スペースX

アメリカの航空宇宙企業 From Wikipedia, the free encyclopedia

スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ: Space Exploration Technologies Corp.)、通称スペースXSpaceX)は、テキサス州ボカチカ近郊に本社を置くアメリカ航空宇宙メーカーであり、宇宙輸送サービス会社である他、衛星インターネットアクセスプロバイダでもある。火星の植民地化を可能にするための宇宙輸送コストの削減を目的に、2002年にイーロン・マスクによって設立された[2][3][4]。SpaceXは、いくつかのロケットのほか、宇宙船ドラゴンや衛星スターリンク衛星インターネットアクセスを提供)を開発している。

現地語社名
Space Exploration Technologies Corp.
市場情報 NASDAQ: SPCX
業種 工業
概要 現地語社名, 種類 ...
スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ
現地語社名
Space Exploration Technologies Corp.
種類
公開会社
市場情報 NASDAQ: SPCX
業種 工業
事業分野
設立 2002年3月14日
本社 1 Rocket Road Starbase、
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国北緯25度59分7.3秒 西経97度11分14.1秒
主要人物
売上高 186億7400万USD (2025年[1])
営業利益
-25億8900万USD (2025年[1])
利益
-49億3700万USD (2025年[1])
総資産 920億7900万USD (2025年[1])
従業員数
22,000 (2026年) ウィキデータを編集
子会社
ウェブサイト spacex.com ウィキデータを編集
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概要

ISSに接近するクルードラゴン宇宙船

スペースXは、民間企業として初めて有人宇宙船を国際宇宙ステーション(ISS)に到達させた。2020年に打ち上げたクルードラゴンは、2011年に退役したスペースシャトル以来の、アメリカでは5機目の有人宇宙船になる[5][6]2020年12月現在、スペースXはアメリカ航空宇宙局 (NASA) とのパートナーシップのもと[7]国際宇宙ステーション (ISS) への貨物補給ミッションを20回実施している[8][9]

またスペースXは世界で初めて商用ロケットの再使用を成し遂げたことでも知られている。ファルコン9ロケットは2015年に初の垂直着陸を達成した後[10]2017年からは実際に回収したロケットが再使用されており[11]、既存の使い捨て型ロケットと比べて半分以下のコストでの打ち上げを実現している[12]。打ち上げコスト低減を活かし、衛星インターネットスターリンクにも参入しており、2020年には世界最大の衛星コンステレーション事業者となっている[13][14]

2021年現在は、惑星間宇宙飛行を見据えた超大型ロケット/宇宙船のスターシップを開発中である。スターシップは、スペースXが進める火星植民計画の要となる他、衛星打ち上げ市場に置いても既存のファルコン9/ドラゴンを置き換えるものとなる計画である[15][16][17]。スターシップは完全に再利用可能なロケットとして計画されており、2020年代に予定されているデビュー時には史上最大のロケットとなる[18][19]

歴史

ファルコン9

2001年初頭、イーロン・マスクは非営利団体火星協会と共に、火星に植物の生育室を設置するための資金計画について話し合った[20]。同年10月には、温室を宇宙に送り出すための大陸間弾道ミサイル(ICBM)を購入するため、ジム・キャントレル英語版アデオ・レシ英語版とともにモスクワに赴いた。NPO法人ラヴォーチキンコスモトラス社と会ったがマスクは素人だと思われ、一行は手ぶらでアメリカに帰国した[21]

2002年2月、一行はマイク・グリフィン(In-Q-Tel英語版社社長)とともに、ICBM3基を探すためにロシアに戻った。コスモトラス社と再び会談し、800万ドルでロケット1基を提供されたが、マスクはこれを拒否した。その代わり、彼は手頃な価格のロケットを作れる会社を立ち上げることにした[22]

2002年にマスクによってカリフォルニア州エルセグンドでスペースX社が設立された。設立時には、同年に買収された宇宙開発大手のTRW社から、ロケットエンジン開発に携わっていたトム・ミュラー英語版とそのチームが合流している[23]。また、マスクは会社設立のために1億ドルの自己資金を投入している[24]

2006年NASA国際宇宙ステーション (ISS) 物資補給のための打上げ機の設計とデモ飛行を行う商業軌道輸送サービス (COTS) を契約した。2008年に小型ロケットのファルコン1で初めて軌道に到達し(民間資金で開発された液体燃料ロケットでは初)[25]2010年12月には中型ロケットのファルコン9ドラゴン宇宙船によるCOTSデモ飛行を行い、民間企業としては世界で初めて軌道に乗った宇宙機の回収に成功した。2012年にはISSに民間機として初のドッキングも成功させ、補給物資や実験装置を送り届けた[26]

2014年には、NASAと有人型のドラゴン宇宙船の開発とデモ飛行を行う宇宙飛行士の商業乗員輸送開発 (CCDev) プログラムを契約した。2020年5月に再び民間企業として史上初となる有人宇宙船の打ち上げ並びにISSドッキングを成功させた。

ドローン船に着陸したファルコン9の1段目

またその間の2015年には、ファルコン9の第1段により、世界初となる衛星打ち上げロケットの垂直着陸を達成した[27]2017年からは他社に先駆けてロケットの再使用を実施している。2018年には大型ロケットのファルコンヘビーも運用を開始しており、民間の宇宙船を初めて太陽周回軌道にも打ち上げた。

