イタモジホコリ

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イタモジホコリ
Physarum rigidum
1. 子実体(培養下で濾紙上に形成されたもの)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: アメーボゾア門 Amoebozoa
亜門 : コノーサ亜門 Conosa
階級なし : 真正動菌 Eumycetozoa
: 変形菌綱 Myxomycetes
亜綱 : 有軸亜綱 Columellinia
上目 : ムラサキホコリ上目 Stemonitidia
: モジホコリ目 Physarales
: モジホコリ科 Physaraceae
: モジホコリ属[注 1] Physarum
: イタモジホコリ P. rigidum
学名
Physarum rigidum (G.Lister) G.Lister, 1925[2]
シノニム
  • Physarum viride var. rigidum G.Lister, 1911[2]

イタモジホコリ学名: Physarum rigidum)は、モジホコリ目モジホコリ科モジホコリ属に分類される変形菌の1種である。子実体は円盤状の胞子嚢(子嚢)と細い柄からなる(図1)。子嚢はしばしば中央が窪み、黄色からくすんだ橙色。細毛体は子嚢底から生じ、石灰節は長く黄色から橙色。胞子は直径 9–10 µm、表面は細かい刺型。学名の種小名である rigidum は、ラテン語で「硬い」を意味する。しばしばキノコを摂食し、マイタケなどの栽培キノコに害を与えることがある。培養が容易であり、ときに実験に用いられる。

子実体は群生し、柄をもつ単子嚢体(子嚢がそれぞれ独立している型)であり、高さ 1–2 mm[3][4](下図2)。変形膜は褐色[3]。柄は先端に向かって細くなり、基部は残留物を含んで暗色、上部は橙色から黄色[3][4](下図2b)。子嚢(胞子嚢)はレンズ形で上面はしばしばくぼんでへそ状、黄色からくすんだ橙色だが、石灰が少ない場合は金色や銀色を呈する[3][4](下図2b)。軸柱はなく、細毛体が子嚢底から放射状に生じており、細毛体の石灰節は長くくさび形からさお形、黄色から橙色、その間をつなぐ連絡糸は長くあまり分岐しない[3][4]胞子は直径 9–10 µm、反射光ですみれ色、透過光で藤色を帯びた褐色、表面は細かい刺型[3][4]

2a. 濾紙上に形成された子実体群
2b. 子実体の拡大像

変形体は黄色[3](下図3a)。条件が悪くなると休眠構造である菌核を形成するが(下図3b)、飼育下で形成された本種の菌核を7年半保管(冷蔵庫の野菜室)して復活を確認した例がある[5]

3a. 培養中の変形体
3b. 菌核化した変形体

分布・生態

汎世界種であり、タイプ産地は日本の和歌山県[3]。日本では本州四国九州琉球諸島から報告されている[3]

春から秋に、朽ち木やキノコの上にややふつうに出現し、ときに大発生する[3][4][6][7]。代表的なキノコ摂食変形菌(キノコを細胞外消化して吸収する)であり、しばしばキノコを摂食する[7]マイタケヒラタケなどの栽培キノコに害を与えることもあり[8]、イタモジホコリによるマイタケに対する病害はイタモジホコリ粘菌病とよばれる[9]

飼育・培養

イタモジホコリは、オートミールを餌として容易に培養できる[要出典][10]。増井真那は5歳の頃から変形菌に興味を持ち、イタモジホコリを含む変形体の飼育・研究をしていることで知られている[11][12][13][14]。増井 (2017) はイタモジホコリの変形体は「敏感で臆病なところがある」と表現しており、別種の変形体との接触をさせた実験で本種が逃げ出す様について「こういう気まぐれなところが、すごくイタモジっぽい」としている[14]

さらに、人工培地による本種の培養もかなり早くに成功している[15]。一般に、粘菌類の変形体を培養するのは簡単でなく、1968年時点で全変形菌の内の10%以下しか培養されていなかったが、それらはごくおおざっぱな方法でのものである[15]。培地中に餌になる生きた微生物、あるいはその死骸を含まない培地での培養が成功していたのは、モデル生物として知られるモジホコリを含む数種しかなかった[15]。そんな中 Henney & Henney (1968) は本種をグルコースヘマチン酵母エキスなどを含む培地で培養することに成功した[15]。この培地は酵母エキスなど天然の素材を使っているために完全な合成培地ではないが、その後、Henney & Lynch (1969) はグルコースとビオチンの他数種のアミノ酸を含む完全な合成培地で本種などを培養することに成功している[16]

分類

脚注

外部リンク

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