アークティックベイ
カナダの集落
From Wikipedia, the free encyclopedia
アークティックベイ(英語:Arctic Bay、イヌクティトゥット語:ᐃᒃᐱᐊᕐᔪᒃ)は、カナダのヌナブト準州クィキクタアルク地域にあるイヌイットのハムレット(村)。バフィン島のボーデン半島北部に位置する。東部標準時を採用しているが、他の標準時との境界近くに位置している。集落では主にイヌクティトゥット語と英語が使用される。イヌクティトゥット語名はイクピアルジュク(ᐃᒃᐱᐊᕐᔪᒃ, Ikpiarjuk, ポケットという意味)。強制移転政策[6]で成立したものではない集落としては、カナダで最も北に位置する。
アークティックベイ
| |
|---|---|
| Hamlet of Arctic Bay | |
|
| |
| 座標:北緯73度02分 西経85度10分[1] | |
| 国 |
|
| 準州 |
|
| 地方行政区 | クィキクタアルク地域 |
| 準州議会 | クッティクトゥク選挙区 |
| 政府 | |
| • 種別 | ハムレット |
| • 村長 | モーゼス・オユクルク |
| • 上級行政官 | ジョエリ・カマニルク |
| • 選出準州議員 | スティーブン・タクトゥ |
| 面積 (2021年)[4] | |
| • 合計 | 245.16 km2 |
| 標高 | 31 m |
| 人口 (2021年)[4] | |
| • 合計 | 994人 |
| • 密度 | 4.1人/km2 |
| 等時帯 | UTC−5 (東部標準時) |
| • 夏時間 | UTC−4 (東部夏時間) |
| 郵便番号 |
X0A 0A0 |
| 市外局番 | 867 |
歴史
この地域にはおよそ5000年前に、西方からイヌイットが到来した。1872年、ヨーロッパの捕鯨船「アークティック」号(ウィリー・アダムズ船長)がこの地域を航行し、英語名を命名した。
1926年9月には、ハドソン湾会社 (HBC) が毛皮の交易所を設立した。当時トゥキックと呼ばれた交易所は翌年閉鎖されたが、1931年に再開され、1936年にアークティックベイと改称された[7]。
1959年、HBCの交易拠点は同社北方販売部の傘下となり、1987年にはノースウェストカンパニーに売却された。現在も「ノーザン・ストア」として営業している[7][8]。
2007年8月10日、当時の首相スティーブン・ハーパーは北極圏におけるカナダのプレゼンスを強化するため、アークティックベイから20 kmほど離れた廃村ナニシヴィクにナニシヴィク海軍施設を設立することを発表した。地理的な問題によりコストがかさんだことから、当初の計画より規模は縮小したものの、主にカナダ海軍のハリー・デヴォルフ級北極圏巡視船を対象に、年に4か月給油活動を行う予定である。2014年8月に建設工事が開始され、当初は2015年に開所の予定であった[9]が、工事の遅れにより2018年、さらに2025年と延期を重ね、2026年1月時点でも開所の見通しが立っていない[10]。遅れの原因は、COVID-19の流行、現地への道路が2021年の洪水で流されたこと[9]、また施設に付属する突堤が極地の海水中に生息する低温バクテリアのために腐食してしまうこと[10]などによるものである。
地理
ボーデン半島西部の、同名の小さな湾の沿岸に位置する。イヌクティトゥット語名のイクピアルジュクは「ポケット」を意味するが、これは湾を取り囲むようにそびえる断崖を指す。南東には、標高およそ600メートルで頂上が平らな、ジョージ5世の名を冠したキング・ジョージ・ザ・フィフス山 (King George V Mountain) がある[11]。
気候
カナダの北部諸準州の標高が低い地域と同様、非常に厳しく長い冬と短く肌寒い夏を特徴とするツンドラ気候 (ET) に区分される[12]。最低気温の平均が0 ℃を上回るのは7月のみで、夏が実質的に存在しないことを別とすれば、より過酷な亜寒帯気候と変わるところはない(より高緯度に位置するスヴァールバル諸島ですら、夏季はもう少し温暖である)。年間降水量は250ミリ以下で、雨は夏から初秋に多い。
アークティックベイ付近の海氷は7月なかばに割れるが、10月初めには再び凍結する[13]。
人口動態
2021年の国勢調査(カナダ統計局実施)によると、アークティックベイの人口は218世帯994人である。前回2016年の国勢調査時の人口868人と比べ、14.5パーセント増加した。アークティックベイの陸地面積は245.16平方キロメートル、人口密度は1平方キロメートルあたり4.1人である[4]。
教育
全校生徒200人ほどのイヌージャク・スクールというK-12校が1校ある。村外から転勤してきた公務員のほかは大部分がイヌイットの子どもであるため、第一言語はイヌクティトゥット語となっている。そのほか、ヌナブト北極大学の学習センターがあり、ヌナブト教員養成プログラム (NTEP) が実施されている。
準州内の多くの高校と同様に、イヌージャク・スクールでもアルバータ州の教育カリキュラムが採用されているが、生徒の読解力がアルバータ州の生徒より低いという問題が生じている。
2020年10月には、アパレルメーカーのカナダグースとカナダの俳優ライアン・レイノルズが、300着以上のパーカーと長靴をイヌージャク・スクールに寄贈した[14]。
交通
カナディアンノース航空が、アークティックベイ空港にイカルイト線とレゾリュート線を就航させている。同空港は滑走路と新ターミナルビルの建設工事後、2011年に営業認可が出された新しい空港である。
アークティックベイ空港が開港するまでは、市街に通じる大通りを滑走路としてデ・ハビランド・カナダ DHC-6(通称ツインオッター)が離着陸していた。また、近くのナニシヴィク空港も利用されていた。