ウィキペディアとファクトチェック

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xkcdの漫画「Wikipedian Protester」。政治家の演説に対し、「CITATION NEEDED」(要出典)と書かれたプラカードを掲げて出典の提示を求める様子を描いている[1]

ウィキペディアとファクトチェック英語: Wikipedia and fact-checking)は、ウィキペディアにおけるファクトチェック(事実確認)の文化・実践と、ウィキペディアがファクトチェックに利用されるあり方を扱う記事である。

ウィキペディアでは、ボランティアからなる編集者コミュニティが記事内容を検証し、事実確認にあたっている[2]。こうした実践は誤情報偽情報への対抗策としても取り上げられてきた[2]。また、荒らしなどにより誤った内容が混入すると、その内容が他のプラットフォームで再利用・再掲され得ることも指摘されている[3]

ウィキペディアの記事内容については、ウィキペディアに関する学術研究英語版において、正確性・信頼性などの観点から検討されてきた[4]

YouTubeFacebookなどの大規模プラットフォームは、誤情報対策や文脈情報の提示のために、ウィキペディアの内容を参照・表示する仕組みを導入した事例が報じられている[5][6]

YouTubeでの利用

ウィキペディアは、確かな情報にアクセスするための公共の情報資源として機能している。たとえばCOVID-19の世界的流行は、人々が正確な情報を求めてウィキペディアに依拠した重要な主題の一つであった[7]。一般の利用者の信頼を得ることは、ウィキペディアの公開理念の主要な要素であるとされる[8]。読者調査や研究の一部は、英語版ウィキペディアの品質管理プロセスに対する人々の信頼を報告している[8][9]フェイクニュースへの対抗をめぐる議論の中で、ウィキペディアのコミュニティや方針が情報リテラシーの観点から取り上げられている[10]

YouTubeがウィキペディアをファクトチェックに利用する例

2018年のサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)において、YouTubeのCEOであるスーザン・ウォジスキは、YouTubeがホストする動画をファクトチェックするためにウィキペディアを利用していると発表した[5][11][12][13]。しかし、この動きについてYouTube側からウィキペディア側へ事前の相談はなく、当時の報道では関係者にとって寝耳に水だったとされる[11]。当時の狙いは、陰謀論の拡散に対抗する手段としてウィキペディアを用いることだったとされる[11]。具体的には、一部の動画の下に、ウィキペディア(場合によってはブリタニカ百科事典)へのリンクや抜粋を表示し、視聴者に補足情報(YouTubeが「information cues」と呼ぶ)を提示する[5][11][14]

Facebookでの利用

Facebookは複数の形でウィキペディアを利用している。2016年アメリカ合衆国大統領選挙をめぐるフェイクニュース問題で批判を受けた後、Facebookはウィキペディアに既に確立したファクトチェックのプロセスがあることを認識した[6]。その後、Facebookのフェイクニュース対策には、ファクトチェックのためにウィキペディアの内容を利用することが含まれた[6][15]。2020年、Facebookが検索結果でウィキペディア由来の情報パネルを表示するテストを開始したと報じられた[16]

プロのファクトチェッカー

マイク・コールフィールドとサム・ワインバーグ英語版は、ファクトチェックをメディア・リテラシーの一種として位置づけ、未知の主題について学ぶ出発点としてウィキペディアを利用することも含め、1つの情報源を精読するのではなく複数の信頼できる情報源を横断して確認する「ラテラル・リーディング英語版」(横読み)を重視するよう提案している[17]

ルネー・ディレスタ英語版は2024年の著書で、噂・誤情報・偽情報の被害者に対し、特にAIチャットボットが情報源としてウィキペディアに依存しがちな状況では、ウィキペディアを含むオンライン上で事実に基づく情報が利用可能であるようにしておくよう助言した[18]

ウィキペディアにおけるファクトチェック

ファクトチェックは、ウィキペディアの一般的な編集プロセスの一側面である。ボランティアのコミュニティは、ウィキプロジェクトの一つであるWikipedia:WikiProject Reliability英語版のようなコミュニティ内グループを通じて、出典提示と検証のための実践を発展させてきた[10]。ウィキペディアは、編集者のあいだにファクトチェック文化を育ててきたという評判もある[19]。ウィキペディアのファクトチェックは、ボランティア投稿者の活動に依存しており、その人数は2018年時点で20万人にのぼると報じられた[2]

編集コミュニティにおけるファクトチェック実践の発展は、現在進行形で続いている[8]。その一例として、年単位の議論の末に、2017年にコミュニティがニュース媒体『デイリー・メール』を主張の検証に用いる出典としては一般に信頼できないと判断した決定が挙げられる[8][20]。ウィキペディアは、検証可能性などの厳格な指針を通じて誤情報への対抗を図ってきたとも論じられている[21]。指針によれば、ウィキペディアの「メイン名前空間」(記事名前空間)の全記事は検証可能でなければならない[22]

限界

ウィキペディアで荒らし英語版が発生すると、ウィキペディアの内容を再利用するプラットフォームが、その荒らしを含む内容を再掲載してしまう場合がある[3]。2016年には、ジャーナリストが、ウィキペディアにおける荒らしが同サイトを信頼できる情報源として利用することを損なうことがあると説明した[23]

荒らしはウィキペディアで禁止されており、発見した場合は、編集が荒らしであることを確認したうえで差し戻し(revert)を行い、利用者の会話ページで警告(warn)し、必要に応じてウォッチ(watch)や報告(report)を行う手順が案内されている[24]

2018年時点では、FacebookとYouTubeがウィキペディアをファクトチェック機能のために大きく利用していた一方で、これらの商業プラットフォームは、ウィキペディアの自由で非営利の運営に対して何ら貢献していないとも指摘された[3]

関連項目

脚注

関連資料

外部リンク

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