アクリロニトリル
ニトリルの一種
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アクリロニトリル (acrylonitrile) とは、分子式 C3H3Nで表されるニトリルの一種で、化学工業における中間体として重要な有機化合物である。アクリルニトリル、アクリル酸ニトリル、シアン化ビニール (vinyl cyanide) などの別称がある。
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| 物質名 | |||
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Prop-2-enenitrile プロパ-2-エンニトリル | |||
| 識別情報 | |||
3D model (JSmol) |
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| ChEBI | |||
| ChEMBL | |||
| ChemSpider | |||
| ECHA InfoCard | 100.003.152 | ||
| EC番号 |
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| KEGG | |||
PubChem CID |
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| RTECS number |
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| UNII | |||
| 国連/北米番号 | 1093 | ||
CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |||
| C3H3N | |||
| モル質量 | 53.064 g·mol−1 | ||
| 外観 | 無色の液体 | ||
| 密度 | 0.81 g/cm3 | ||
| 融点 | −84 °C (−119 °F; 189 K) | ||
| 沸点 | 77 °C (171 °F; 350 K) | ||
| 70 g/L | |||
| log POW | 0.19[2] | ||
| 蒸気圧 | 83 mmHg[1] | ||
| 危険性 | |||
| 労働安全衛生 (OHS/OSH): | |||
主な危険性 |
可燃性 反応性 毒性 潜在的な職業性発がん物質[1] | ||
| NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |||
| 引火点 | −1 °C; 30 °F; 272 K | ||
| 471 °C (880 °F; 744 K) | |||
| 爆発限界 | 3–17% | ||
| 致死量または濃度 (LD, LC) | |||
半数致死濃度 LC50 |
500 ppm (ラット, 4時間) 313 ppm (マウス, 4 時間) 425 ppm (ラット, 4 時間)[3] | ||
LCLo (最低致死濃度) |
260 ppm (ウサギ, 4 時間) 575 ppm (モルモット, 4 時間) 636 ppm (ラット, 4時間) 452 ppm (ヒト, 1 時間)[3] | ||
| NIOSH(米国の健康曝露限度): | |||
PEL |
TWA 2 ppm C 10 ppm [15-minute] [skin][1] | ||
REL |
Ca TWA 1 ppm C 10 ppm [15-minute] [skin][1] | ||
IDLH |
85 ppm[1] | ||
| 安全データシート (SDS) | ICSC 0092 | ||
| 関連する物質 | |||
| 関連するニトリル | アセトニトリル プロパンニトリル | ||
| 関連物質 | アクリル酸 アクロレイン | ||
性質
反応
製造
アクリロニトリルは、工業的にはプロピレンから、金属酸化物 (例:MoO3-Bi2O3-Fe2O3) 触媒の存在下にアンモニアと酸素を作用させて生産される。この方法は ソハイオ法 (Sohio process) もしくはアンモ酸化 (ammoxidation) と呼ばれる。
ソハイオ法は、副生物としてシアン化水素 (HCN)、アセトニトリル (CH3CN) も得られるため、それらの製法としても利用されている。
エチレンシアンヒドリンの脱水、またはアセチレンに対するシアン化水素の付加反応によっても、アクリロニトリルを得ることができる。
製造量
2009年末時点で、世界のアクリロニトリル総生産能力は600万トン強。国別の生産量では、アメリカ合衆国、中国、日本、韓国、台湾の順位であった。中国は2009年の生産量が101万トンであったが、設備改造による能力アップが続き[7]、2011年に生産量が111万トンで首位となった。
2013年末の、世界のアクリロニトリル総生産能力は、旭化成ケミカルの韓国や中国石油化工集団安慶の増設によって約680万トンとなり、総生産量は約533万トンとなった[8]。
2012年の日本国内生産量は553,908トン、出荷量は552,452トン、2013年の日本国内生産量は517,869トン、出荷量は526,014トンであった[9]。
主要メーカー
- Ineos Nitriles - BP系。アメリカとドイツを合わせると世界最大の年産135万トン以上の能力。
- 旭化成 - 日本最大で約44万トンの能力。韓国、タイの投資先を加えると125万トン。川崎工場15万トンを2014年に停止の予定。「カシミロン」の原料。
- 三菱レイヨン - 旧三菱レイヨンと三菱化学からダイヤニトリックスを経て再統合。24万トンの能力。
- 住友化学
- 昭和電工
- 中国石油化工集団 - 吉林、大慶、上海、安慶などにBPの技術で作った工場がある。
- 上海賽科 - 中国。シノケム(SINOCHEM)社が販売代理店。
- 台塑石化 - 台湾。28万トンの能力。
- 中国石化発展公司 - 台湾。
- 泰光産業 - 韓国。25万トンの能力。
- 東西石油化学 - 韓国。
- BASF - ドイツ。
- DSM - オランダ。
- Ascend Performance Materials - アメリカ合衆国。52万トンの能力。
用途
アクリロニトリルは、主にアクリル繊維(ポリアクリロニトリル)や合成樹脂[4]のABS樹脂やAS樹脂(SAN)の原料とされている。また、アクリルアミド、アジポニトリルの原料としても重要である。他に、ニトリルゴム向けなどがある。世界的には用途別比率はABS樹脂やAS樹脂向けが40 %強、アクリル繊維向けが約40 %、アクリルアミド向けが10 %弱となっている。
かつてはアクリル酸の原料でもあった。また、うまみ調味料の主成分L-グルタミン酸ナトリウムもかつてはアクリロニトリルからの生成が試みられた[10]。アクリロニトリルの原料であるプロピレンは石油由来原料であり、これが「味の素の原料は石油」と呼ばれた所以である。
事故
空気中での爆発範囲は、下限 3.0 vol%、上限 17.0 vol% とされる[11]。
前述の通り、アクリロニトリルは引火性で毒性も持つ。アメリカ合衆国のテネシー州のメリービルでは、2015年にアクリロニトリルを含む可燃物を搭載した貨物列車が脱線し炎上した。アクリロニトリルの有害性(燃焼後の気体も有害)から、周辺住民は避難し、また出火当時は消火活動も行われていなかった[12]。また、2015年8月の山東省化学工場爆発事件の原因となっていた。
法規制
日本では毒物及び劇物取締法および毒物及び劇物指定令(別表第二)によりアクリルニトリルとして劇物に指定されている[13]。
またアクリロニトリルとして、労働安全衛生法の関連法令である「労働安全衛生法施行令」(昭和四十七年政令第三百十八号)別表第三にて、特定化学物質第2類と規定されているほか[14]、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)の特定第1種指定化学物質に指定されており[5]、高圧ガス保安法[15]、船舶安全法[5]、大気汚染防止法[16]、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚染防止法)[17]にも規定がある。消防法に定める第4類危険物 第1石油類に該当する[18][注 1]。




