アストンマーティン・ヴァルキリー

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ヴァルキリー (Aston Martin Valkyrie) は、イギリスの自動車メーカー、アストンマーティンが製造・販売していた高級スポーツカーハイパーカー)。フォーミュラ1 (F1) のレッドブル・レーシングとの共同プロジェクトとして開発された。

製造国 イギリスの旗 イギリス
販売期間 2021年 - 2024年
設計統括 エイドリアン・ニューウェイ
マレック・ライヒマン
概要 アストンマーティン・ヴァルキリー, 概要 ...
アストンマーティン・ヴァルキリー
フロント
リア
概要
製造国 イギリスの旗 イギリス
販売期間 2021年 - 2024年
設計統括 エイドリアン・ニューウェイ
マレック・ライヒマン
ボディ
乗車定員 2名
ボディタイプ 2ドア スポーツカー
エンジン位置 ミッドシップ
駆動方式 RWD
パワートレイン
エンジン コスワース 6,500 cc V型12気筒
最高出力 1,160 PS / 10,500 rpm
最大トルク 900 Nm / 6,000 rpm
変速機 リカルド7速セミAT
車両寸法
ホイールベース 2,770mm
全長 4,500mm
全幅 1,965mm
全高 1,070mm
車両重量 1,340-1,355kg
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ヴァルキリー (Valkyrie) とは北欧神話に登場する、戦死した英雄の魂を導く半神ワルキューレWalküre)」の英語表記である[1]。アストンマーティンの特別なモデルに受け継がれてきた”V”のイニシャルが与えられている[1]

概要

ヴァルキリーはアストンマーティンに宿るスポーツカーの伝統と、レッドブルが持つF1の先端技術を融合した究極のロードカーとして企画された。開発はQ by アストンマーティン・アドバンスド、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズ、AFレーシングAGの協力により行われ、アストンマーティンのマレック・ライヒマン、レッドブルのエイドリアン・ニューウェイという双方のデザイン責任者が指揮している[2]

「空力の鬼才」としてF1マシンをデザインしてきたニューウェイ自身、ロードカーの設計は長年の夢であったという[3]。2014年8月、F1シーズンの夏季休暇中にアイディアが具体化し、9カ月間のシミュレーション作業を経て、自動車メーカーとの提携を選択した[4]。アストンマーティンをパートナーに選んだのは、お互いのファクトリーが30マイル(約48 km)ほどしか離れていなかったことと、インフィニティとのパートナーシップを通じて、アストンマーティンの経営陣と面識があったためである[4]

2016年3月にプロジェクトを正式発表し、諸々の情報公開を経て、2019年内の納車開始にむけて準備が進められたが、開発期間の延長や1台当たり2,000時間以上の製作時間を要することから、デリバリー開始は2021年までずれこんだ[5]。価格は200〜250万ポンド(約3億2,000万〜4億円)[6][5]。生産台数は150台限定で、予約完売となっている。日本には11台がデリバリーされる予定[7]。またバリエーションとして、オープントップモデルのヴァルキリー スパイダー(85台)[8]と、サーキット走行に特化したヴァルキリーAMR Pro(40台)[9]が限定生産される。

さらに、両社はハイパーカープロジェクトの第二弾として、ヴァルハラ  (Valhalla) の開発を発表している[10]ヴァルハラとは、北欧神話でワルキューレに選ばれた戦士の魂が集められる主神オーディンの宮殿である。

沿革

日付はイギリス現地時間。

  • 2016年
    • 3月17日 - アストンマーティンとレッドブル・レーシングの提携、およびコードネーム”AM-RB 001”の開発プロジェクトを発表[11]
    • 7月5日 - AM-RB 001の概要発表、アストンマーティン・ゲイドン工場にて試作車を公開[12]
  • 2017年
  • 2019年7月13日 - F1イギリスGPの会場となるシルバーストン・サーキットにて初のデモンストレーション走行[16]
  • 2021年
    • 6月28日 - ヴァルキリーAMR Proを発表[17]
    • 8月12日 - 米国カリフォルニア州ペブルビーチにて、ヴァルキリー スパイダーを発表[18]
    • 11月4日 - 量産第1号車が完成[19]
  • 2022年3月21日 - ヴァルキリーAMR ProがバーレーンGP開催地のバーレーン・インターナショナル・サーキットで初のデモンストレーション走行を行った[20]
  • 2023年10月4日 - ヴァルキリーAMR Proをベースとしたマシンで2025年のル・マンに参戦することを発表[21]

メカニズム

エンジンは英国のエンジンビルダー、コスワース製の6,500 cc自然吸気V型12気筒エンジン(バンク角65度)をミッドマウントする。V型6気筒ターボという選択肢も考えられたが、ストレスマウントの振動やギアボックスの軽量化、エンジンサウンドの好みという点で自然吸気V12が搭載された[4](ヴァルハラではV6ターボを搭載予定)。最高回転数は11,000 rpm、最大出力は10,500 rpmで1,014馬力、最大トルクは7,000 rpmで740 Nm[22]。排ガス規制に適合するロードカー用自然吸気エンジンとしては、世界で初めて1,000馬力に達した、とされる[22]

