アレース
ギリシア神話に登場する戦を司る神
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アレースもしくはアーレース(古希: ΑΡΗΣ〈Ἄρης〉、古代ギリシア語ラテン翻字: Árēs)は、ギリシア神話に登場する神で、戦を司る[1]。ゼウスとヘーラーの息子[2][3][4][5][6]。オリュンポス十二神の一柱[6]。
日本語では長母音を省略してアレスとも呼ばれる[6]。アイオリス方言ではアーレウス(アレウス、古希: Ἄρευς、古代ギリシア語ラテン翻字: Áreus)とも。
ローマ神話のマールスと同一視され、火星とも結びつけられた[7]。聖鳥は雄鶏[8]。
本来は戦闘時の狂乱を神格化したもので、恩恵をもたらす神というより荒ぶる神として畏怖された[9]。戦争における栄誉や計略を表すアテーナーに対して、戦場での狂乱と破壊の側面を表す[9]。
概要
戦いの神でありながら人間であるディオメーデースに敗北したほか(アテーナーがディオメーデースの支援をしていたが)、英雄ヘーラクレースからは半死半生の目に遭わされている[10]。また、巨人の兄弟アローアダイ(オートスとエピアルテース)により青銅の壺の中に13か月間幽閉されるなど、神話ではいいエピソードがない[6]。これはアレースの好戦的な神格がギリシア人にとって不評だったこと、主にギリシアにとって蛮地であるトラーキアで崇拝されていたことによる[9]。
基本的に神々の中では嫌われているが、愛人のアプロディーテーや従者と子供達、そして彼が引き起こした戦争が冥界の住人を増やすことから、冥界の王・ハーデースとは交友がある。
戦場では普段は徒歩だが、場合によっては黄金の額帯を付けた足の速い4頭の神馬に戦車を引かせ、青銅の鎧を着込んで両手に巨大な槍を持ち、戦場を駆け巡った[9]。
係累
神話
ポセイドーンの息子の1人・ハリロティオスがアレースの娘アルキッペーを犯し、激怒したアレースはハリロティオスを撲殺した[6]。ポセイドーンは激怒し、アレースを神々の裁判にかけることを主張し、それを認められた[6]。こうしてアレースの丘で世界初の裁判が開かれることになった[6]。アレースは情状酌量の余地があるとして無罪となり、これ以降重大事件の裁判がアレースの丘で行われるようになった[9]。
コリントス王シーシュポスはゼウスの怒りを買い、死神タナトスによって冥界へ連行されようとしていたが、シーシュポスはタナトスを騙して監禁し、地上の人間が死ななくなったため、アレースは彼を救い出した[11]。
怪物テューポーンがゼウスの王権を奪おうと攻撃し、神々は変身してエジプトへ逃げた時、アポローンは鷹に、ヘルメースはコウノトリに、アレースは魚に、アルテミスは猫に、ディオニューソスは山羊に、ヘーラクレースは子鹿に、ヘーパイストスは雄牛に、レートーはトガリネズミに変身した[12]。
アレースとピュレーネー[13](またはペロピアー[14])の息子キュクノスをヘーラクレースが殺した際、アレースが息子の死を怒りヘーラクレースと闘おうとしたが、ゼウスはそれを良しとせず二人の間に雷を落とし闘いを止めた[13][14][15]。
『ホメーロス風讃歌』「アレース讃歌(第8番)」では槍の使い手であり、黄金の兜と青銅の鎧と楯をまとい、火を吐く馬どもの戦車を操り天空を巡り(火星のこと)、オリュンポスや都市を護り、人間たちに光と武勇を与え、強い力でもって勝利と平和をもたらす神であり、掟の女神テミスの支援者であり、勝利の女神ニーケーの父であると歌われている。