サヤインゲン銀河
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サヤインゲン銀河(サヤインゲンぎんが、英:Green bean galaxy) (GBGs) はクエーサーの電離エコーと見られる、非常にまれな天体の一種の総称である[1][2][3]。 Mischa Schirmerとその同僚のR. Diaz、K. Holhjem、N.A. Levenson、C. Wingeらによって発見された[1]。 発見論文の段階では、彼らは赤方偏移がz=0.2–0.6くらいの位置にある銀河全体に超高輝度な狭帯線領域(NLRs)をもつタイプ2のセイファート銀河を複数発見したと報告していた[1]。
ハワイのマウナケア山の頂上にある口径3.6mカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡で撮影されたサーベイ画像を精査していたSchirmerは、rフィルターで強く光っている異常な天体に気付いた。これは、強い輝線スペクトルを持つ天体であることを示唆している[1][4]。実際に、この色の特徴はグリーンピース銀河(GPs)と呼ばれる、市民科学プロジェクトのギャラクシー・ズーで発見されたコンパクトな星形成銀河の特徴と似ていた。しかし、GBGとして知られた天体はGPよりはるかに大きかった[1][5]。
GBGの存在は非常にまれで、平均して13億光年四方の立方体の中に1個の頻度でしか見つかっていない[1]。 サヤインゲン銀河というニックネームは、色はグリーンピース銀河と似ているものの、グリーンピース銀河より大きいことからつけられた[1]。 ほとんどのGPにある恒星間ガスは活発な星形成で生じた紫外線によって電離されているのに対して、GBGにあるガスは活動銀河核による硬X線により電離されている。GBGの希少さは、この現象自体が非常に起こりにくいことに加え、起こったとしてもその持続期間が非常に短いことによる[1]。
GBGは、ギャラクシー・ズーのボランティアが発見したハニーの天体と呼ばれる天体である、クエーサーの電離エコーと考えられているもう1つの天体と関係があるとされている[6]。 しかしGBGは、ハニーの天体の仲間として「voorwerpjes」と呼ばれている数多くのその他のクエーサーの電離雲と比べて、その光度、大きさ、ガスの質量において10倍から100倍も異なっている[7]。 voorwerpjesは、その明るい状態を2万年から20万年ほど持続させるとされている[7]。
GBGの形成メカニズムについては現在も研究が行われている。1つの仮説として、巨大なガスのアウトフローが超高輝度クエーサーの寿命の最終段階で生まれ、その後たとえばAGNフィードバックと呼ばれているようなプロセスを経て急速に活動を停止させるというものが提唱されている[8]。 この説は、かつて非常に活発だったクエーサーから漏れ出ていたX線が、光速が有限である以上クエーサーの停止後も周囲のガスには一定期間届き続け、電離エコーを起こすというものである。
| 番号 | SDSSでのID | 注釈、別カタログでの表記 |
|---|---|---|
| 001 | 1237679077517557845 | GALEX 全天カタログ (ASC)では J002016.43-053127.1 |
| 002 | 1237676441460474246 | GALEX ASCでは J002434.84+325842.5 |
| 003 | 1237666091128914338 | GALEX ASCでは J011136.63+225357.5 |
| 004 | 1237666340800364769 | NEDでは以前に8件が参照 |
| 005 | 1237680284389015833 | GALEX ASCでは J015930.73+270303.4 |
| 006 | 1237650371555229774 | NEDでは以前に2件が参照、そこにはチャンドラX線観測衛星の2010年のカタログも含む |
| 007 | 1237661386529374363 | GALEX ASCでは J134709.11+545311.0 |
| 008 | 1237662236402647262 | GALEX ASではC J135155.51+081608.7 |
| 009 | 1237665442062663827 | NRAO VLAスカイサーベイ(NVS)ではJ144110+251702 |
| 010 | 1237655742407835791 | NEDでは以前に1件が、ヒクソン・コンパクト銀河群のようなコンパクトグループとして参照 |
| 011 | 1237662306730639531 | GALEX ASCでは J150420.75+343958.6 |
| 012 | 1237667968032637115 | NVSSでは J150517+194450 |
| 013 | 1237669699436675933 | NVSSでは J205057+055014 |
| 014 | 1237680191506678389 | NVSSでは J213542-031432 |
| 015 | 1237680306395415794 | GALEX ASCでは J220216.57+230904.8 |
| 016 | 1237656538051248311 | プロトタイプのGBG J2240-0927、GALEX ASCでは J224024.09-092748.5 |
| 017 | 1237680503434445439 | SDSS J230829.37+330310.4 |
VLT/XSHOOTERを用いたサヤインゲン銀河J2240-0927の分光観測
クエーサーの電離エコーの放射特性の解明

2015年3月に、王立天文学会月報から「サヤインゲン銀河SDSS J224024.1--092748におけるクエーサーの電離エコーの放射特性の解明」と題された論文が出版された[9]。
この研究では、サヤインゲン銀河は赤方偏移z ~ 0.3の範囲において最も[O III]輝線で明るいタイプ2の活動銀河核であるとする一方、赤外線での輝度は低いことを指摘している。そしてこれらのガスは最近起こったAGNの活動で放たれた高エネルギーの光子で電離されていると示唆したうえで、この天体がクエーサーの電離エコーであることを支持している。 さらに、J224024.1-092748による解析で、この天体が非常に高輝度なクエーサーが弱い活動銀河核へ変化していく様子の化石的記録であるとしている[9]。