコントロール
REAPERは以下の機器を標準でサポートしている。
- BCF2000 – ベリンガーのモーターフェーダー搭載コントロールサーフェス、USB/MIDI[25]
- TranzPort – フロンティア・デザイン・グループのワイヤレストランスポートコントロール[26]
- AlphaTrack – フロンティア・デザイン・グループのコントロールサーフェス[27]
- FaderPort – PreSonusのコントロールサーフェス[28]
- Baby HUI – Mackieのコントロールサーフェス[29]
- MCU (Mackie Control Universal) – Mackieのコントロールサーフェス[30]
REAPERの内蔵ウェブコントロールは、タブレットやスマートフォン、他のコンピュータなど、同じネットワーク上の他のデバイスからソフトウェアを操作することを可能にしている[31]。またREAPERはOpenSound Control (OSC)規格もサポートしている[32]。