チャトラジ
From Wikipedia, the free encyclopedia
古代インドの叙事詩『マハーバーラタ』にはチャトラジと思われるゲームについて言及がある[2]。しかしながら、言及されているゲームが本当にチャトラジのようなチェスと類似したゲームだったか、パチーシのようなレースゲームであったかは定かではない。
18世紀の終わり、ハイラム・コックスは、チャトラジはチャトランガに先行したゲームであり、したがって現代チェスの祖先である、とする説(後にコックス=フォーブス説として知られた)を提示した。19世紀末にダンカン・フォーブスがこの説を発展させ、さらにスチュワート・キューリンによって支持された[3]。しかしながら、この説は1913年にH・J・R・マレーによって否定され[1]、現代の学者はマレーを支持している。フォーブスによれば、このゲームは正確には2人制と同じく「チャトランガ」と呼ばれる。「チャトラジ」という用語はチェスのチェックメイトに相当するゲームにおける配置を指す[4]。フォーブスは、北と南(黒と緑)のプレーヤーが味方となり、東と西(赤と黄色)のプレーヤーと対戦すると考えていた[5]。
ルール
駒の動き
このゲームは図に示すように4つの異なる色の駒を使って行われる。それぞれのプレーヤーは後列に4つの駒とその前に4つの歩兵を持っている。後列の駒は「王」、「象」、「馬」、「小舟」(一部の文献では「船」)である。王はチェスのキング、象はチェスのルーク、馬はチェスのナイトの動きと同じである。小舟はシャトランジのアルフィルと同じ動きであり、間のマスを飛び越えて斜めに2マス移動することができる。これは、古代のチェスのほとんどにおいて象(現代チェスのビショップの祖先)がこの動きを担当しているのとは異なっている。手番は盤上時計回りに渡る。
「歩兵」はチェスのポーンと同じように動くが、最初に2マス移動することはできない。4人のプレーヤーのポーンのそれぞれは、各プレーヤーの初期配置から予想される方向に盤上を移動し、敵の駒を捕まえる。例えば、g列からスタートする赤の歩兵は盤を左側に進み、a列で成る。また、歩兵の成りルールも異なっている。成るマスに到着した歩兵は同じ横列(あるいは縦列)から出発する駒(王も含む)に成らなければならず、また自分の同種の駒が捕えられた後にのみ成ることができる。
ボート・トライアンフ
小舟(ボート)が、上図に示すような状況で2×2マスを埋めたその他3つの小舟を飛び越えた時、それら全ての小舟を捕えることができる。このルール英語で「ボート・トライアンフ」と呼ばれる。
サイコロ
それぞれの番が回って来た時に2個のサイコロを振る。通常は長方形の(4面)サイコロを使う。プレーヤーは空中にサイコロを投げてそれを捕まえて、結果に影響を及ぼすことが許されていた。動かす駒はサイコロの目によって決定される(棒サイコロには1と6はない)。
| サイコロの目 | 駒 |
|---|---|
| 2 | 小舟 |
| 3 | 馬 |
| 4 | 象 |
| 5 | 歩兵または王 |
それぞれの番にそれぞれのサイコロに付き1回ずつ、計2回駒を動かすことができる。同じ駒を2回動かしてもよいし、異なる駒を動かしてもよい。また、動かすのは1回でもよく、全く動かさなくてもよい。
得点
チェック(王手)あるいはチェックメイトはない。王は他の駒と同じように捕えられる。ゲームの目的はできるだけ多くの点を集めることである。点は以下の表に示すように相手の駒を捕えることで得られる。
| 駒 | 点数 |
|---|---|
| 歩兵 | 1 |
| 小舟 | 2 |
| 馬 | 3 |
| 象 | 4 |
| 王 | 5 |
自分の王が生きたまま、その他3人のプレーヤーの王を全て捕えたプレーヤーには54点が与えられる。この値は3つの軍の全ての駒の点数の合計に等しい。
脚注
参考文献
- Duncan Forbes (1860), The History of Chess, W. H. Allen & Company.
- Murray, H.J.R. (1913). チェスの歴史. Benjamin Press (originally published by Oxford University Press). ISBN 0-936317-01-9