ハイブリッドシステムはF1に導入された運動エネルギー回生システム(KERS)に似た機構で、インテグラル・パワートレイン製の電気モーターとリマック製のバッテリーで構成される[22]。162馬力・280 Nmのモーターアシストを加えると、最大出力は10,500 rpmで1,176馬力、最大トルクは6,000 rpmで900 Nmとなる[22]

車体はカーボン(CFRP)製で、車両重量は約1,000 kgに抑えられ、パワーウェイトレシオ1:1(1.0 kg/PS)を謳っている[6]。細部まで軽量化を徹底されており、フロントノーズのアストンマーティンのウィングバッジは厚さ70ミクロン(0.07 mm)のアルミを溶着している[23]。電気モーターの搭載により、スターターモーターやオルタネーター、リバースギアが不要になり、重量増を相殺している[4]

ニューウェイはゲーム「グランツーリスモシリーズ」のために手掛けたレッドブル・X2010〜X2014のデザインを応用しており[24]、空力主義のレーシングカーを思わせる大胆なボディスタイリングになっている。フロントグリル部分は大きく開口し、バンパーの代わりにフラップ付きの吊り下げ式ウィングを装備している。キャビンとエンジンルームの底はティアドロップ形状で、車体下面は大きなトンネル状になっており、ここを通過する気流のヴェンチュリ効果によってダウンフォースを獲得する。プロトタイプのAM-RB 001から実車仕様のヴァルキリーに進む段階で、ディフューザーやテールランプなどリアセクションのデザインが変更されている(下の画像参照)。

コクピットは並列2座席で、ガルウィングドアを採用。乗員はフォーミュラカーのように足を持ち上げた格好で乗車する。身長2mの乗員でも自然なポジションをとれるようにしているが、2人分のスペースを確保するため、運転席と助手席をやや前後にずらして設置している[25]。スイッチ類は脱着式ステアリング上に集約される。

オープントップモデルの「スパイダー」はシザーズドアを採用。ルーフを取り外した状態でも空力パフォーマンスを維持するよう、アクティブエアロダイナミクスシステムとアクティブシャシーシステムのチューニングが見直されている[26]

テクニカルパートナーとしては、リカルド(7速セミAT)、マルチマティック(カーボンコンポジット)、アルコンおよびサーフェス・トランスフォームズ(ブレーキシステム)、ボッシュ(エレクトロニクス)、ワイパック(照明)、ミシュラン(タイヤ)が挙げられている[27]

モータースポーツ

AMR Pro

ヴァルキリーAMR Pro(2022年ラグナ・セカにて撮影)
AMR Proプロトタイプ(2019年)

コードネームAM-RB 002と呼ばれていたサーキット専用(トラックバージョン)のヴァルキリーは、AMR Proというサブネームを与えられた[9](AMRはアストンマーティン・レーシング)。

当初は公道仕様のヴァルキリーから最大限のパフォーマンスを引き出すことをテーマにしていたが、後述するル・マン・ハイパーカー(LMH)計画においてル・マン24時間レースの総合優勝を狙うレースカーとして開発が進められた。その後、LMH計画の延期により、レースのレギュレーションの制約から解放され、究極のパフォーマンスを追求するマシンへと生まれ変わった[28]

交通法規上必要な装備や快適性に関わる部品を取り除き、ウィングの大型化、軽量ボディワークへの換装、レース用カーボンブレーキディスク / キャリパーの採用、エンジン・電子制御系・サスペンションのチューンなどを行っている[29]。ホイールはロードモデルよりも小さい前後18インチ。最高速度は400km/h(予測値)、3.3 Gを超えるコーナリングフォースと3.5 Gを超える減速フォースに耐えうるとしている[29]ル・マン24時間レースの行われるサルト・サーキットの1周ラップタイムは3分20秒を目標としている[30]

2020年末をもってレッドブル・レーシングとのスポンサー契約を解消したためヴァルキリープロジェクトを一時延期していたが、翌2021年6月末に正式な製品化と40台の限定生産を発表した。購入特典は、「FIA公認サーキットでアストンマーティン主催のサーキット・デイに参加する権利」が付与される[31]。なお既存のレース等のレギュレーションは一切無視して開発されているため、サーキット・デイ以外でのレース参戦の予定はない[30]

スポーツカーレース

2025年イモラ6時間レースにて

AMR Proをベースとし、ル・マン・ハイパーカー (LMH) 規定に則り開発したレーシングカーで、2025年よりスポーツカーレースFIA 世界耐久選手権 (WEC) とウェザーテック・スポーツカー選手権 (IMSA) の両シリーズの最高峰クラスに参戦している。この車両にはハイブリッドシステムを搭載していない。

脚注

関連項目

外部リンク

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