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化学工業

原料を化学反応によって加工することによって得られた物質を製品とする工業 From Wikipedia, the free encyclopedia

化学工業は、工業用・特殊化学品・その他の化学物質を開発・生産する企業および諸組織の総称。現代の世界経済の中核をなす産業であり、原材料(石油、天然ガス、空気、水、金属、鉱物)を産業用および消費者向け製品のための汎用化学品へと転換する。プラスチック用ポリマーや合成繊維といった石油化学製品、酸やアルカリといった無機化学品、肥料・殺虫剤・除草剤といった農業化学品、さらに産業ガス(英語版)、スペシャリティケミカル、医薬品などを包含する。

ルイジアナ州の石油精製所。化学工業の一例

化学工業には、化学工学者、化学者、実験技術者など多様な専門職が関与する。

歴史

化学物質は歴史を通じて製造・使用されてきたが、さまざまな用途向けに化学品を大量生産する重化学工業の誕生は、産業革命の幕開けと軌を一にする。

産業革命

工業的手法により大量生産された最初期の化学品の一つが硫酸である。1736年、薬剤師のジョシュア・ウォード(英語版)は、硫黄を硝石とともに加熱し、硫黄を酸化させて水と結合させる製法を考案し、大規模な硫酸の実用的製造を初めて可能にした。ジョン・ローバックとサミュエル・ガーベット(英語版)は1749年、スコットランドのプレストンパンズで最初の大規模工場を設立し、硫酸製造に鉛室法を用いた[1][2]。

1831年のチャールズ・テナント(英語版)によるセント・ロロックス化学(英語版)工場。世界最大級の化学企業体であった。


18世紀初頭、布の漂白は古尿や酸乳(英語版)で処理し、長時間日光に晒す方法が一般的で、生産上の重大なボトルネックとなっていた。18世紀半ばには硫酸や石灰の利用が進んだが、画期的だったのはチャールズ・テナント(英語版)によるさらし粉の発見である。これは乾燥した消石灰に塩素を反応させて得られ、安価で有効な製品として成功した。彼はグラスゴー北方にセント・ロロックス化学(英語版)工場を開き、生産量は1799年のわずか52トンから、5年後にはほぼ1万トンへと急増した[3]。

ソーダ灰(炭酸ナトリウム)は古代からガラス、繊維、石鹸、紙の製造に用いられ、西欧では灰カリ(英語版)の供給源として伝統的に木灰が利用されてきた。しかし18世紀には森林資源の減少により不経済となり、フランス科学アカデミーは海塩(塩化ナトリウム)からアルカリを製造する方法に2400リーヴルの賞金を懸けた。ルブラン法は1791年にニコラ・ルブランによって特許化され、彼はサン=ドニに工場を建設した[4]。しかしフランス革命のため、彼は賞金を受け取れなかった[5]。

英国ではルブラン法が広まった[5]。ウィリアム・ローシュ(英語版)は1816年、タイン川沿いのロッシュ・ウィルソン・アンド・ベル(英語版)工場群に英国初の炭酸ソーダ工場を建設したが、1824年までの塩生産に対する高関税のため規模は小さくとどまった。関税撤廃後、英国の炭酸ソーダ産業は急速に拡大し、ジェームズ・マスプラット(英語版)のリヴァプール工場や、テナントのグラスゴー近郊の複合施設は世界最大の化学生産拠点となった。1870年代には、英国の年間炭酸ソーダ生産は20万トンに達し、他国の合計を上回った。

エルネスト・ソルベイ。ソーダ灰の改良工業製法を特許化。

巨大工場群は産業革命の成熟とともに生産品目の多様化を進めた。当初、炭酸ソーダ製造では多量のアルカリ性廃棄物が環境中に放出され、1863年には最初期の環境法制の一つが制定されて規制が強化され、基準超過者には重い罰金が科された。やがてアルカリ廃棄物から有用な副産物を得る方法が考案された。

