St. Gallen Symposium
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創設の経緯
1969年、ザンクトガレン大学(当時はザンクトガレン商科大学、HSG)の学長フランチェスコ・クネシャウレク(Francesco Kneschaurek)は、1968年の学生運動の影響で悪化した大学の評判を改善するため、外国人留学生の代表に建設的な取り組みを依頼した。これは、キャンパス増築のための住民投票を控えていたことも背景にあった[3]。
ドイツ出身のヴォルフガング・シューラー(Wolfgang Schürer)は、トップマネジメントとの国際会議を提案。オランダ出身のクレメンス・エルンスト・ブレニンクマイヤー(Clemens Ernst Brenninkmeyer)、オーストリア出身のフランツ・カール・クリーグラー(Franz Karl Kriegler)、スイス出身のウルス・シュナイダー(Urs Schneider)、ノルウェー出身のテリエ・I・ヴェルナー=ハンセン(Terje I. Wølner-Hanssen)とともに、5か国の国籍にちなんで「国際学生委員会」(ISC)を設立した[4]。
第1回シンポジウム
1970年6月30日から7月1日にかけて、第1回「国際経営対話」(Internationales Management Gespräch)がザンクトガレン大学で開催された。学生100名と各国のビジネスリーダーが参加し、20か国から約200名が集った[5]。
発展
1972年の第3回シンポジウムには、ローマクラブのアウレリオ・ペッチェイが参加した[要出典]。
1974年、第一次オイルショックによる世界的な経済不況と学生組織の継続性の問題から、シンポジウムは一時中断された。これを受けて、シンポジウムの継続性を保証するためザンクトガレン国際研究財団(St. Galler Stiftung für Internationale Studien)が設立された[4]。同年、支援者サークル(Circle of Benefactors)も創設され、2008年時点で約400社が参加している[2]。
大学アーカイブには、1970年から2010年までの文書、画像、音声・映像記録がデジタル化されて保存されている[6]。
組織
プログラム
Leaders of Tomorrow
Leaders of Tomorrow(リーダーズ・オブ・トゥモロー)は、シンポジウムの中核をなす次世代リーダー育成プログラムである。約200名の学生参加者のうち、半数はザンクトガレン・ウィングス・オブ・エクセレンス・アワード(後述)の応募者から選抜される。残りの半数は「ナレッジ・プール」(Knowledge Pool)と呼ばれ、ISCがその年のテーマに関連する実績に基づいて直接選出する[2][7]。
選ばれた学生には渡航費、宿泊費、食費がISCから全額支給される。学生はワークセッションの司会を務め、基調講演にも参加する。多くのLeaders of Tomorrow出身者が後にファカルティメンバーとして復帰している[2]。
ザンクトガレン・ウィングス・オブ・エクセレンス・アワード
ザンクトガレン・ウィングス・オブ・エクセレンス・アワード(St. Gallen Wings of Excellence Award)は、1989年にISCによって創設された世界規模の学生論文コンペティションである[8]。現在はグローバル・エッセイ・コンペティション(Global Essay Competition)とも呼ばれている。
修士課程および博士課程の学生を対象とし、毎年60か国以上から約1,000件の応募がある。予備審査はザンクトガレン大学とチューリッヒ工科大学の博士課程学生が担当する。上位100名の論文著者はシンポジウムに招待され、上位5名は本会議で論文を発表する機会を得る。最優秀賞を含む上位3名にはCHF 20,000の賞金が分配される[2][9]。
2018年までに、100か国以上の1,200以上の大学から25,000件以上のアイデアが提出されている[10]。
歴代受賞者(抜粋)
| 年 | 受賞者 |
|---|---|
| 2004年 | Ravi Rauniyar |
| 2005年 | Fabien Curto Millet |
| 2006年 | Maximilian Freier |
| 2007年 | Benjamin Block |
| 2008年 | Christoph Matthias Paret |
| 2009年 | Shofwan Al-Banna Choiruzzad |
| 2010年 | Ainur Begim |
| 2011年 | Marcelo Ber、Kanan Amal Dhru、María de los Ángeles Lasa |
| 2013年 | Bree Romuld、Kilian Semmelmann、Radoslav Dragov |
| 2016年 | Schima Labitsch |
| 2018年 | Nathanial Ware |
| 2019年 | Reuben Muhindi Wambui |
マックス・シュミットハイニー自由賞
マックス・シュミットハイニー自由賞(Max Schmidheiny Freiheitspreis)は、1979年から2003年まで、マックス・シュミットハイニー財団がシンポジウムの場で授与した賞である。マックス・シュミットハイニー博士(1908年 - 1991年)を記念し、「自由な経済的・社会的秩序の維持と発展に卓越した貢献をした」個人または団体に贈られた[11]。
2003年に財団はこの賞を終了し、ザンクトガレン大学での教授職のスポンサーなど他の活動に注力することとした。
歴代受賞者
| 年 | 受賞者 |
|---|---|
| 1979年 | ロバート・モス、フーゴ・ジーバー |
| 1980年 | ガストン・トルン、ジャンヌ・エルシュ |
| 1981年 | インドロ・モンタネッリ、カール・ローバッハ |
| 1982年 | 国際ガールスカウト・ボーイスカウト運動 |
| 1983年 | ハンス・L・メルクレ、ステファン・キシエレフスキ |
| 1984年 | パウル・R・ヨレス、フリッツ・ロイトヴィラー |
| 1985年 | フレッド・ルフジンガー、レイモンド&ジャン=ダニエル・コルナーツ |
