かぎやで風節
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かぎやで風節(かぎやでふうぶし;琉球語:かじゃでぃふうぶし[1])は、琉球古典音楽の代表的な楽曲のひとつ。
楽曲としては、沖縄では祝宴に必ず演奏されるもので、歌に三線の伴奏が伴い、「かぎやで風」という舞踊曲としても扱われ、箏、太鼓、笛、胡弓を伴うこともある。
現存する最古の工工四である屋嘉比朝寄が書き表した「屋嘉比工工四」に、片仮名で「カヂヤデ風節」という表記がある(国立琉球大学付属図書館蔵)。
本演目には、琉球舞踊における基本的な型や技法が集約されており、とくに扇を用いた扇舞の要素が顕著である。人生の喜びや祝福を寿ぎながら舞う舞踊とされ、長寿、子孫繁栄、五穀豊穣を祈念する老人踊りとして代々継承されてきた。
舞台では、琉球楽器による荘重な音色に包まれた空間に、翁(おきな)と媼(おうな)が悠然と登場する。演目を通して示される一連の所作や、品位ある衣装には、先人たちの切実な祈りが込められているとされる。
翁は、金入緞子丸頭巾(リンファーモー)をかぶり、白の口ひげ・あごひげを付け、緞子衣装に広帯を締め、白足袋を履き、扇を手に厳かに舞う。媼が加わる場合は、白髪を結う、あるいは後ろに垂らし、長巾(ながさーじ)を用い、緞子衣装または紅型を打掛として着用し、団扇を手に気品ある所作で舞う。これらは基本的な装いであり、上演の場に応じて多様な着付けが見られる。
演舞は主に翁と媼の二人で行われるが、他にも複数の踊りの体系が存在する。「かぎやで風」は、琉球王府において国王の御前で演じられたことから、別名「御前風(ぐじんふう)」とも称される。
尚敬王の時代(1719年)に行われた重陽の宴(冊封儀礼)において、国王の御前で演じられた記録が残されている。『中山傳信録』によれば、老人が国王を祝うため、老夫婦とその子孫五、六人が舞台に登って膝まずき、琉球王国を賛美する前口上(老人申上候意趣)を述べた後、童子たちが隊列を組み、団扇踊り、手踊り、笠踊り、藍花踊りなどを披露したと記されている。
本曲は、同じ場で演奏された恩納節(うんなぶし)、中城はんた前節(なかぐしくはんためーぶし)、特牛節(くてぃぶし/こてい節)、長伊平屋節(ながいひゃぶし)とあわせ、これら五曲を総称して「御前風五節(ぐじんふういつぃぶし)」と呼ばれる。[2]