ソルベイ法はベルギーの工業化学者エルネスト・ソルベイにより1861年に開発された。1864年、ソルベイ兄弟はベルギーのシャルルロワに工場を建設し、1874年にはフランスのナンシーに大規模工場へと拡張した。この新法はルブラン法に比べて経済的かつ低公害であり、急速に普及した。同年、ルードウィッヒ・モンドがソルベイのもとを訪れて実施権を取得し、ジョン・ブランナー(英語版)とともにブランナー・モンド(英語版)社を設立、イングランドのウィニントン(英語版)にソルベイ法工場を建設した。モンドは1873年から1880年にかけて工程を改良し、炭酸ソーダの生成を阻害する副生成物を除去するなど、商業的成功に大きく寄与した。

化石燃料由来の化学製品の製造は19世紀初頭に本格化した。ガス灯用の石炭ガス製造に伴って生じるコールタールおよびアンモニア性液の残渣は、1822年からエディンバラのボニントン化学工場(英語版)で処理され、ナフサ、クレオソート油、瀝青、カーボンブラック、塩化アンモニウムが製造された[6]。のちに硫酸アンモニウム肥料(硫安)、アスファルト舗装材、コークス油、コークスなども製品群に加わった。

拡大と成熟

19世紀後半には生産量と製造品目の双方で爆発的な拡大が見られ、ドイツに大規模化学工業が興り、のちにアメリカ合衆国でも発展した。

ドイツ企業BASFの工場(1866年)

農業用の人工肥料の工業的生産は、ジョン・ベネット・ロウズ(英語版)卿が専用に設けたロザムステッド研究所(英語版)で先駆的に進められ、1840年代にはロンドン近郊にリン酸二水素カルシウムの製造工場を設立した。ゴムの加硫は1840年代にアメリカのチャールズ・グッドイヤーとイギリスのトーマス・ハンコック(英語版)がそれぞれ特許化した。ウィリアム・パーキンはロンドンで最初の合成染料を発見し、アニリンを部分変換して得た粗混合物をアルコールで抽出することで、強い紫色を呈する物質を得た。彼はまた最初の合成香料も開発した。ドイツ産業は合成染料分野を急速に支配し、BASF、バイエル、ヘキストの三社は数百種類の染料を生産した。1913年までに、ドイツは世界の染料供給のほぼ90%を生産し、その約80%を輸出した[7]。アメリカ合衆国では、ハーバート・ヘンリー・ダウがかん水から電気化学的手法で化学品を製造して商業的成功を収め、同国の化学工業の発展を後押しした[8]。

石油化学工業は、スコットランドの化学者ジェームズ・ヤング (化学者)(英語版)やカナダのエイブラハム・パイニオ・ゲスナー(英語版)による石油製造事業に遡る。最初のプラスチックは英国の冶金学者アレクサンダー・パークス(英語版)が発明し、1856年にパークシンとして特許を取得した[9]。これは各種溶媒で処理したニトロセルロースに基づくセルロイド系材料であり、1862年のロンドン国際博覧会に出品され、プラスチックの美観・実用の多くの現代的用途を先取りした。植物油から石鹸を工業生産する事業は、初代リーバヒューム子爵ウィリアム・リーバ(英語版)と弟ジェームズが1885年にランカシャーで開始し、グリセリンと植物油を用いるウィリアム・ハフ・ワトソン考案の化学プロセスに基づいていた[10]。

1928年にソ連で刊行された『ドイツの化学工業と未来の戦争』

1920年代までに、化学企業は大規模コングロマリットへと集約され、ドイツのIG・ファルベンインドゥストリー、フランスのローヌ・プーラン、英国のインペリアル・ケミカル・インダストリーズが成立した。アメリカ合衆国では、デュポンが20世紀初頭に大手化学企業へと成長した。

製品

ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネートなどのポリマー・プラスチックは、世界の化学工業生産量の約80%を占める[11]。化学品は多様な消費財に用いられるのみならず、農業、製造業、建設業、サービス産業など多部門で使用される。主要な産業顧客には、ゴム・プラスチック製品、繊維・衣料、石油精製、パルプ・紙、一次金属などが含まれる。化学産業は世界でほぼ5兆米ドル規模の事業であり、EUおよび米国の化学企業が世界最大の生産者である[12]。

化学工業の売上は、概ね基礎化学品(金額ベースで約35~37%)、ライフサイエンス(30%)、特殊化学品(20~25%)、消費者向け製品(約10%)の区分に大別される[13]。

