ダプネー
ギリシア神話の精霊
From Wikipedia, the free encyclopedia
神話

伝オウィディウス
オウィディウスの『変身物語』に記された物語では:
アポローンは弓矢で遊んでいたアモル(エロース)を揶揄した。そのことで怒ったアモルは「恋する金の矢」をアポローンに、逆に「相手を疎む鉛の矢」を近くで川遊びをしていたダプネーに放った。
金の矢で射られたアポローンはダプネーへの恋情で求愛し続けるが、他方、鉛の矢を射られたダプネーはアポローンを拒否した。アポローンはどこまでも追うが、ダプネーは逃げ続けた。しかしついにアポローンは、テッサリアのペーネイオス河畔でダプネーを追いつめた。ダプネーはアポローンの求愛から逃れるため、父であるペーネイオス河神を呼んで、自らの身を変えることを望んだ。
父である河神は娘の望みを叶え、ダプネーの体はたちまち月桂樹へと変身した。あと一歩で手が届くところで月桂樹に変身したダプネーの姿を見て、アポローンは悲嘆にくれた。しかし神は、手に入らなくなったニュンペーの代わりに、その変身した月桂樹を自分のものとすると宣言した。アポローンは、ダプネーに対する愛の証として彼女の枝から月桂冠を作った。アポローンはこの冠を、身に着けている[9][注釈 1]。
伝パウサニアース
アルカディア地方やエーリス地方の伝承によると、ピーサ王オイノマオスの息子レウキッポスがダプネーに恋をした。しかしダプネーは男を避けていたので、レウキッポスは女装し、自身をオイノマオスの娘だと偽って近づいた。ダプネーは、レウキッポスが化けて自称した王女が、他の女よりも身分が高く、狩りの腕にも秀でていたので、彼のことを娘と信じ気に入った。しかしアポローン神は腹を立てた。神は、ダプネーや他の女たちをして、ラードーン川で泳ぎたいという思いを抱かせた。しかし、当然レウキッポスは裸になって泳ぐわけにいかない。女たちはレウキッポスの衣服をはぎ取り、男であることを知ると剣で殺した[10]。
芸術作品
- クラシック音楽
- 『ダフネ』(La Dafne、1608年、ガリアーノ マルコ・ダ)
- 『美しき娘、ダフネ(笛の楽園)』(Doen Daphne d'over schoone Maeght、1648年、作曲:ヤコブ・ファン・エイク)
- オペラ
- 『ダフネ』(Dafne、1597年頃、作曲:ヤコポ・ペーリ):世界最初のオペラとされている。
- 『フロリンドとダフネ』(Der beglueckte Florindo und Die verwandelte Daphne、1708年、作曲:ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル)
- 『ダフニスとアグライア』(Daphnis et Egle、1753年、ジャン=フィリップ・ラモー)
- 『ダフネ』(Dafni、1928年、作曲:ムレー・ジュゼッペ)
- 『ダフネ』(Daphne、1937年、作曲:リヒャルト・シュトラウス)
- 彫刻
- 『アポロンとダフネ』(1625年、作者:ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ)
- 絵画
- 『アポロンとダフネ』(1625年、作者:ニコラ・プッサン)
- 『アポロンとダフネ』(1845年、作者:テオドール・シャセリオー)[11][12]
ギャラリー
- ニコラ・プッサン『アポロンとダフネ』(1625年)アルテ・ピナコテーク所蔵
- フランチェスコ・トレヴィザーニ『アポロンとダフネ』(17世紀)エルミタージュ美術館所蔵
- ジャン=バティスト・ヴァン・ルー(1720年 - 1737年)ブダペスト国立西洋美術館所蔵
テイレシアースの娘のダプネー
その他
シュリアのセレウコス1世は、オロンテース河畔にあるアンティオケイア近郊のダプネーの地にアポローンの神殿を造営したが、そこにはダプネーが変身したとされる月桂樹があったとされる[14]。
ダプネーは、欧米では女性の名前として使われる。英国の作家ダフネ・デュ・モーリアなどが知られる。