ガンダルヴァ
インドラまたはソーマに仕える半神半獣の奏楽神団
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概要
『リグ・ヴェーダ』においては単数形で表され、「天のガンダルヴァ (divyagandharva)」と呼ばれ特定の神格を示していたが、後に複数形で表され半神とされた[2]。『アタルヴァ・ヴェーダ』によれば6333のガンダルヴァがいるとされる[1]。太陽または虹、月、ソーマ酒、雲(または雨雲[2])を神格化したものといわれる[1]。『リグ・ヴェーダ』ではガンダルヴァは天上または大気中に住み、ソーマを守護し、その両親である天地両界に光を与えるとされる[1]。太陽と深い関係にあり「黄金の翼をもつ鳥、ヴァルナの使者」といわれる[1]。水との結び付きも強く、水に注がれたソーマ酒は「水中のガンダルヴァ」と呼ばれる[1]。
アプサラスの配偶者とされ、ヤマとヤミーの兄妹はこの両神から生まれたともいわれる[2]。『シャタパタ・ブラーフマナ』ではガンダルヴァとアプサラスがプラジャーパティのバラバラになった身体から生まれたと述べられている[2]。両神の結び付きは多産、豊穣を象徴するが、狂気を引き起こすともいわれ、治療のための供物が捧げられる[2]。この祭祀で捧げられる火を燃やす木は、ガンダルヴァとアプサラスがその上に住むとされたニヤグローダ、ウドゥンバラ、アシュヴァッタ、プラクシャである[1]。
未婚の女性はソーマ、アグニと共にガンダルヴァに属するものとされ、新婦は結婚前にソーマ、ガンダルヴァ、アグニの妻になるという神話から、ガンダルヴァは処女の保護者として結婚式とも深い関係をもつようになった[1]。
『リグ・ヴェーダ』ではガンダルヴァの姿を明確に描いていないが『アタルヴァ・ヴェーダ』では強い香りをもった毛深い半動物のような存在として記している[1]。両肩に翼のある人間の上半身と鳥のような下半身の姿で表されることもある[1]。
後に、ガンダルヴァは天上の楽師とされ(『マハーバーラタ』初編)[1]、踊り子であるアプサラスとともに神々の宴で音楽を奏でるとされた[2]。
出自についてはブラフマーから生まれたとも、カシュヤパとその妻のアリシュターの間に生まれたともいわれる[1]。
仏教におけるガンダルヴァ


仏教の漢訳仏典では乾闥婆(けんだつば)と音写され、天竜八部衆、四天王の八部衆鬼、観音三十三身、二十八部衆の1尊とされる[3]。緊那羅と共に帝釈天に仕えて音楽を奏する楽神となっている[3]。栴檀乾闥婆(せんだんけんだつば)とも呼ばれ、犍達婆、犍達縛とも音写される[3]。食香(じきこう)、尋香行(じんこうぎょう)と漢訳され、酒肉を食わず香を尋ね行き食すため、尋香行の名があるという[3]。
乾闥婆は常に地上の宝山中に住んでいるが、時々忉利天に昇り諸天のために音楽を奏でるとも持国天に従い東方を守護するともいわれる[1]。『大宝積経』の乾闥婆授記品では3億6千万の乾闥婆が世尊を供養して悟りの証言を得たとされ、様々な経典に多くの乾闥婆の名が記されている[1]。
密教では主に小児に危害を加える十五鬼神を捕縛し、胎児や小児の息災を守る役目が与えられている[1]。童子の怖畏や疾病を除くために修す童子経法の本尊には、乾闥婆が不動明王を中心に周囲に十五鬼神を配した童子経曼荼羅図が用いられる[3]。
仏教において空無であることの比喩に乾闥婆城の例えを用いるが、これは乾闥婆城という城が乾闥婆が作った幻であり、目に見えても実体の無い蜃気楼のようであることに由来する[3]。
密教の乾闥婆像は、二臂の武人天部形で獅子冠を被り、宝珠と十五鬼頭を刺した三叉戟を持つ姿が一般的だが、他にも八角冠を被り簫笛と宝剣を持つ姿(『摂無礙経』)や、甲冑を着て石の上に坐し、利毛形の戟を持ち、頂上に牛頭を戴く姿(『十巻抄』)が説かれている[3]。奈良県の興福寺の乾闥婆像が特に有名であり[1]、獅子冠を被った姿で表される[3]。
