シャハン・アルズルーニ
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アルズルーニはトルコのイスタンブールで古くからのアルメニア貴族の姓を受け継ぐ家庭に生まれた。父はステパン・ジライル・アルズルーニ(Stepan Jirayr Arzruni)、母はマリアム・カラパク(Maryam Kalpak)である。作曲家のシルヴァルト・カラマヌクは母方のおばであり、カラマヌクの後押しによってアルズルーニは4歳でピアノを弾き、5歳で人前で演奏するようになった[2]。一般教育はエサヤンとゲトロナガンのアルメニア人学校で受け[3][4]、イスタンブール市立音楽院(現在のイスタンブール大学音楽院)ではフェルディ・シュターツァーにピアノを、ラシト・アベド(Raşit Abed)に和声を習って卒業した。
1964年にニューヨークへと渡ったアルズルーニはカルースト・グルベンキアン財団から奨学金を得てジュリアード音楽院で更なる研鑽を積んだ。音楽院での教授陣にはピアノのサッシャ・ドロドニツキ、室内楽のフェリックス・ガリミール、ピアノ文献のジョゼフ・ブロック、作曲のホール・オーヴァートンらがいた。ジュリアード音楽院を卒業したアルズルーニは1967年に学士号、1968年に修士号を取得した[5]。彼はさらにニューヨーク大学で博士研究に取り組んだ。
キャリア
アメリカ合衆国の民俗意識に触発される形で、アルズルーニは自らがアルメニア人として受け継いだ音楽のルーツを継続的に探究するようになった[6][7]。彼はアルメニアの伝統音楽を研究し、アルメニアのピアノ音楽アンソロジーを3枚録音、また8枚組のアルメニアの器楽曲と声楽曲の録音を共同企画した。他には論文の投稿、ハーバード大学、コロンビア大学、ミシガン大学といった大学でのシンポジウムの取りまとめを実施した。本の執筆や学術雑誌への寄稿も行っており、『ニューグローヴ世界音楽大事典』や『中世百科事典』には複数の版で記事を執筆している。
スタインウェイ・アーティストであるアルズルーニは、メトロポリタン美術館の歴史的楽器コレクション100周年祭開会に合わせ、同美術館で1869年製造のスタインウェイ製ピアノを演奏した[8]。2001年にはワシントンD.C.にあるアメリカ議会図書館の招きに応じて、アルメニアの礼拝用聖歌に関する講義を行った[9]。
アルズルーニはヴィクター・ボーグと共演し、ボーグのコンサートでコントの常識人役を演じた。1980年のロイヤル・バラエティー・パフォーマンスでの御前上演では、2人はリストのハンガリー狂詩曲第2番をボーグが面白おかしくピアノデュオ編曲したものを演奏している[10][11]。
アルズルーニは『ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジョニー・カーソン』、『マイク・ダグラス・ショー』や数多くの公共放送サービスの特別番組でテレビやラジオ放送へ出演したほか、BBCなどの欧州のラジオネットワークへの録音を行った。御前上演はホワイトハウスで行ったのに加え、イギリス、デンマーク、スウェーデン、アイスランドの宮廷で披露してきている。2008年にアルメニアのエレバン音楽院から名誉博士号の授与を受けた。2015年にはアルメニアの最高位の文化賞であるモヴセス・ホレナツ・メダルを大統領から授与された[12]。
2017年と2019年、そして再び2022年と2024年にアルメニアの様々な州ならびにアルツァフ共和国を訪れ、若い音楽家たちに指導を行うとともにリサイタルで演奏を披露した。道中、人里離れた古い修道院に立ち寄っては探索や写真撮影を行った。この記録はイスタンブールで出版されたParos monthlyの連載記事の素材となった。
新型コロナウイルス感染の流行期には、オンラインのミニコンサート「Together for Armenia」を監修し、アルメニアの財政支援に充てた[13][14]。
以下のレーベルへの録音がある。New World Records[15]、Composers Recordings、Musical Heritage Society、Hearts of Space、フィリップス、ヴァレーズ・サラバンド、Good Music[16]、Positively Armenian、Kalan Müzik、ABGU。
受賞歴
- アルメニア慈善協会録音助成金、2020年
- カルースト・グルベンキアン財団録音助成金、2019年
- ヴァルタン騎士団アワード、2018年
- モヴセス・ホレナツ・メダル、2015年
