てんびん座イオタ1星
てんびん座の多重星
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てんびん座ι1星(てんびんざイオタ1せい、ι1 Librae、ι1 Lib)は、てんびん座にある恒星である[9][10]。年周視差を基に太陽系からの距離を計算すると、およそ380光年である[3][注 1]。多重連星系であると考えられ、4つの恒星で構成される可能性が高いとみられる[9][11]。主星は、ケイ素の過剰な特異星で、りょうけん座α2型変光星かもしれないとされる[12][9][13]。
| てんびん座ι1星(A) ι1 Librae | ||
|---|---|---|
| 星座 | てんびん座 | |
| 見かけの等級 (mv) | 4.54[1] (4.53 - 4.56[2]) | |
| 変光星型 | ACV?[2] | |
| 位置 元期:J2000.0 | ||
| 赤経 (RA, α) | 15h 12m 13.2902543s[3] | |
| 赤緯 (Dec, δ) | −19° 47′ 30.159216″[3] | |
| 視線速度 (Rv) | -11.6 km/s[3] | |
| 固有運動 (μ) | 赤経: -35.40 ミリ秒/年[3] 赤緯: -32.79 ミリ秒/年[3] | |
| 年周視差 (π) | 8.59 ± 0.25ミリ秒[3] (誤差2.9%) | |
| 距離 | 380 ± 10 光年[注 1] (116 ± 3 パーセク[注 1]) | |
| 絶対等級 (MV) | -0.58 / -0.08[4] | |
てんびん座ι1の位置(赤丸)
| ||
| 物理的性質 | ||
| 質量 | Aa: 3.54 ± 1.12 M☉[4] Ab: 2.51 ± 1.12 M☉[4] | |
| スペクトル分類 | B9 Si[5] (B9 IV-V + B9 V[6]) | |
| 色指数 (B-V) | -0.08[7] | |
| 色指数 (U-B) | -0.35[7] | |
| 軌道要素と性質 | ||
| 軌道長半径 (a) | 0.129 秒[8] | |
| 離心率 (e) | 0.249[8] | |
| 公転周期 (P) | 23.472 年[8] | |
| 軌道傾斜角 (i) | 154.9 度[8] | |
| 他のカタログでの名称 | ||
| てんびん座24番星, ADS 9532, BD-19 4047, HD 134759, HIP 74392, HR 5652, NSV 6981, SAO 159090[3] | ||
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星系
てんびん座ι1星は、非常に近接した二重星である[10]。発見したのは、南アフリカのユニオン天文台のファン・デン・ボスで、1939年から1940年にかけて観測し、てんびん座ι1星を2つの恒星に分離した[10][14]。スペックル干渉法が確立すると、多くの位置測定が重ねられ、軌道運動の1周期が網羅されるにいたって、ハインツにより軌道要素が求められ、真の連星であることが確定した[4][15]。この対の恒星は、てんびん座ι1星Aa、てんびん座ι1星Abと呼ばれる[12][9]。てんびん座ι1星AaとAbは、離心率0.249の軌道を23.472年周期で公転する連星系である[8]。
Aa–Abの対よりはるか以前に、ウィリアム・ハーシェルによって1分弱離れた位置にある10等星てんびん座ι1星B(BD −19°4048)が記録され、既に二重星として知られていた[10][12][9][16]。また、てんびん座ι1星Bも二重星であることが、1878年にシャーバーン・バーナムによって発見され、この伴星はてんびん座ι1星Cと呼ばれる[17][12][9]。
Aa–Ab系だけでなく、A–B系は固有運動が共通する連星系であると考えられ、B–C系もまた連星であると考えられることから、てんびん座ι1星系は四重連星系である可能性が高いとされる[9][11]。なお、てんびん座ι1星Aは分光連星であるという報告もされており、その視線速度変化の周期や振幅が、Aa–Ab系の視覚的な軌道運動とは合わないことから、みつかっていないもう1つの恒星を含む5重連星系である可能性も、輝星星表やワシントン重星カタログでは指摘されている[7][12]。
特徴

てんびん座ι1星AaとAbは、見かけの等級が5.1等と5.5等で、どちらもB9型星とみられ、主星Aは準巨星ないし主系列星、伴星Abは主系列星と予想される[18][5][6]。スペクトルに、おそらく主星Aaに起因するとみられる、非常に強いケイ素の吸収線がみえる特異星で、スペクトル型はB9 Siと分類される[10][9][12][5]。軌道運動から力学的に計算したAa–Ab系の合計質量は、太陽のおよそ6.2倍で、主星Aaのみだと太陽の3.6倍程度の質量になるとみられる[18][1]。てんびん座ι1星Aでは、変光も報告されており、合成等級で4.53等から4.56等の範囲を変光するとされる[19][13]。変光しているのはおそらく主星の方で、変光星の種類とすればりょうけん座α2型変光星と予想される[13]。光度曲線から周期も見積もられ、約3.1日である[1]。
てんびん座ι1星BとCは、どちらも11等星で、G型星とされる[12][10]。この対には、スペクトル型としてG5 IVが示されている[7]。