イワインコ

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イワインコ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
Status iucn3.1 LC.svg
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: オウム目 Psittaciformes
: ヨウム科 Psittacidae
: イワインコ属 Cyanoliseus
: イワインコ P. patagonus
学名
Cyanoliseus patagonus
(Vieillot, 1818)
英名
Burrowing parrot
burrowing parakeet
Patagonian conure
  季節的な分布
  繁殖域

イワインコ(学名:Cyanoliseus patagonus)は、ヨウム科に分類される鳥類の一種。アルゼンチンチリに分布する。イワインコ属の唯一の現生種で、4亜種が認められている。体色は緑褐色で、胸と目の周りは白く、下腹部は鮮やかな色である。崖や渓谷に巣穴を掘って子育てを行う。標高2000m以下の乾燥した開けた場所に生息する。乱獲や駆除により、個体数は減少している[2]

1818年にフランス鳥類学者であるルイ=ピエール・ヴィエロットによって、Psittacus patagonus として記載された[3]。1854年にシャルル・リュシアン・ボナパルトによって、現在の属に分類された[4]。イワインコ属では唯一の現生種で、Arinae亜科のArini族に分類されており、この族には他の新世界の尾の長いインコも含まれる。本種に最も近縁な種はクロガミインコと考えられている[5][6]

4亜種が認められているが、C. p. conlara は他の亜種と明確に区別できず、分類学的地位には議論がある[7]

  • C. p. patagonus (Vieillot, 1818) は基亜種であり、アルゼンチン中央部から南東部にかけて分布するが、一部の個体はウルグアイの南部まで渡りを行う[2]
  • C. p. andinus Dabbene & Lillo, 1913 は、アルゼンチン北西部のサルタ州からサンフアン州にかけて分布する[2]。羽毛は基亜種よりも地味で、模様も薄い[8]。個体数は推定約2000羽である[9]
  • C. p. conlara Nores and Yzurieta, 1983 は、上の2亜種の分布域の中間であるサンルイス州に分布する。基亜種との差異は胸の色のみであり、雑種とみなされることもある[7][9]
  • C. p. bloxami Olson, 1995 は、以前は C. p. byroni (Sclater, 1873) という学名であった。英名はGreater Patagonian Conureである[10]チリの固有亜種で、以前はアタカマ州からバルディビアまで分布していたが、現在の分布はチリ中部のオイギンス州マウレ州アタカマ州に限定されている[2]。基亜種よりも胸の白い部分が広く、腹面の黄色と赤色が鮮やかである[8]。体重は315-390gで、基亜種よりも大型である[10]。個体数は推定で5000-6000羽[9]

C. p. whitleyi という亜種も存在したが、本種とクサビオインコ属または Primolius 属との雑種という事が判明した[2][8]ミトコンドリアDNAに関する研究によれば、本種の起源はチリにあり、後期更新世アンデス山脈を超えてアルゼンチンに進出した。アンデス山脈は地理的障壁となっており、チリの個体群とアルゼンチンの個体群は、形質的にも遺伝的にも異なる。この研究では C. p. conlara が雑種であることが示唆された[9]

分布と生息地

アルゼンチンの多くの地域に分布し、チリ中部にも孤立した個体群が存在する[2]。冬にはアルゼンチン中部と南部の個体群はウルグアイ南部まで渡りを行う。一方でチリの個体群は低地に移動する。アルゼンチン北西部の個体群の移動は、餌の量と関連している[8]

標高2000mまでの乾燥した開けた土地に生息し、特に河川の近くに多い[2]。また山地の低木地帯、パタゴニアステップ地帯、乾燥した低地、サバンナグランチャコの平原などでも見られる[2][8]農地都市部にも生息する[2]

形態

体長は39-52cm、翼開長は23-25cm、尾長は21-26cmである。性的二形は小さく、雄の体重は約253-340g、雌では227-304gである[2][8]コニュアと呼ばれる新世界のインコの中では最大である[11]

