えびの送信所
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概要
潜水艦向けのVLF(超長波)送信施設として新設されたものである。えびの市北部の丘陵上にあり、標高は約720m[6]、東京ドーム55個分の敷地に、8本の鉄塔が設置されている[6]。総工費は約100億円で、建設に際しては反対運動もあった[7]。1986年(昭和61年)に福岡防衛施設局からえびの市に送信所設置の有力候補地として打診がなされ、1991年(平成3年)に完成している[8]。
敷地は東西約1km、南北約2.4kmの長方形で、敷地面積は244ヘクタール[9]。対象防衛関係施設(局舎)の所在地は宮崎県えびの市大字榎田字北野570番地1地先、対象防衛関係施設の区域は宮崎県えびの市大字榎田、大字小野及び大字大明司にまたがる。対象防衛関係施設に係る対象施設周辺地域として熊本県人吉市段塔町の一部と宮崎県えびの市大字小田、大字坂元及び大字大明司の一部などが指定されており[10]、重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第47号)の施行に伴い、該当地域は小型無人機等の飛行が原則禁止されている[11][12]。
えびの送信所は、サイバー防護群中央サイバー防護隊[注釈 1]が管理・運営を行っている。これ以前はアメリカ海軍の依佐美送信所と日本電信電話公社(民営化後は日本電信電話)の名崎送信所を用い、長波による対潜水艦送信を行なっていた[13][9]。中央サイバー防護隊では、他に通信施設として千葉県市原市に市原送信所、同県旭市に飯岡受信所を運用している[14]。なお、通信内容が暗号化されていることもあり、自衛隊施設としては珍しく送信所業務の民間委託(アウトソーシング)を行っており[6]、電気興業が通信設備の維持管理を行っている[15]。
稼働中の超長波通信施設としては日本国内唯一のものであり、使用周波数は22.2kHz[16]、出力200kW[16]、識別符号JJI[16]。また電波の特性上、アンテナ(電気興業製)[5]も巨大で、高さ約160mから約270mの4基2列、計8基の鉄塔間に空中アンテナ(アンテナワイヤー)をめぐらしたものとなっており[9]、アンテナ部が地上1,000mで一定となるように設計されている[6]。これは日本で最も大きなアンテナとなっている。
歴史
海上自衛隊では、潜水艦通信の充実を図り、1980年代初頭よりVLF送信施設の整備を検討していた[17]。五六中業[18]にも超長波送信所等の整備が明記されるなど重要施策であり、当初は福岡県岡垣町などでの建設も検討されたが、最終的にはえびの市に建設された[8][19]。
電気興業が受託した「えびの送信所第1次 - 第3次建設工事」により、1988年(昭和63年)から1991年(平成3年)にかけて鉄塔が建設された。広大な敷地内に、最高高さ272mの鉄塔を、550m間隔で片側4基ずつ2列の計8基建設された。1鉄塔の中における支線アンカーの最大高低差が65mにも及ぶ激しい起伏など厳しい地形的条件の中で、設計・製作を試みながら進められた。施工範囲は幅550m、長さ1,650mの長方形の広範囲に亘り、碍子を伴った支線の展張範囲は更に広範囲となった。アンテナは250m上空に展張する必要があり、展張区域全長に亘って起伏に富む山間部でかつ樹林に覆われており、環境保全のために伐採面積も制限されるという環境条件下で、長大逆L型アンテナ工事が行われた[2]。