キグレイ尺度
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キグレイ尺度(キグレイしゃくど、英: Quigley scale)は、外性器の表現型を「完全男性化 (fully masculinized)」から「完全女性化 (ffully feminized)」までの7段階に定義する記述的・視覚的評価システムである。1995年に小児内分泌学者チャーミアン・A・キグレイらにより提唱された[1]。
その機能はプラダー尺度と類似したもので、アンドロゲン不応症(完全アンドロゲン不応症 (complete androgen insensitivity syndrome; CAIS)、部分的アンドロゲン不応症 (partial androgen insensitivity syndrome; PAIS)、軽度アンドロゲン不応症 (mild androgen insensitivity syndrome; MAIS) に分類される)における外性器の記述に用いられる[2][3]。
診断
この尺度のうち最初の6段階(グレード1~6)は、外性器の男性化の程度を表している。キグレイはこの尺度を「重症度 (severity)」または「男性化の欠損度 (defective masculinization)」を表すものと説明している。グレード1は外性器が完全に男性化した場合を示し、軽度アンドロゲン不応症に相当する[注 1]。グレード6および7は外性器が完全に女性型である場合を示し、完全型アンドロゲン不応症に相当する[1]。
グレード2から5は、男性化の程度が低下(女性化が増加)する4段階の中間的な生殖器を定量化する[1]。
思春期前はグレード6とグレード7は区別がつかず、二次性徴での硬毛の有無によって区別される。硬毛が存在する場合をグレード6とし、存在しない場合をグレード7とする[1]。
批判
この尺度はいわゆる女性化または男性化不足の性器に対する評価系として定義されているが、非典型的な性器が病理的であるという概念には異論がある。スイス国立生物医学倫理諮問センター(Swiss National Advisory Centre for Biomedical Ethics)の意見書は、二元的性規範(sex norms)からの逸脱が「稀ではない」場合は病理的ではなく、医療的処置を必要としない可能性があると助言している[4]。同様に、オーストラリア上院委員会(Australian Senate Committee)による非自発的断種に関する報告書は、「『適切な』または『正常な』性器に関する研究は、特に女性の場合、(医師の専門分野や性別による偏見を含む)幾つかの懸念すべき疑問を提起する」と結論付けている[5]。欧州評議会人権委員会(Commissioner for Human Rights of the Council of Europe)は2015年の「人権とインターセックスに関する文書」において、性徴の多様性を病理化する医学的分類の見直しを推奨した[6]。