眼の周りは羽毛が無く、白い皮膚がむき出しになっており、眼の後部には斑点がある。頭と上背はオリーブ色がかった褐色、喉と胸部は灰褐色である。胸部には白い模様があり、胸部全体が白くなることもある[2][8]。腿の下部と腹部の中央は赤色で、この色の鮮やかさは個体の力を示している[12]。下背、腿の上部、腰、下腹、脇は黄色で、雨覆は緑褐色[2]。尾は緑褐色で、上から見ると青色、下から見ると茶色である。は灰色で虹彩は黄白色、足は桃色である[8]。幼鳥は成鳥と似ているが、嘴に斑点があり、虹彩は灰色である[2][8]。雌雄の見た目は似るが、雄は腹部の赤い斑点が雌よりも大きく、より赤い[12]紫外線下では雄は明るい緑色、雌は明るい青色に見える[13]

生態

食性

種子ベリー果実、植物質を餌とし[8]、地面や樹上、低木の上で食事を行う[2]。食性は季節によって異なり、アルゼンチンでの調査によれば、食事における果物の割合は、11-12月には2%、1月には74%、2月には25%、3月には35%、4月には8%を占めていた[8]Empetrum rubrumGeoffroea decorticansクコ属サンショウモドキ属Prosopis 属、Discaria 属、サボテンなどの果実を食べる。冬には作物の種子やアザミなどの植物、ローブルミナミブナCordia decandra を食べる[2]

繁殖

巣穴

石灰岩砂岩、または渓谷巣穴を掘る。巣穴の深さは最大3mで、迷路状になっている[8]つがいは前年の巣穴を再利用し、さらに大きくすることもある。大きなコロニーを作って捕食者を避けるが、その規模はオウム目でも最大級となる事がある。大きなコロニーはより大きく高い渓谷を営巣地として選び、これにより繁殖成功率が向上する[14]。営巣に適した渓谷や崖が無い場合、採石場井戸などの人工物を利用することがある[15]。稀に木の洞で営巣することもある[16]

社会的および遺伝的に一夫一婦制である[17]。繁殖期は9-12月で、1回の産卵数は2-5個[2]。抱卵期間は24-25日で、雌が単独で抱卵し、その間雄は雌の世話をする。孵化の時期は同時ではなく、4羽目と5羽目の雛の死亡率は高い[18]。雛の世話は両親が行い、孵化後約8週間の12月下旬から2月にかけて巣立ち始め[8]、最大4ヶ月間親の世話を受ける[18]

体温調節

冬季には体重を増やし、基礎代謝を低下させる。エネルギーを節約することで、食料が少なく、気温の低い冬を生き延びることが出来る[19]

人との関わり

国際自然保護連合レッドリストでは低危険種に指定されているが、飼育目的の乱獲や、農業保護のための防除によって個体数が減少している[1]。その営巣方法のために、人間による撹乱や生息地の劣化に対して脆弱である。ワシントン条約の付属書IIに記載されており、国際取引は制限されている[2]。チリの亜種 C. p. bloxami は、チリのレッドリストに掲載されている[9]

アルゼンチンでは1984年に正式に害鳥に指定され、駆除が激化した[2]。アルゼンチンの法律では保護されていないものの[2]リオネグロ州では個体数の減少が認められ、2004年から狩猟と取引が禁止された[9]。研究によれば、イワインコによる農作物の捕食は、経済的に重度な影響を与えていないことが明らかになっている[20]。チリの亜種 C. p. bloxami は、祝祭日に狩猟が行われている[2]ネウケン州マプチェ族は、毎年イワインコの巣立ちを祝う祭りを開催している[21]

飼育

愛玩鳥として人気の種である。遊び好きで性質は温和であり、人間にもよく馴れる。人の声や周囲の音を真似ることも出来る。大型であるため、十分な空間と飛翔する機会が必要である[22]。飼育下での寿命は19年とされるが、34年という説もある[23]。一般的には基亜種が飼育される。かつては数万羽の野生個体が捕獲され、飼育目的で輸出されていたが、現在はほとんどが飼育下繁殖個体である[24]

出典

参考文献

関連項目

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