概要

スロバキア共和国、ブラチスラヴァ。スロヴナフト(英語版)製油所におけるポリプロピレン工場

基礎化学品は、ポリマー、バルク石油化学および中間体、その他の誘導体・基礎工業品、無機化学品、肥料を含む幅広い化学品群を指す。

ポリマーは基礎化学品最大の分野であり、あらゆる種類のプラスチックと合成繊維を包含する。プラスチックの主要市場は包装であり、次いで住宅建設、容器、家電機器、配管、輸送、玩具、遊具などが続く。

  • ポリエチレン(PE):主として包装用フィルムに用いられ、牛乳ボトル、各種容器、配管などにも使用される。
  • ポリ塩化ビニル(PVC):主に建設市場向けの配管や外装材に用いられ、規模は小さいが輸送・包装用途にも使用される。
  • ポリプロピレン(PP):生産規模でポリ塩化ビニルに匹敵し、包装、家電、容器から衣料、カーペットに至るまで幅広い市場で用いられる。
  • ポリスチレン(PS):主に家電・包装、さらに玩具・レジャー用途に使用される。

ポリマーの主原料は、エチレン、プロピレン、ベンゼンなどの基礎石油化学製品である。

石油化学品および中間化学品は、主として液化石油ガス(LPG)、天然ガス、原油分留物から製造される。製造量の多い製品には、エチレン、プロピレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、塩化ビニルモノマー(VCM)、スチレン、ブタジエン、エチレンオキシドが含まれる。これらの基礎(汎用)化学品は、多くのポリマーや、特に特殊化学品分野向けのより複雑な有機化学品の起点となる。

その他の誘導体・基礎工業品には、合成ゴム、界面活性剤、染料・顔料、テレピン油、合成樹脂、カーボンブラック、爆発物、ゴム製品などが含まれ、基礎化学品の販売高の約20%を占める。

無機化学品(売上ベースで約12%)は最古の化学カテゴリであり、製品には塩、塩素、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)、酸類(硝酸、リン酸、硫酸など)、二酸化チタン、過酸化水素が含まれる。

肥料は最小のカテゴリ(約6%)で、リン酸塩、アンモニア、ポタッシュ(英語版)化学品から成る。

ライフサイエンス

ライフサイエンス(金額ベースで約30%)には、医薬品、処方薬、動物用医薬、ビタミン、農薬が含まれる。量は他分野より小さいが、製品価格は1ポンド(約0.45キログラム)当たり10米ドル超、産業成長率はGDP成長率の1.5~6倍、研究開発費は売上高の15~25%に達することが多い。ライフサイエンス製品は一般に高い品質 が求められ、米国食品医薬品局(FDA)のような政府機関による厳格な審査を受ける。農薬はこの区分の約10%を占め、除草剤、殺虫剤、殺菌剤を含む[13]。

特殊化学品

特殊化学品は高付加価値で成長の速い化学品群で、最終用途市場は多岐にわたる。典型的な成長率はGDP成長率の1~3倍で、価格は1ポンド当たり1米ドル超である。一般に革新性を特性とし、含有成分そのものではなく機能に基づいて販売される。製品には、電子化学品、産業ガス、接着剤・コーキング、塗料・塗装用品、産業用・業務用洗浄剤、触媒などが含まれる。2012年時点(ファインケミカルを除く)で、世界の特殊化学品市場は5,460億米ドル規模であり、その内訳は塗料・コーティング・表面処理33%、先進ポリマー27%、接着剤・シーラント14%、添加剤13%、顔料・インキ13%であった[14]。

特殊化学品はエフェクト(効果)化学品、パフォーマンス(性能)化学品として販売される。しばしば配合品(製剤)として供給されることがあり、ほぼ常に単一分子製品であるファインケミカルとは対照的である。

企業

現代における主要な化学メーカーは、多国籍に事業拠点と工場を有するグローバル企業である。以下は、2015年の化学売上高による上位25社の一覧である(注:一部企業では、化学売上高は総売上高の一部にとどまる)[15]。

