USP7
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USP7(Ubiquitin-specific-processing protease)は、ヒトではUSP7遺伝子にコードされる酵素であり、HAUSP(herpesvirus-associated ubiquitin-specific protease)やubiquitin carboxyl-terminal hydrolase 7の名称でも知られる[5][6][7][8]。
機能
p53の調節
USP7(HAUSP)はユビキチン特異的プロテアーゼ(脱ユビキチン化酵素)であり、基質からユビキチンを切断除去する[9]。一般的にユビキチン化(ポリユビキチン化)は細胞のタンパク質の安定性と分解と関係しているため、HAUSPの活性は一般的に基質タンパク質を安定化する。
HAUSPはMdm2の直接的なアンタゴニストであることで最もよく知られている。Mdm2はがん抑制タンパク質のp53に対するE3ユビキチンリガーゼである。通常はp53のレベルは低く維持されているが、その一部はMdm2を介したユビキチン化と分解によるものである。HAUSPは発がん性損傷に応答してp53を脱ユビキチン化し、Mdm2を介した分解から保護する。このことから、HAUSPはストレスに応答して迅速にp53の安定化を行うがん抑制機能を有している可能性が示唆される。
MycやアデノウイルスE1Aなどからの発がん性シグナルからのp53の活性化はARFの発現誘導を介して行われると考えられているが[10]、一方でこうしたシグナルによるp53の活性化にはARFは必要不可欠ではないことも一部の研究では示唆されている[11][12]。HAUSPはこうした発がん性損傷に対する安全装置として、p53活性化の代替的経路となっている可能性がある[13]。
転写調節における役割
USP7はヒストンH2Bを脱ユビキチン化し、ショウジョウバエではこの活性は遺伝子サイレンシングと関係している[14]。USP7は代謝酵素であるGMPシンターゼ(GMPS)と結合し、この結合はUSP7のH2Bに対する脱ユビキチン化活性を促進する[14]。USP7-GMPS複合体はショウジョウバエのポリコーム領域にリクルートされ、ホメオティック遺伝子のエピジェネティックなサイレンシングに寄与する[15]。
ヘルペスウイルスとの結合
USP7はもともと単純ヘルペスウイルス(HSV)のICP0タンパク質に結合するタンパク質として同定された[16]。HAUSPという名称はこのことに由来している。ICP0は自身や特定の細胞タンパク質のユビキチン化とその後の分解に関与するE3ユビキチンリガーゼである。USP7はICP0の自己ユビキチン化と分解を調節することが示されている。
より近年になって、USP7がエプスタイン・バール・ウイルス(EBV、他のヘルペスウイルス)のEBNA1タンパク質とも相互作用することが発見された[17]。EBVには発がん性があり、いくつかのヒトのがんと関係していることから、この相互作用は特に興味深いものとなっている。EBNA1はUSP7への結合をめぐってp53と競合する。細胞内でEBNA1はUSP7をp53から隔離してp53の安定化を弱め、細胞をがん化しやすい状態にする。こうしたUSP7の隔離によるp53の機能の低下は、EBNA1がEBVの発がん性に寄与する方法の1つである。さらに、ヒトのUSP7はGMPSと複合体を形成し、この複合体がEBVのゲノム配列へリクルートされることも示されている[18]。ヒト細胞ではUSP7はヒストンH2Bの脱ユビキチン化に重要であり、同様にEBVのゲノムに取り込まれたヒストンH2Bの脱ユビキチン化にも重要である。このようにUSP7はウイルス遺伝子の発現の調節にも重要である可能性がある。