2016年には、これまでユナイテッド・ローンチ・アライアンス社の独占状態にあった米軍事衛星の打ち上げ市場への初参入も果たしている[28]

スペースXは民間による火星探査移民構想も掲げており、2016年にはそのための輸送システムであるインタープラネタリー・トランスポート・システム(後のスターシップ)を発表した[29]

2024年7月16日、本社をテキサス州ボカチカにあるスターベースに移転すると発表した[30]。マスクはカリフォルニア州にて生徒が性自認を変えたことを教師が保護者に通知することを禁止する州法を成立したことに反発したことから、自身が保有するX社と共に移転を表明した[31]

2026年2月2日、スペースXはイーロン・マスクが経営する別の非公開会社人工知能 (AI) ベンチャーであるxAIを買収することを発表した。発表の中で、同社は将来的に、AIコンピューティングのためにスターシップで100万基の軌道上データセンターを打ち上げるとしている。[32] また将来的には月面に衛星工場とマスドライバーを作ってAI衛星を打ち上げる構想を示しており[33]、2月9日にはスペースXが従来の方針を転換して、既に火星都市よりも月面都市に焦点を移していると述べた[34]。6月12日にはNASDAQへの上場を果たした[35]

主要製品

ファルコン1ファルコン9 Ver1.0、Ver1.1、FT、Block 5、ファルコンヘビー、FH Block 5、スターシップ

ロケット

さらに見る バージョン, ファルコン1 ...
バージョン ファルコン1 ファルコン9 ファルコンヘビー
第1段 1 × マーリン1A(2006年~2007年)

1 × マーリン1C(2008年以降)[36]

9 × マーリン1C (v1.0)

9 x マーリン1D (v1.1)

9 × マーリン1D のブースターを3基クラスタ
第2段 1 × ケストレル 1 × マーリン1C (v1.0)

1 × マーリン1D (v1.1)

1 × マーリン1D
全高
(最大; m
21.3 54.9 (v1.0)

69.2 (v1.1)
70 (FT)

70
直径
(m)
1.7 3.6 3.6
離床推力
(kN)
347 3,807 (v1.0)

5,885 (v1.1)
6,804 (FT)

17,000
離陸重量
トン
27.67 318 (v1.0)

506 (v1.1)
549 (FT)

1,400
フェアリング直径
(内径; m
1.5 5.2 5.2
ペイロード
(LEO; kg)
450 8,500–9,000 (v1.0)

13,150 kg (v1.1)
22,800 (FT)

63,800
ペイロード
(GTO; kg)
3,400 (v1.0)

4,850 (v1.1)
8,300 (FT)

26,700
値段
(百万. USD
7 62 (再使用)
95 (使い捨て)[37]
90 (再使用)
150 (使い捨て)[37]
1kg毎の最低の値段
(LEO; USD)
15,555 4,167 2,351
1kg毎の最低の値段
(GTO; USD)
11,446 5,618
成功率
(成功/総計)
2/5 4/5 (v1.0)

14/15 (v1.1)
28/29 (FT)

1/1
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宇宙船

ロケットエンジン

マーリン1D

サービス

発射場

ファルコン1は全てオメレク島にて打ち上げられている。ファルコン9はSLC-40、SLC-4E、LC-39Aの三つの射場から打ち上げ[43]、ファルコンヘビーはLC-39Aから打上げられている。2026年現在、LC-39Aからのファルコン9の打ち上げは大幅に縮小されており、今後すべてのドラゴンミッションの打ち上げはSLC-40に移行される予定。[44]

国境付近に位置するテキサス州のスターベースでは、2025年までに実験の失敗、ロケットの墜落などにより破片の飛散が相次いだ。破片により環境破壊が生じる可能性があるとして、環境保護団体のほか、メキシコクラウディア・シェインバウム大統領からも非難を受けている[45]

備考

スペースXは成功したベンチャー企業にも拘わらず、2026年6月まで株式公開 (IPO) を行っていなかった。同社の評価額は2024年12月時点で3500億ドルと見積もられており、これは全世界の株式未公開のスタートアップ企業(ユニコーン企業)の中で最大であった[46]イーロン・マスク2013年に「IPOは火星移民船が定期的に飛ぶようになってから」と、また2014年には「どこかのPEファンドに経営を支配され、短期的な利益を得ることに使われるのだけは勘弁してほしい」と語っており、スペースXが創業時からの目標である火星移住構想から離れないよう株式を公開しない考えを示していた[47]

ただし2025年末頃から、スターリンクの成功やAI衛星への資金調達の必要性などを受けてIPOが行われると報道されるようになり[48]、最終的に2026年6月12日にNASDAQへの上場が行われた[35]。調達額は750億ドルで2019年サウジアラムコを上回る過去最大のIPOとなり、取引開始後の時価総額は2兆1千億ドルに達した[35]

その他

Netflixで配信されるドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のシーズン2第7話において、副大統領のスタッフとして働く野心的な若者コナー・エリスが副大統領夫人に辞意を伝える際に、報酬が良く自身の成長も期待できるとする転職先を「スペースX社」と明かす場面がある。

関連項目

出典

外部リンク

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