さらに見る 順位, 企業 ...
順位 企業2015年化学売上高(10億米ドル)本社所在地
1 BASF $63.7 ドイツの旗ルートヴィヒスハーフェン, ドイツ
2 ダウ・ケミカル $48.8 アメリカ合衆国の旗ミッドランド (ミシガン州), アメリカ
3 中国石油化工 $43.8 中華人民共和国の旗 北京,中国
4 サウジ基礎産業公社 $34.3 サウジアラビアの旗リヤド,サウジアラビア
5 台湾プラスチックグループ $29.2 中華民国の旗高雄,台湾
6 イネオス $28.5 イギリスの旗 ロンドン,イギリス
7 エクソンモービル $28.1 アメリカ合衆国の旗アービング (テキサス州), アメリカ
8 ライオンデルバセル(英語版) $26.7 アメリカ合衆国の旗ヒューストン, テキサス,アメリカ,

イギリスの旗ロンドン, イギリス

9 三菱ケミカル $24.3 日本の旗東京,日本
10 デュポン $20.7 アメリカ合衆国の旗ウィルミントン (デラウェア州), アメリカ
11 LG化学 $18.2 大韓民国の旗 ソウル,大韓民国
12 エア・リキード $17.3 フランスの旗パリ, フランス
13 リンデグループ $16.8 ドイツの旗ミュンヘン, ドイツ、

アメリカ合衆国の旗 ニュージャージー, アメリカ

14 アクゾノーベル $16.5 オランダの旗アムステルダム, オランダ
15 PTTグローバルケミカル(英語版) $16.2 タイ王国の旗バンコク,タイ
16 東レ $15.5 日本の旗東京,日本
17 エボニック $15.0 ドイツの旗エッセン, ドイツ
18 PPGインダストリーズ $14.2 アメリカ合衆国の旗ピッツバーグ, ペンシルベニア州, アメリカ
19 ブラスケム $14.2 ブラジルの旗 サンパウロ, ブラジル
20 ヤラ・インターナショナル $13.9 ノルウェーの旗 オスロ,ノルウェー
21 コベストロ $13.4 ドイツの旗レーヴァークーゼン, ドイツ
22 住友化学 $13.3 日本の旗東京,日本
23 リライアンス・インダストリーズ $12.9 インドの旗 ムンバイ,インド
24 ソルベイ $12.3 ベルギーの旗 ブリュッセル, ベルギー
25 バイエル $11.5 ドイツの旗レーヴァークーゼン, ドイツ
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技術

化学工学の観点では、化学産業は化学反応や精製法などのケミカルプロセスを用いて、固体・液体・気体の多様な物質を製造する産業である。これら製品の大半は他の品目の製造に用いられるが、一部は直接消費者にも供給される。溶剤、農薬、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、ポルトランドセメントなどは消費者が用いる製品の例である。

この産業には、無機・有機の工業化学品、セラミック製品、石油化学品、農業化学、ポリマーとゴム(エラストマー)、オレオケミカル(英語版)(油脂・ろう)、爆発物、香料・芳香化合物などの製造業者が含まれる。代表例は次の表のとおり。


関連産業には、石油、ガラス、塗料、インキ、コーキング、接着剤、医薬品、食品加工が含まれる。

タービン発電機のプロセスフロー図(英語版)の一例。化学産業で持続可能なプロセスを構築する技術者は、熱、摩擦、圧力、排出物、汚染物質など、操業停止を招き得る条件に耐える、あるいはそれらを制御できる持続可能なシステムの設計方法を理解しておく必要がある。

化学プラントでは、反応容器内で化学反応を進めて新物質を生成する。多くの場合、触媒を用い、耐食性装置を用いた高温・高圧条件下で反応が行われる。反応生成物は、蒸留(特に分留)、沈殿、結晶化、吸着、ろ過、昇華、乾燥など多様な手段で分離される。

工程および製品は、製造中および製造後に専用計測機器や構内品質管理ラボで試験され、安全運転と規格適合が確保される。さらに、より多くの組織が化学品コンプライアンスソフトウェアを導入し、製品品質と製造基準の維持に努めている[16]。製品の包装・配送には、パイプライン、タンク車(鉄道)、タンクローリー(固体・液体の双方)、ボンベ(シリンダー)、ドラム缶、瓶、箱などが用いられる。化学企業はしばしば製品・プロセスの開発・試験のための研究開発ラボを有し、パイロットプラントを含むことがある。これら研究施設は、生産工場とは別サイトに置かれる場合がある。

