Τ (数学定数)

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τ(タウ)は、一部の研究者により、円周率に代わるべき数学定数として提唱されている数であり、その値はに等しい。

2026年時点では、PythonC#Javaなど、多くのプログラミング言語が採用されている(一覧)。

τの利点

弧度法での角度表記にτを使用した例

提唱者であるBob Palais[1]とMichael Hartl[2]によればの代わりに

を採用する利点として以下のものがある:

  • 回転の角度はτラジアンとなりわかりやすい[1][2]
  • 円周の長さのτとなりわかりやすい[2]
  • 三角関数の周期もとなりわかりやすい[1][2]

また上記3つにが登場する事により、多くの数学公式はを含んだものになっているので、これらの記述も簡素化される。例えば以下のものははこの例に当たる:

物理学でも以下の例がある:

円の面積よりも複雑になるが、これは円周の長さを半径で積分したものであるので、運動エネルギー自由落下のような積分から求まる他の公式との類似性がむしろはっきりする[1][2]

記号「τ」を採用した理由

Hartlによれば、以下の理由によりの文字を採用した。

  • は1回転(turn)の角度を表すのでその頭文字[2]
  • turnの語源であるギリシア語はτόρνος(「旋盤」の意味)なのでその頭文字でもある[2]
  • 1回転の1/2の(ラジアンによる)角度を表す記号「」は2本の"足"を持つので、1回転の1/1の角度を表す記号は1本足の「」が適している[2]

角度の単位turn

一周を1とする角度の単位「turn」はを使うと自然にラジアンに変換できる。例えば

である。一方、を用いると変換の際2倍する計算が必要となる。

なお、turnと同じく一周を1とする「回転数」(number of revolutions)についてはISO 80000-3:2019で標準化されており[3][4]、この記述はSI[5][6]JISの規格JIS Z 8000にも採用されている。

また、turnはEU[7][8]スイス[9]では「Vollwinkel」(=full angleという意味のドイツ語)という名称で法的な単位として定められている[10][11]

プログラミング言語や電卓での採用

を採用しているプログラミング言語は下記のとおりである。いずれも「Tau」の名称を採用しているが、Processingは「TWO_PI」という名称もサポートし、Rakuは「τ」という記号もサポートしている。

言語 命令 最初に採用したバージョン リリース年
C# / .NET System.Math.Tau and System.MathF.Tau 5.0 2020
Crystal TAU 0.36.0 2021
Eiffel math_constants.Tau Curtiss リリース前
GDScript TAU Godot 3.0 2018
Java Math.TAU 19 2022
Nim TAU 0.14.0 2016
Processing TAU and TWO_PI 2.0 2013
Python math.tau 3.6 2016
Raku tau and τ
Rust core::f64::consts::TAU 1.47.0 2020
Zig std.math.tau 0.6.0 2019

電卓での採用は以下の通りである。


具体例

πを使った場合 τを使った場合
円の1/4を成す角度
円周 [注 2]
円の面積
単位円周半径を持つ正n角形の面積
n球とn球の体積再帰関係 [注 3]
コーシーの積分公式
標準正規分布確率密度関数
スターリングの近似
π乗根
プランク定数
角周波数
逆格子ベクトル
断面二次極モーメント
フーリエ変換・フーリエ逆変換

無限乗積

歴史

2001年ユタ大学の数学者Bob Palaisがエッセイ "π is wrong!" の中で、π は円周率として採用するには不自然かつ分かり難い選択であり、円周率としてより自然な定義は半径に対する円周の長さの比であると主張した。Palaisの論文を受け、Michael Hartlは自身のウェブサイト "The τ manifesto" において、この定数の記号としてギリシア文字のを採用することを提唱した。

なお、もとの提唱者であるPalaisは「」の足を3本にした記号「」をを表す記号として提案していたが[1]、Hartlによる提案を受け、「」の記号を用いる事に賛同した[2]。またPalaisの提唱以前には1958年に Albert Eagle は π の代わりに τ = π/2 を使うべきだと主張した事もある[14]

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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