- Bedros and Leda Şirinoğlu録音助成金、2013年
- Dikran and Nadya Gülmezgil録音助成金、2010年
- エレバン音楽院名誉教授、2008年
- Harutyun Amira Bezdjian medal, Surp Pırgiç Armenian Hospital, 2008年
- アルメニアの芸術の騎士、2005年
- ボヤン賞、2004年
- 作曲家基金: ニューヨーク・コミュニティ基金、2001年
- アジアン・カルチュラル・カウンシル 研修プログラム助成金、1999年
- Louise M. Simone Travel Grant、1998年、1997年、1995年、1994年
- Order of St. Sahak and St. Mesrop, 1996年
- ドロレス・ゾーラブ出版助成金、1996年
- スタインウェイ・アーティスト、1994年
- ルネサンス・メダル、1993年
- アレックス・マヌギアン旅費助成金、1990年、1986年、1981年、1979年
- ジュリアード奨学金、1968年、1967年、1966年、1965年、1964年
- アルメニア慈善協会給付型助成金、1966年、1965年
- カルースト・グルベンキアン財団奨学金、1965年、1964年
ディスコグラフィ
奏者として
- By Women: アルメニアの女性作曲家の作品集(2024年、AGBU)
- アラン・ホヴァネス: ピアノ作品選集(2019年、Kalan)[17][18]
- Hommage: 初期のアルメニアの作曲家によるピアノ作品集(2014年、Kalan)[19]
- コミタス: ピアノ作品全集(2011年、Kalan)
- エドヴァルド・ミルゾヤン: 我が孫娘への詩、アルバム(2004年、Charents Museum of Literature and Arts、エレバン、アルメニア)
- 子どもの頃の記憶 (2001年、New World Records)
- 深夜のショパン(1995年、Good Music)
- アラン・ホヴァネス: 幻影風景(1991年 、Hearts of Space)[20]
- ルイーズ・タルマ: 3つのバガテル、万華鏡的変奏曲(1987年、CRI)
- アルメニアのピアノ音楽アンソロジー / LP3枚組 (1979年、Musical Heritage Society)
- ジェローム・モロス: ピアノ・デュオと弦楽器のためのソナタ(1979年、ヴァレーズ・サラバンド・レコーズ)
- フランツ・ヨーゼフ・ハイドン: ヴァイオリンソナタ全集(1977年、Musical Heritage Society)
- トッカータ集(1974年、Musical Heritage Society)
- バルトーク・ベーラ: 子供のために(1974年、Musical Heritage Society)
- ドミトリー・カバレフスキー: 30の子供のためのピアノ小曲集(1973年、Musical Heritage Society)
- アラム・ハチャトゥリアン: 子供のアルバムI & II(1972年、Musical Heritage Society)
興行主として
- 小アジアのアルメニア人作曲家たち(2008年、Kalan)
- シルヴァルト・カラマヌク: Memories of Love / CD2枚組(2005年、Charents Museum of Literature and Arts)
- シルヴァルト・カラマヌク: Children's Songs(2003年、Charents Museum of Literature and Arts)
- シルヴァルト・カラマヌク: Choral Music(2001年、アルバニー・レコード)
- マカル・エクマリアン: Divine Liturgy(2002年、Diocese of Armenian Church of America [Eastern])
- ニコル・ガランデリアン: Children's Songs(2001年、Fund for Armenian Relief)
- コハリク・ガザロシアン: A Memorial Album(1997年、private)
- A Survey of Armenian Music / LP8枚組 – 共同企画(1987、Positively Armenian)
- コミタス: A Centenary Album / LP2枚組 – 芸術監督(1970年、Komitas Centennial Committee)