世界の化学生産

蒸留塔

化学製造の規模は、総量の大きい石油化学品・汎用化学品から、特殊化学品、そして最も小規模なファインケミカルへと階層化される傾向がある。

石油化学および汎用化学品の製造ユニットは、概して単一製品の連続プロセスで運転される。すべての石油化学・汎用化学品が同一の場所で製造されるわけではないが、関連製品群を集積して配置することで、産業共生(英語版)や原料・エネルギー・設備の効率化、その他の規模の経済を実現することが多い。

世界最大規模で製造される化学品は、限られた製造拠点で生産される。例えば、アメリカメキシコ湾岸地域(英語版)のテキサス州・ルイジアナ州、英国ティーサイド(英語版)、オランダ・ロッテルダムなどである。こうした大規模拠点には、設備や発電所、港湾、道路鉄道ターミナルといった大規模インフラを共有する製造ユニットのクラスターが形成される。前述の集積と統合の例として、英国の石油化学・汎用化学品の約50%が、ティーサイドにあるイングランド北東部のプロセス製造(英語版)クラスターで生産されている。

特殊化学品およびファインケミカルの製造は、主として離散的なバッチ製造(英語版)で行われる。これらのメーカーも同様の立地に存在することが多いが、多分野型の工業地域に立地する場合も少なくない。

大陸・各国

フィンランド・オウルにあるケミラの化学プラント

米国では主要な化学企業が170社存在し[17]、国外に2,800超の施設を有するとともに、1,700の海外子会社・関連会社を展開している。米国の化学生産は年間7,500億米ドル規模である。同国の化学産業は大幅な貿易黒字を計上し、100万人超を雇用している。また、製造業の中でエネルギー消費第2位の産業であり、年間50億米ドル超を公害対策に支出している。

欧州では、化学・プラスチック・ゴム分野が最大級の産業部門であり[18] 、6万社超で約320万人の雇用を生み出している。2000年以降、化学部門単独でEU製造業の貿易黒字の3分の2を占めてきた。

2012年には、化学部門はEU製造業付加価値の12%を占めた。欧州は依然として世界最大の化学貿易地域であり、世界輸出の43%、世界輸入の37%を担う[19]が、最新データではアジアが輸出34%、輸入37%で追い上げている。それでも欧州は、日本と中国を除くすべての地域との間で貿易黒字を維持しており、2011年には日本・中国との化学貿易収支が均衡した。現在の欧州の対世界貿易黒字は417億ユーロに達する[20]。

1991年から2011年の20年間で、欧州化学産業の売上は2,950億ユーロから5,390億ユーロへと継続的に増加した。にもかかわらず、世界化学市場に占める欧州のシェアは36%から20%へと低下した。これは、インドや中国など新興市場における生産・販売の急増によるものであり[21]、その影響の95%は中国によると示唆される。2012年の欧州化学工業協会(英語版)(CEFIC)のデータによれば、欧州連合の化学品売上の71%はドイツ、フランス、英国、イタリア、オランダの5か国で占められている[22]。

化学産業は、中国、インド、韓国、中東、東南アジア、ナイジェリア、ブラジルで成長を遂げた。この成長は、原料の入手性・価格、労働・エネルギーコスト、経済成長率の差、環境規制圧力の変化に駆動されている。

主要企業が化学産業の主生産者として台頭するのと同様に、国・地域別の輸出可能な化学品生産額(単位:十億米ドル)に基づく産業国の順位も注目される。化学産業は世界的な広がりを持つが、世界の3.7兆米ドルの化学品生産の大半は限られた先進工業国が占める。2008年には、米国だけで6,890億米ドル、世界化学生産の18.6%を生産した[23]。

有機化学工業

無機化学工業

  • ソーダ工業: 食塩の電気分解によって得られる水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)および塩素、またはそれらを原料とした製品を製造する化学工業。
  • アンモニア工業: 窒素を含む無機化合物を製造する化学工業。製品の代表としてはアンモニア、硝酸とその塩がある。
  • 硫酸工業: 硫黄を含む無機化合物を製造する化学工業。製品の代表としては亜硫酸、硫酸とその塩がある。
  • 精密無機化学工業: 特定の用途にのみに使用される無機化合物(無機ファインケミカルズと呼ばれる。電子材料、塗料、薬品などである)を製造する化学工業。

国内の主要な化学メーカー

関連項目

脚注

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