| 1986年 | 国境なき医師団、ゲルト・バッハー |
| 1987年 | レイン・カークランド、ハンス・レッチュ |
| 1988年 | マリオ・バルガス・リョサ、スイスの若手研究者 |
| 1989年 | ビル・ブラッドリー、アーサー・ドゥンケル |
| 1990年 | 自由ヨーロッパ放送 / ラジオ・リバティ、アンリ・リーベン |
| 1991年 | 赤十字国際委員会、リベラル研究所、エドモン・ド・シュトゥーツ |
| 1992年 | カルロス・サリナス・デ・ゴルタリ、ヴァーツラフ・クラウス |
| 1993年 | ニコラス・ハイエック、ヘルマン・リュッベ、ベアト・リヒナー |
| 1994年 | ビルギット・ブロイエル、メアリー・ロビンソン、ハンナ・スホツカ |
| 1995年 | アニーバル・カヴァコ・シルヴァ、エルナンド・デ・ソト、ムハマド・ユヌス |
| 1996年 | ロジャー・ダグラス、ケル・キアク・クリスチャンセン |
| 1997年 | ロスマリー&エマヌエル・ベルガー、アンドレアス・リース&ベダ・ディートヘルム、モーリッツ・ズーター |
| 1998年 | ジャグディーシュ・バグワティー、レオン・ブリタン、ホセ・マリア・フィゲーレス・オルセン |
| 1999年 | トランスペアレンシー・インターナショナル(ペーター・アイゲン)、エコノミスト(ビル・エモット) |
| 2000年 | ヨルマ・オリラ、ロマーノ・プローディ |
| 2001年 | レナルト・メリ、ナーラーヤナ・ムールティ |
| 2002年 | ルート・ルベルス |
| 2003年 | コフィー・アナン |
歴代テーマと主要スピーカー
シンポジウムは毎年異なるテーマを設定し、世界各国の政治家・経営者・学者が登壇する[2]。以下は近年の主要テーマとスピーカー(抜粋)である。
| 回 | 年 | テーマ | 主なスピーカー |
|---|---|---|---|
| 第37回 | 2007年 | The Power of Natural Resources | ゲイリー・ベッカー、張富士夫(トヨタ自動車会長)、ナギーブ・サウィーリス |
| 第38回 | 2008年 | Global Capitalism – Local Values | ハインツ・フィッシャー(オーストリア大統領)、クリスティーヌ・ラガルド |
| 第39回 | 2009年 | Revival of Political and Economic Boundaries | ロバート・オーマン、トーマス・ヘンドリク・イルヴェス(エストニア大統領) |
| 第40回 | 2010年 | Entrepreneurs – Agents of Change | ヨゼフ・アッカーマン、ニーアル・ファーガソン、アンソニー・ギデンズ |
| 第41回 | 2011年 | Just Power | 林芳正、アヤーン・ヒルシ・アリ、ヨルマ・オリラ |
| 第42回 | 2012年 | Facing Risk | 天野之弥(IAEA事務局長)、ゼップ・ブラッター、ジャン=クロード・トリシェ |
| 第43回 | 2013年 | Rewarding Courage | クリスティーヌ・ラガルド、ローレンス・フィンク(ブラックロックCEO) |
| 第44回 | 2014年 | The Clash of Generations | トニー・タン(シンガポール大統領)、ロバート・ゼーリック |
| 第45回 | 2015年 | Proudly Small | ポール・カガメ(ルワンダ大統領)、ダロン・アセモグル |
| 第46回 | 2016年 | Growth – The Good, the Bad, and the Ugly | ダンビサ・モヨ、ティジャヌ・ティアム |
| 第47回 | 2017年 | The Dilemma of Disruption | ケルスティ・カリユライド(エストニア大統領)、サンティアゴ・カラトラバ |
| 第48回 | 2018年 | Beyond the End of Work | ジェレミー・リフキン、スティーブ・フォーブス、ローレンス・ウォン |
| 第49回 | 2019年 | Capital for Purpose | マリアナ・マッツカート、ドミニク・バートン |
| 第50回 | 2021年 | Trust Matters | サティア・ナデラ(マイクロソフトCEO)、カリン・ケラー=ズッター |
| 第51回 | 2022年 | Collaborative Advantage | ジャスティン・トルドー(カナダ首相)、マリア・レッサ(ノーベル平和賞受賞者)、フリードリヒ・メルツ |
| 第52回 | 2023年 | A New Generational Contract | サル・カーン、ヴァネッサ・ナカテ、ニコライ・タンゲン(ノルウェー政府年金基金CEO) |
| 第53回 | 2024年 | Confronting Scarcity | ユリア・ナヴァリナヤ、ウラジミール・クリチコ、カリン・ケラー=ズッター(スイス大統領) |
| 第54回 | 2025年 | Shifting Global Powers | ウラジミール・クリチコ、クリスティアン・ゼーヴィング(ドイツ銀行CEO) |
| 第55回 | 2026年 | Disrupted Age | — |
日本との関わり
スピーカー
日本からは以下の人物がスピーカーとして登壇している。
Leaders of Tomorrow / Knowledge Pool
落合陽一(メディアアーティスト、筑波大学准教授)は、2017年の第47回シンポジウム(テーマ「The Dilemma of Disruption」)において、Leaders of Tomorrowおよび40 Knowledge Poolに選出された[12][13]。
Leaders of Tomorrow出身者には、23歳でナミビア副大臣に就任したエマ・テオフェラス、全米最年少の選挙当選者としてTIME誌の表紙を飾ったブシュラ・アミワラ、東京パラリンピックメダリストのジャマル・ヒルなどがいる[14]。
日本の大学からの参加
東京大学公共政策大学院(GraSPP)、早稲田大学、京都大学、慶應義塾大学などの日本の大学からも毎年学生がLeaders of Tomorrowプログラムに応募・参加している[15][16]。