カボス

ミカン科の常緑広葉樹またはその果実 From Wikipedia, the free encyclopedia

カボス(臭橙[注 1]、香母酢、学名: Citrus sphaerocarpa)は、ミカン科常緑広葉樹またはその果実で、柑橘類の一種である。大分県の特産。果実は酸味が強く、スダチよりもひとまわり大きい[4]。標準和名カボスキシュウミカン[1]

概要 カボス, 分類 ...
カボス
カボスの果実
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ムクロジ目 Sapindales
: ミカン科 Rutaceae
: ミカン属 Citrus
: カボス C. sphaerocarpa
学名
Citrus sphaerocarpa Y.Nakaj. ex H.Ohba (1994)[1]
シノニム
和名
カボスキシュウミカン、カボス
英名
Kabosu
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特徴

カボスの未熟果
カボスの成熟果

ユズの近縁種で、には鋭いがある。果実は緑色のうちに収穫するが、熟すと黄色くなる。果肉は黄白色で、多汁であり酸味が強い。果汁を搾って食用とする。共に緑色で収穫されるスダチと混同されることがあるが、カボスの果実が100 - 150 グラム程度であるのに対し、スダチは30 - 40 グラム程度と大きさが異なり、またカボスは果頂部の雌蕊の落ちた跡の周囲がドーナツ型にやや盛り上がるため、外観から容易に区別できる。

由来

植物図鑑でインド原産とされたこともあったが、DNAを用いた多種類の柑橘類の親子関係の検討から日本原産種(Cold-hardy citrus)とされる[5]。カボスは一方の親をユズとする種で、DNA研究ではもう一方の親は東南アジア原産のクネンボであるとする[5]。ユズとクネンボの原産地と分布からみて両者の雑種が発生したのは日本本土とみられる[5]。ただ、大友宗麟が交易に熱心であったことからインドからの輸入品の中に紛れていた可能性も指摘されている[5]

主産地である大分県臼杵市では、江戸時代に宗源という医者が京都から苗木を持ち帰ったのが栽培の始まりと伝えられている。臼杵市内には、樹齢200年といわれた古木がかつてあり、2021年(令和3年)時点でも樹齢100年前後の古木が残っている[6] が、大分県外にはこのような古木はない。このため、大分県原産とする説がある[7]

名称

カボスという名の由来は明らかではなく、文献で確認できるのも第二次世界大戦後のことである[7]

ダイダイの一種に「カブチ」「カブス」などと呼ばれるものがある。平安時代深根輔仁による『本草和名』に、「枸櫞」「和名加布知」などの記述があり、現代でも和歌山県から三重県にかけてダイダイを「かぶち」と呼ぶ地域がある[8]。また、1603年(慶長8年)頃発行の『日葡辞書』には Cabusu の記載があり、1709年(宝永6年)に刊行された貝原益軒の『大和本草』にも「カブス」についての記載があって、その名の由来は「柑子」(かむし、かむす)が訛ったものとも、乾燥した皮を燻して蚊除けに用いるからとも記されている[9]

ただし、カブスはダイダイのことであるとして、「カブス」を「カボス」とみることに否定的な見解も多い[5]

なお、愛媛県の一部で三宝柑を「かぶす」、大阪府の一部で文旦(ザボン)を「かぼそ」と呼ぶ地域があった[8]

漢字の「臭橙」は熟字訓、「香母酢」は当て字である。

生産

2018年(平成30年)の日本全国の総収穫量は5,460 トン。都道府県別の収穫量は、大分県(5,400 トン)、宮崎県(25 トン)、福岡県(18 トン)の順で、大分県が全国の99%を占める主産地となっている[10]。またカボスには表年と裏年があり、表年に当たった2009年(平成21年)の大分県の出荷量は約6,600 トン、2010年(平成22年)には約4,200 トンと見込まれた[11]。大分県内では臼杵市竹田市豊後大野市国東市での生産が多い[12][13]。出荷期は、ハウスものが3 - 7月、露地ものが8 - 10月で、10月中旬 - 2月には貯蔵ものが出荷される[14]

利用

香酸柑橘類に分類されるカボスの果汁は、酸味に富むとともに独特の香りを有しており、刺身焼き魚等の薬味として、あるいは鍋料理ポン酢[4]酢の物等の調理に用いられる他、大分県では、味噌汁麺類焼酎などにも少し果汁を垂らして風味を付けることもある[15]。また、果汁や果肉を用いた調味料ジュース清涼飲料水氷菓スナック菓子和菓子洋菓子酒類等の加工品も販売されている[16]

大分県では、カボスを加えた飼料で養殖したブリヒラメを「かぼすブリ」「かぼすヒラメ」として売り出している。ブリ等の魚類の飼料にカボスを加えると、カボスに含まれるポリフェノールの効果で、切り身の変色や臭みを長時間抑えることができるとされる[17][18]

大分かぼす

2003年(平成15年)に大分で開催された全国都市緑化フェアでは、カボスをモチーフとしたカボたんがマスコットとされた。カボたんは、フェア終了後、大分県カボス振興協議会によって「大分かぼす」のマスコットとして採用され[19]、2005年(平成17年)からはカボスに限らない大分県の地域振興全般に利用が広げられている[20]

「大分かぼす」は地理的表示 (GI) 保護制度に基づいての保護対象として2017年(平成29年)5月に登録された[6][21]が、登録生産者団体の大分県カボス振興協議会からの申出により2026年(令和8年)3月11日付で登録が消除された[22]

脚注

関連項目

外部リンク

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